教育機関に狙いを定めるランサムウェア【第4回】
ランサムウェア犯罪者への身代金支払い「禁止法」は学校にとって“逆効果”か?
教育機関を狙うランサムウェア攻撃が後を絶たない。米国では、一部の州政府が法制度による身代金支払いの規制に乗り出している。こうした取り組みに対しては「逆効果だ」との専門家の声がある。なぜなのか。
米国において、K-12(幼稚園から高等学校までの教育機関)などの教育機関へのランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃が勢いづいている。この状況を受けて、セキュリティベンダーも、政府機関も、ランサムウェア攻撃への対策を推進している。
「身代金支払いを法律で禁止」は“逆効果”の謎
併せて読みたいお薦め記事
連載:教育機関に狙いを定めるランサムウェア
- 第1回:ランサムウェア犯罪者が「学校」を狙うようになった“なるほどの理由”
- 第2回:学校がランサムウェア犯罪者の身代金要求に応じない“納得の理由”
- 第3回:「銀行から10年遅れている」――学校セキュリティの“残念な現状”
ランサムウェア攻撃の被害
米国土安全保障省(DHS)のセキュリティ専門機関、サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA:Cybersecurity and Infrastructure Security Agency)は、教育機関向けのセキュリティガイドラインを策定した。これは「2021年K-12サイバーセキュリティ法」(K-12 Cybersecurity Act of 2021)が義務付けるサイバーセキュリティ強化の実現に向けた取り組みだ。2023年1月には、CISAは教育機関のセキュリティ対策に関する報告書も発表した。
CISAは、K-12がサイバーセキュリティの計画策定、運用、保守を実施するための実践的なガイドライン群を公開済みだ。このガイドライン群は以下3つの推奨事項を、実現方法や参考情報と共に解説している。
- 実績のあるセキュリティ対策の導入
- 金銭的、人的リソースの制約への対処
- 脅威とインシデントに関する他組織とのコミュニケーション
依然として教育機関は、サイバーセキュリティの効率的な構築や充実のための資金を十分に確保できていない。こうした状況は、セキュリティ専門家が指摘する通りだ。
教育機関に特化した措置ではないものの、ノースカロライナ州とフロリダ州は、サイバー攻撃に関連する身代金の支払いを禁止した。攻撃者に、公的機関への攻撃を思いとどまらせる狙いだ。
両州の措置による効果については、議論が分かれている。セキュリティベンダーGroupSenseの創業者兼CEOであるカーティス・マインダー氏は、州政府がこうした法律を施行しても身代金の支払いに歯止めは掛からず、組織はひそかに身代金を支払うと推測する。
「この措置は逆効果になる」とマインダー氏は持論を展開する。「『身代金を支払う』『支払わない』に次ぐ第3の選択肢を提供しなければ、攻撃を助長してしまう」と同氏は指摘。ただし第3の選択肢は「まだ存在しない」(同氏)のが現状だ。
第5回は、進化するランサムウェア攻撃の手法を紹介する。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
5
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
6
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
-
7
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
8
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
9
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
10
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー