人材多様性を高める求人票「4つのヒント」【第3回】
「あるとよい」要件ばかりの“てんこ盛り求人票”はなぜ駄目か
多様な求職者に応募してもらうために企業がやりがちな悪手は、必須ではないスキルを“念のため”求人票に書いてしまうことだ。求人票に記載する職務要件を最小限に絞り込むことは、なぜ重要なのか。
第2回「『エキスパート求む』と求人票に書いても“真のエキスパート”を雇えない理由」に続き、第3回となる本稿は、「DEI」(Diversity、Equity、Inclusion:多様性、公平性、包摂性)を踏まえた求人票の作り方のポイントを紹介する。連載を通じて紹介する4つのポイントは以下の通りだ。
- 排他的な言葉を把握する(第2回で紹介)
- 必須ではない職務要件は取り除く
- 求人対象者に伝わる言葉を選ぶ(第4回で紹介)
- 限界を理解しつつ、支援ツールを活用する(第4回で紹介)
求人票に記載する職務要件を最小限に絞り込むことが、DEIにつながる理由とは何なのか。
ポイント2.必須ではない職務要件は取り除く
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インクルーシブな職務記述書を作成しようとする場合、求人募集をかけている職種にとって「本当に必要なスキル」は何なのかを考える必要がある。
人材コンサルティング会社AMSでDEIアドバイス担当シニアバイスプレジデントを務めるジュディ・エリス氏によると、企業は職務記述書の職務要件欄に、募集職種で本当に必要な具体的なスキルではなく、「あればなお可」といった程度のスキルまで盛り込みがちだという。例えば募集職種において「ある分野における10年の経験」が「あればよいが、なくても問題がない」程度なのであれば、求人票に「10年の経験」と記載すべきではない。
企業は概して、大学の学位を当然のように職務要件にしている。だが人材採用においてトランスファラブルスキル(移転可能なスキル)やインクルージョンという概念の重要性が高まっており、この慣習は今後消えていく可能性がある。
コンサルティング会社Bain & Companyで最高ダイバーシティー責任者を務めるジュリー・コフマン氏によると、Bain & Companyは自社とクライアント企業の双方で、四年制大学の学位が必要だと定めた求人の見直しを進めている。事務アシスタントやデータ入力の業務は、大学の学位がなくても務まる場合がある。
大学の学位を職務要件とすることで、「掛け値なしに素晴らしい能力を持つ可能性がある人材、ビジネスの成長と繁栄を促進してくれる人材、職場の多様性と包括性を高めるために必要な人材を排除する可能性がある」とコフマン氏は語る。
採用担当者がインクルーシブな求人票を作る際には、身体能力に着目した要件も考え直すべきだ。「求人票で目にする職務要件として『30ポンド(約14キロ)の荷物を持ち上げることができる』というものがある。こうした記載は適切な場合とそうでない場合がある」とエリス氏は指摘する。例えば車いすの利用者にとって、30ポンドの荷物を持ち上げることは容易ではないため、車いすの利用者はこの求人に応募しない可能性がある。倉庫業務の求人票ならば「30ポンドの荷物を持ち上げられること」は職務要件として意味がある。だが「事務の仕事で力仕事が必要なものはほとんどない」とエリス氏は説明する。
求人票は簡潔にまとめることが望ましい。簡潔な内容にすることで、求職者はその職務に本当に重要なことだけに注目することができる。簡潔な求人票は、採用担当者にも恩恵をもたらす。エリス氏によると、求人票は長くなるほど応募者が減るという。応募者が減ると、多様な人材の採用がさらに難しくなる。
第4回は、3つ目と4つ目のポイントを紹介する。
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