無線LANの脅威「FragAttacks」を解剖する【前編】
Wi-Fiデバイスのほぼ全てに影響 無線LANの脆弱性「FragAttacks」とは?
セキュリティ研究者が、無線LANデバイスに存在し得る脆弱性群「FragAttacks」を発見した。どのような脆弱性の組み合わせなのか。簡潔に説明する。
無線LANアクセスポイントをはじめとする、無線LANデバイスに関する複数の脆弱(ぜいじゃく)性が見つかった。これらの脆弱性を悪用すると、攻撃者は通信内容を傍受できる可能性がある。業界団体Wi-Fi Allianceによる相互運用性の認定プログラムを通過した、現存するほぼ全ての無線LANデバイスが、この脆弱性の影響を受けるという。
この脆弱性群は「FragAttacks」(Fragmentation and Aggregation Attacks)と呼ばれる。FragAttacksは、同じ無線LANに接続しているデバイス間でデータをやりとりする方法、特にデータをカプセル化するフレーム(イーサネットフレーム)の構造に起因する。フレームとは、やりとりするデータに送信先などの情報を付加した一連のデータ群を指す。
「FragAttacks」とは何かをざっくりと理解する
ニューヨーク大学(New York University)の博士課程を修了した研究者、マシー・バンホーフ氏が、FragAttacksを発見した。FragAttacksは、複数のフレームを束ねる「フレームアグリゲーション」と、フレームを複数の断片(フラグメント)に分割する「フレームフラグメンテーション」における規格設計上の脆弱性と、複数の無線LANデバイスに共通する実装上の脆弱性の組み合わせだ。フレームアグリゲーションやフレームフラグメンテーションを実装した無線LANデバイスは、FragAttacksの影響を受ける。
フレームのヘッダには、そのフレームがフレームアグリゲーションによって束ねられたものなのかどうかを示すフラグがある。フレームアグリゲーションの設計上、このフラグを保護する仕組みがないため、攻撃者はフラグを書き換えることができてしまう。フレームフラグメンテーションにも設計上、複数のフラグメントを異なる暗号鍵で暗号化しても受信側が受け入れてしまったり、ネットワークから切断しても無線LANデバイスがメモリからフラグメントを削除しなかったりする脆弱性がある。
こうした設計上の脆弱性に加えて、無線LANデバイスの実装上の脆弱性を組み合わせることで、攻撃者は不正なフレームを挿入したり、通信内容を盗聴したりできる可能性がある。実装上の脆弱性には、暗号化通信中に受信側が平文のフレームを受け入れてしまう脆弱性、フラグメント化したフレームを受信側が完全なフレームとして処理してしまう脆弱性、無線LANデバイスが送信側の認証完了前にフレームを転送してしまう脆弱性などがある。
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