米国で、教育機関におけるランサムウェア攻撃の被害が相次いでいることには理由がある。それは教育機関のセキュリティ対策水準が、他の業種と比べて高くないことだ。具体的には、どの程度なのか。
K-12(幼稚園から高等学校までの教育機関)などの教育機関は、セキュリティ対策にあまりコストを掛けない傾向がある。そのためセキュリティがもろくなりがちで、攻撃者にとって格好の標的となっている。
例えば攻撃者は以下の方法を用いて、脆弱(ぜいじゃく)な外部向けシステムから直接、教育機関のシステムを侵害する。
攻撃者は、教育機関を狙った攻撃を拡大させてきた。一方でセキュリティベンダーNCC Groupの脅威インテリジェンス担当グローバル責任者であるマット・ハル氏は「銀行を狙うランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃者は、ほとんど存在しない」と話す。銀行に対するサイバー攻撃を成功させることが難しい理由として、同氏は銀行のセキュリティ対策が強固であることを挙げる。
「セキュリティ対策があまり進んでいない教育、医療、公共部門などの業種は、銀行ほどセキュリティ投資をしていない」とハル氏は指摘する。同氏の見解では、こうした業種は、銀行をはじめセキュリティ対策が進んでいる業種よりも「10〜15年遅れている」という。
セキュリティ推進団体Center for Internet Security(CIS)の報告によると、CISが米国組織向けに提供するセキュリティ水準評価サービス「Nationwide Cybersecurity Review」で見たK-12のセキュリティ対策成熟度スコアは、7点満点中3.55点だ。IT予算に占めるセキュリティ対策費の割合が1%に満たないK-12もある。これらの事実は、教育機関のセキュリティ対策の手薄さを物語っている。
CISの報告は、K-12におけるセキュリティ対策について「改善を要する」と判断した分野として、以下を挙げる。
セキュリティベンダーGroupSenseの創業者兼CEOのカーティス・マインダー氏は、「複数の教育機関をつなぐネットワークに接続するシステムが、さらなる危険性を招いている可能性がある」と指摘する。ある教育機関のシステムへの侵入に成功すれば、さらに他の教育機関システムにも侵入できる可能性があるためだ。
第4回は、政府やセキュリティベンダーが呼び掛けるランサムウェア攻撃対策と、現状の問題を取り上げる。
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