パンデミックがもたらした調達や購買の混乱は、ユーザー企業にベンダー関係管理(VRM)の重要性を知らしめた。「とにかく安く調達する」ことだけを重視するのではなく、ベンダーとの良い協力関係を築く方法を探る。
「ベンダー関係管理」(VRM)はユーザー企業にとって重要な取り組みだ。VRMとは、ユーザー企業がIT製品の調達先ベンダーの状況を調査し、そのベンダーとの向き合い方を戦略的に改善する取り組みを指す。これをうまく進めるのは難しい。典型的な課題には、ユーザー企業の能力不足やベンダーとの連携不足がある。これに輪を掛けて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)とその余波が、ユーザー企業の調達や購買に混乱をもたらしている。
本稿は、VRMを実行する際に起きる課題とその対処方法を紹介する。
ユーザー企業は、VRMに受け身の姿勢で取り組むのではなく、自ら戦略を立案する必要がある。戦略がなければ、一貫性のない結果や、ベンダーとの関係悪化につながる恐れがある。
調査やコンサルティングを手掛けるInfo-Tech Research Groupでリサーチ部門のディレクターを務めるスティーブン・ジェフリー氏は次のように話す。「まずは組織で指導的立場にあるリーダーが最も重要なビジネス成果を決める必要がある。そうすれば、その成果に関して戦略的な取り組みを共にできるベンダーと、そうではないベンダーを判断できる」
ベンダーとの関係を改善するための戦略は、「低価格を重視する」という目標とは相いれない可能性がある。現場で意思決定をする担当者は一般的に、最も低い価格で製品やサービスを手に入れることを重視し、ベンダーとの関係強化はあまり考えない。現場担当者は、毎年の評価会議で示す成績が明確に上がることを望んでいる。リーダーは具体的に目標を伝え、曖昧さや混乱を取り除き、担当者の目標達成をサポートするといい。「調達担当者の多くは、ベンダーが提供する最低価格で最高のサービスを得るよう訓練されている」と、工業製品ベンダーStellar Industrial SupplyのCEO、ジョン・ウィボーグ氏は話す。
米国生産性品質センター(APQC:American Productivity and Quality Center)でサプライチェーンマネジメントリサーチリードを務めるマリサ・ブラウン氏は「時には、ユーザー企業の表向きの目標と非公式の目標が異なることもある」と語る。その場合、ユーザー企業は「表向きの目標と非公式な目標のどちらを推進するかを決める必要がある」(ブラウン氏)。
中編は、VRMの要件の整理と、ベンダーとのコミュニケーションの透明性を高めることの必要性を解説する。
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