テレワークで変わる企業のセキュリティ【第1回】
「ゼロトラストセキュリティを選ばざるを得ない企業」がコロナ禍で続出の訳
ロックダウンやオフィス閉鎖を受けて、企業はテレワークへの移行を急ピッチで進めることになった。その中で企業が注目しているのが「ゼロトラストセキュリティ」だ。どのような点にメリットを感じているのか。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)を引き金に、企業のテレワークへの移行が加速した。その流れを受けて、企業が「ゼロトラストセキュリティ」に目を向け始めている。ゼロトラストセキュリティは、デバイスの状態に基づいてデバイスやエンドユーザーに適切なアクセス権限を与えるセキュリティアーキテクチャだ。具体的には、デバイスにパッチが適用されているかどうか、デバイスの所有者は誰か、デバイスはどのネットワークに接続しているのかといった状態を基に、アクセス権限を付与する。
「もうゼロトラストしかない」 コロナ禍で高まる需要の“必然”
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ゼロトラストセキュリティをテレワーク保護に役立てる
ロックダウン(都市封鎖)やオフィスの閉鎖が始まって以降、企業はVPN(仮想プライベートネットワーク)からゼロトラストセキュリティを基にしたネットワーク(ZTN:ゼロトラストネットワーク)へと移行しつつあるというのが、セキュリティ専門家に共通する見解だ。ZTNは位置情報やエンドユーザーの行動といった情報を用いて、各アクセス要求を検証する。これによって、きめ細かいアクセスの制御や管理が容易になる。ZTNのこうした特徴は、さまざまな場所で勤務するテレワーカーからのアクセスが殺到している状況で役立つ。
調査会社Gartnerでアナリストを務めるロブ・スミス氏は、「ゼロトラストセキュリティは非常に注目を集めており、顧客企業との話し合いではほぼ毎回ゼロトラストセキュリティについて語っている」と話す。
例えば5000人の従業員を擁する企業は、テレワークによってオフィスが実質的に5000カ所になるようなものだ。「テレワークへの移行は、企業のIT管理やセキュリティを根本から覆す。数十年かけて構築してきたシステムを投げ捨ててやり直し、全てを基礎から作り直すことになる」とスミス氏は指摘する。
スミス氏は一例として世界的な保険会社を挙げる。同社には500人ほどのテレワーカーがいたが、それがCOVID-19の流行によって5万人に増えた。しかも5万人のうち2万人以上には会社がPCを支給していなかった。その結果、2万人が私物デバイスで業務することになったため、「即座にゼロトラストセキュリティを導入する以外に選択肢はなかった」とスミス氏は語る。
GoogleでGoogle Cloud Security部門の製品管理担当シニアディレクターを務めるアーモル・キャベ氏によると、同社はさまざまな企業がゼロトラストセキュリティの取り組みを始めるのを見てきた。「特にパンデミックに襲われ、どうすれば従業員の生産性を維持できるかという疑問が持ち上がったときに、その取り組みに乗り出す企業が多かった」とキャベ氏は話す。
キャベ氏によると、ある企業はGoogleのゼロトラストセキュリティサービスを当初100人のエンドユーザーでテストすることを検討していた。「その企業は当社と相談することなく、ゼロトラストセキュリティサービスの対象を2日間で1万2000人にまで拡大させることを決めた」(同氏)
Googleは10年以上にわたってゼロトラストセキュリティ分野で活動している。最初は独自のZTNを同社内で利用し、その後商用サービスとして「BeyondCorp」を提供するようになった。キャベ氏によると、BeyondCorpはインターネットを介して利用するアプリケーションと、社内LANの内側に存在するアプリケーションに対して単一の認証を実現することを目標にしている。
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