「VRM」(ベンダー関係管理)、ありがちな課題と解決策【中編】
「要件が曖昧」「ベンダーの意見無視」「不信感」 失敗する調達担当に足りないもの
ベンダーとのより良い関係構築は、非常時に自社を助けることにもつながる。ユーザー企業がベンダーと同じ方向を向いて業務を進めるためにはどうすればよいか。その方法を探る。
前編「『とにかく安く』の調達目標と上司に挟まれても、ベンダーとの良い関係を築く方法」は、「ベンダー関係管理」(VRM)において能動的な戦略立案が重要であることを紹介した。中編は、VRMの要件の整理とベンダーとのコミュニケーションの透明性を高めることを中心に、VRMで陥りがちな課題の解決方法を解説する。
対処策3.自社にとっての「VRM」の要件を明確にする
ユーザー企業が「戦略的なベンダーとはどのようなものか」「受け入れ可能な調達のリスクは何か」といった質問に答えられない場合、顧客関係管理(CRM)データの理解が、VRM戦略立案における鍵になることがある。
米国生産性品質センター(APQC:American Productivity and Quality Center)でサプライチェーンマネジメントリサーチリードを務めるマリサ・ブラウン氏によると、顧客に注目することで選ぶべき選択肢が明確になる可能性がある。VRMとCRMの関係を考えることは、データの収集と分析、ガバナンスについての考え方を整理するのに役立つだろう。
対処策4.ベンダーとのコミュニケーションの透明性を高める
VRMのリーダーと担当者は、ベンダー担当者によるフィードバックや意見の共有を促進し、ベンダーの意見に耳を傾ける姿勢を示す必要がある。「ユーザー企業がベンダーと共有する情報は、不透明なものになりがちだ」と、調査およびコンサルティングを手掛けるInfo-Tech Research Groupでリサーチ部門のディレクターを務めるスティーブン・ジェフリー氏は述べる。
ジェフリー氏は、不透明なやりとりがユーザー企業とベンダーの間に不信感をもたらすと注意を促す。買い手側は、コミュニケーションの透明性とベンダーとの協調性を高めることで状況を改善できる。ユーザー企業は、価格と性能の目標を達成する交渉能力を損なうことなく、ベンダーとの関係をオープンなものにできる可能性がある。
ユーザー企業とベンダーの双方が、具体的な指標を使ってお互いの関係がビジネス成果の改善に役立っているかどうかを調べることもできる。「ユーザー企業とベンダーの双方がROI(投資利益率)に目を向ける必要がある」と、コンサルティング企業Protivitiでグローバルサプライチェーンの責任者を務めるバーニー・ドナチー氏は話す。その上で、両者の関係性の肯定的な面と改善点を話し合う。
コミュニケーションを支援する技術を使うことで、ユーザー企業とベンダーは調達プロセスを改善できる。ドナチー氏によると、買い手は既に所持しているツールを使ってベンダーとデータを共有できる。例えば、電子調達システムのデータをMicrosoftのビジネスインテリジェンス(BI)ツール「Microsoft Power BI」やTableau SoftwareのBIツール「Tableau」のようなツールに移行すれば、ユーザー企業とベンダーの双方が共通のデータにアクセスできるようになる。データ共有にMicrosoftのプレゼンテーション用ソフトウェア「Microsoft PowerPoint」を使う方法もある。
後編は、サプライチェーンリスクの克服など、残る課題と解決策について解説する。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[株式会社キーエンス] PCが苦手でも自動化できる ポポラマーマなど4事例に学ぶ「ナビ搭載型RPA」活用 -
製品資料
[株式会社クレオ] IT部門を“価値創造組織”へ転換 IT管理プロセスの改革で戦略的リソースを確保 -
製品資料
[株式会社クレオ] Excel管理が限界に――ITサービス管理の脱・属人化と運用高度化を実現する方法 -
製品資料
[株式会社クレオ] 西武グループやイオングループも実践 事例に学ぶ「ITサービスデスク業務」改善 -
製品レビュー
[株式会社クレオ] 「使われないITシステム」から脱却 現場が求める業務改善を実現する方法
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
3
「レガシーシステム・老朽化システムの運用課題と刷新」に関するアンケート
-
4
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
5
1回で分かる:仮想マシンを丸ごとバックアップする「VADP」の仕組み
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
脱VMwareか、継続か? 仮想化ソフト主要6製品の運用管理と統制機能を徹底比較
-
8
属人化と入力ミスからの解放 アクティオが日本IBMと挑む「AIで調達自動化」
-
9
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
10
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
6
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
7
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
8
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
ランサムウェア攻撃“究極の対策”はこれだ
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー