自治体を狙うランサムウェア攻撃【前編】
ランサムウェアに襲われた自治体が、身代金を払わないために使った“切り札”とは
世界各国の自治体は、ランサムウェア攻撃に備えてどのような対策を進めているのか。実際にランサムウェア攻撃を受けた米国地方都市の取り組みを紹介する。
「まさか」のタイミングだった。カリフォルニア州ランチョクカモンガ市のITディレクターを務めるダリル・ポーク氏がランサムウェア(身代金要求型マルウェア)対策についての講演を録画していたその日、同市は他でもないランサムウェア攻撃を受けた。
ランサムウェア被害の自治体が“あの切り札”で身代金の支払いを回避
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ランサムウェア攻撃の手口が巧妙化している
ランサムウェア攻撃を乗り越えた米国自治体の事例
2021年5月下旬、バックアップベンダーのVeeam Softwareが主催したオンラインカンファレンスでポーク氏は、ランチョクカモンガ市が直面したランサムウェア攻撃のいきさつを説明した。同市はカリフォルニア南部に位置する中規模都市だ。「ランサムウェア攻撃を受けた日は、朝からIT現場は大騒ぎだった」とポーク氏は振り返りながらも、被害については「あまり心配はなかった」と言う。同市は「しっかりしたバックアップ対策」(同氏)を講じていたからだ。ランサムウェア攻撃は幸い、システムがブロックしたことで不成功に終わった。
公的機関や民間企業にとって、ランサムウェア対策は必須のセキュリティ対策になりつつある。大型のランサムウェア攻撃が後を絶たないからだ。直近だと、石油パイプライン大手のColonial Pipelineやバックアップ用ストレージベンダーのExaGrid Systemsが標的になり、いずれも数百万ドルの身代金を支払ったことで注目を浴びた。
ここ数年、自治体も相次いでランサムウェア攻撃を受けている。フロリダ州サラソータ市は2016年2月にランサムウェア攻撃を受けた。同市ITディレクターのエルミニオ・ロドリゲス氏は、「攻撃はフィッシングメールで始まり、市職員のIDとパスワードが流出した」と述べる。その後、ランサムウェアは約12TBに相当するデータを暗号化し、人事部門や経理部門のシステムを使えなくしたという。
IT部門がバックアップソフトウェアを使って迅速に動いたため、サラソータ市は約15時間でシステム復旧にこぎ着けた。それにより身代金を支払わずに済んだ。「あの時ほど、バックアップのありがたさを感じたことはない」とロドリゲス氏は振り返る。
ランサムウェア攻撃の教訓として、ロドリゲス氏は市職員のセキュリティ意識の向上に注力してきた。「ランサムウェア攻撃は『起きるか起きないか』ではなく、『いつ起きるか』の問題だ」と力を込める。
後編は、手口が巧妙化するランサムウェア攻撃に自治体はどう対処しているかを紹介する。
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