テレワークで変わる企業のセキュリティ【第5回】
GoogleやMicrosoftは「ゼロトラストセキュリティ」をどのように実現するのか
テレワーカーが安全に社内LANに接続するためのセキュリティ対策といえば、従来はVPNが主だった。それに代わる手段を、さまざまなベンダーが打ち出し始めている。どのようなサービスがあるのか。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として普及したテレワークは、企業が従来のセキュリティ体制を見直すきっかけを生んだ。社内外に点在する従業員を保護する仕組みとして、ベンダーとユーザー企業の双方が注目しているセキュリティアーキテクチャが「ゼロトラストセキュリティ」だ。ゼロトラストセキュリティは、デバイスの状態に基づいてデバイスやエンドユーザーに適切なアクセス権限を与える。
ベンダーのゼロトラストセキュリティへの取り組み
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ゼロトラストセキュリティをテレワーク保護に役立てる
Googleは、米国でパンデミックが発生する前の2020年1月に、「BeyondCorp Enterprise」を提供開始した。BeyondCorp Enterpriseは、ゼロトラストセキュリティに基づくネットワーク(ZTN:ゼロトラストネットワーク)の商用サービスだ。同社でGoogle Cloud Security部門の製品管理担当シニアディレクターを務めるアーモル・キャベ氏によると、BeyondCorp Enterpriseへの反響は「驚異的」だという。
BeyondCorp Enterpriseは、同社のWebブラウザ「Chrome」を介したリモートアクセスを可能にする。反響の主な理由は「COVID-19対策として、どの企業も『全従業員がテレワークを続けられるようにしたい』と考えているからだ」とキャベ氏は説明する。
Microsoftも、テレワークにおけるセキュリティの課題に対処するための新たな構想を立ち上げた。ID・アクセス管理のクラウドサービス「Azure Active Directory」で利用可能な、パスワード不要の認証の仕組みだ。
2021年3月にMicrosoftが開催したカンファレンス「Microsoft Ignite 2021」のセッションで、同社のID部門のコーポレートバイスプレジデントを務めるジョイ・チック氏が、パスワードを使うことなくエンドユーザーを認証する方法を紹介した。これはゼロトラストセキュリティを使用することで、より信頼できる安全な認証を実現するための同社の戦略だ。
ゼロトラストセキュリティが唯一の答えではないものの、さまざまなセキュリティ製品・サービスの有力な構成要素の一つになると、調査会社Gartnerでアナリストを務めるロブ・スミス氏はみる。市場全体が、セキュリティとネットワーク機能を集約した製品・サービス分野「SASE」(Secure Access Service Edge)にまとまりつつある。「ベンダーは、幅広いクラウドサービスにSASEのコンセプトを適用するためにどのような計画を立てるのかが問われている」(スミス氏)
VPNよりも「ゼロトラストネットワーク」(ZTN:ゼロトラストセキュリティを基にしたネットワーク)の方にメリットを見いだす企業も出てきた。これはVPNが廃れることを意味するわけではない。「オンプレミスシステムが存在する限り、VPNは使用され続ける」とスミス氏は考える。
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