ゼロトラストセキュリティが目指すもの【後編】
「ゼロトラストセキュリティ」を導入すれば“脱VPN”が可能に?
セキュリティ対策における“対症療法”の積み重ねは、セキュリティ製品の増加を招いてきた。「ゼロトラストセキュリティ」もさらなる製品追加のきっかけにしかならないのか。導入によって取り除ける要素はあるのか。
従業員が社内LANの内外にいるかどうかにかかわらず、必要に応じて認証を実施するセキュリティモデル「ゼロトラストセキュリティ」が、業界のキーワードとして浮上している。セキュリティベンダーがゼロトラストセキュリティを全面的に押し出すことには良い面と悪い面があると指摘するのは、VMwareでエンジニアを務めるエバン・ギルマン氏と、オンライン決済ベンダーStripeでサイトリライアビリティエンジニアを務めるダグ・バース氏だ。
「ゼロトラストセキュリティ」を導入すれば取り除けるものとは
併せて読みたいお薦め記事
ゼロトラストセキュリティとは
変化する働き方とゼロトラストセキュリティ
―― 保護および制御すべき対象が増えることから、ゼロトラストセキュリティの実装は「付加的だ」と言われています。ゼロトラストセキュリティが取り除けるものはありますか。
ギルマン氏 これは答えづらい。企業によって見解が異なるからだ。「ゼロトラストセキュリティを考慮したセキュリティ対策を設計したいが、従来のアプローチも第2の防御層として残しておきたい」と考える企業がある。一方「既存の防御層は価値よりも苦労やフラストレーションをもたらすため、ゼロトラストセキュリティに問題がないことが確認できたら、既存の防御層を取り除きたい」と考える企業もある。
確実に取り除けるものの一つがVPN(仮想プライベートネットワーク)だ。社内LANとインターネットの境界に設置するファイアウォールの簡素化が期待できる。完全に撤去することが難しい「ミドルボックス」(セキュリティ対策のためにネットワークに設置する装置)の削減にもつながるだろう。ゼロトラストセキュリティの実装は、ミドルボックスに関する支出や保守管理の手間、オーバーヘッド(システムへの過剰な負荷)、電力を削減する好機になる。
―― 健全なセキュリティ文化はゼロトラストセキュリティの実装にプラスの影響をもたらしますか。セキュリティ意識の高い従業員を育成する方法を教えてください。
ギルマン氏 セキュリティの重要性を理解し、セキュリティ的に適切な行動を取る意欲のある従業員がいるならば、ゼロトラストセキュリティを実装する上で大いに役立つだろう。ただしセキュリティ文化を根付かせるのは困難で時間がかかる。セキュリティ意識を育てるトレーニングは、セキュリティに特化し、対話的で、セキュリティがビジネスにとって重要な理由を従業員に気付かせるものでなければならない。
バース氏 自社のセキュリティ構造を理解するには、状態の把握や学習、実践が必要だ。脆弱(ぜいじゃく)性の発見を推奨して発見者を表彰する文化を築いたり、セキュリティ担当者にフィードバックやアドバイスを自動的に提供したりする方法も有益だろう。セキュリティに関するフィードバックは、受け入れられる可能性が低い終盤の実装段階ではなく、開発段階で実施すべきだ。開発段階でセキュリティ担当者と会話し、担当者と一緒にセキュリティシステムの構築と設計を実施することも欠かせない。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[LRM株式会社] 「標的型攻撃メール」事例・サンプル集 -
製品資料
[LRM株式会社] セキュリティ教育はなぜ「年間計画」を立てる必要があるのか? -
製品資料
[LRM株式会社] セキュリティの重要性が伝わらない…… 効果がない社員教育から脱却する方法 -
製品資料
[LRM株式会社] 「標的型攻撃メール訓練」導入ガイド 社員の意識を確実に高める仕組みの作り方 -
事例
[株式会社マクニカ] アイカ工業に学ぶ脆弱性対策 情シスが把握できずにいたアセットも正確に把握
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
2
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
3
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
4
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
5
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
6
ISMSの“コンサル丸投げ”が招く数千万円の無駄 NTTドコモビジネスの脱出劇
-
7
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
8
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
9
なぜOpenAIやAnthropicのAIは「脱走」したのか 情シスが迫られるエージェント統制
-
10
エンジニアが選考を辞退する本当の理由 7割が隠す“面接の違和感”とは
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
8
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
9
Macの安全神話は崩壊? 最新の脅威動向から見えた攻撃のトレンドと有効な対策
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー