コンタクトセンターが製品導入前に気を付けたい、「RFP」作成後レビューのチェック項目CXを高める、コンタクトセンターにおけるRFPの作り方【第3回】

コンタクトセンターが製品選定前の提案依頼書(RFP)を作る際に重視すべき質問内容は何か。「コスト」「サービスレベルアグリーメント(SLA)」「連携」「アプリケーション」などの観点から解説する。

2021年11月09日 05時00分 公開
[Robin GareissTechTarget]

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RFP | コンタクトセンター


 本連載は、コンタクトセンターが技術パートナーを決める際の提案依頼書(RFP)作成におけるベストプラクティスを紹介する。第2回「過不足のない『RFP』を作成するこつ 要件定義は社内の声を第一に」は、RFP作成プロジェクトに必要な6つの手順から1〜2番目を取り上げた。第3回は、3番目の手順「RFPを作成後、レビュー、改訂し、適切な質問を含める」について解説する。

手順3.RFPを作成後、レビュー、改訂し、適切な質問を含める

 コンタクトセンターのカスタマーエクスペリエンス(CX)向上に関わるリーダーは、重要な質問を全て盛り込んだRFPを作り上げるために、RFP作成プロジェクトチームに十分な時間を与える必要がある。販売、マーケティング、カスタマーサービス、製品の実装チーム、セキュリティ、調達など、ユーザー企業のさまざまな部門がプロジェクトに参加し、共同でRFPを作成し、レビューするのが望ましい。RFPに含める質問の数に決まりはないが、一般的には100〜200個の質問を用意する。

 RFPの要素を「コスト」「サービスレベルアグリーメント(SLA)」「連携」「アプリケーション」などの主要なセクションに分けておくと、ベンダーにとっても、RFPの回答を分析するチームにとっても役立つ。両社のさまざまなチームが並列に取り組めるためだ。

 コンタクトセンター向け製品のRFPにおける主な質問を幾つか例示する。

  • 同時接続ライセンスの最大同時接続数は幾つか。
  • その製品は現在、どのようなインフラ(オンプレミスインフラ、クラウドサービス、ハイブリッドクラウドなど)で利用できるか。将来どのようなインフラで利用可能になるのか。
  • その製品は、スモールオフィス、リモートオフィス、ホームオフィスなどの要件の違いにどのように適応できるか。
  • 自社に導入済みのシステムと接続するためのオプションは用意されているかどうかを知りたい。
  • 人工知能(AI)機能と分析機能の概要を知りたい。
  • SLAが満たされなかった場合、ペナルティーなしで解約できるかどうかを知りたい。
  • 具体的にどのような機能を提供しているか(注1)。
  • 現在、どのようなコミュニケーションチャネルを利用できるかを知りたい。コミュニケーションチャネルの選択肢に関する今後の計画は。
  • 他のユーザー企業はその製品をどのように管理しているか。例えば組み込みツールやサードパーティーの専用ツールを使用しているかどうかを知りたい。
  • クラウドサービスのセキュリティモデルについて知りたい(注2)。
  • 障害が起きた場合の平均復旧時間はどの程度か。
  • 技術ロードマップと、競合他社との差別化要因を知りたい。
  • プロフェッショナルサービスを提供しているかどうかや、その提供方法(ベンダーが自ら提供するか、パートナー企業が提供するか、またはその両方か、など)を知りたい。
  • コンタクトセンターのカスタマーサービス担当者とスーパーバイザー向けのトレーニングを提供しているかどうかを知りたい。提供している場合、どの程度のコストがかかるか。
  • ユーザー1人当たりの料金、または月額料金は幾らか。最低料金帯と最高料金帯にはそれぞれ何のサービスを含むか。定価と一般小売価格は幾らか。
  • 現在、どのようなアプリケーションと連携できるか。今後の連携に向けてどのような計画があるか。
  • その製品を導入するユーザー企業は何社あるか。主な導入企業の平均的な規模はどの程度か。
  • 現在の顧客や、別のベンダー製品に移行した顧客を含め、顧客の導入事例を提示できるかどうかを知りたい。

※注1:プロジェクトチームは自社にとって重要な機能を全て一覧にする必要がある。

※注2:プロジェクトチームは、暗号化のアルゴリズムに関する補足的な質問(詐欺などの不正行為を減らすのに有効なアルゴリズムか、それは音声認識か動画認識か、など)を含める必要がある。


 次回は6つの手順のうち、4〜6番目となる「回答を評価し、ベンダーの最終候補を選定する」「最終候補に残ったベンダーを含めた会議を開催する」「実装を決定および計画する」について解説する。

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