コンピュテーショナルストレージへの期待【第1回】
SSDのちょっと特殊版? コンピュテーショナルストレージがなぜ生まれたか
よくある汎用(はんよう)的な「SSD」とは機能面において一線を画すのが「コンピュテーショナルストレージ」だ。コンピュテーショナルストレージがなぜ生まれたのか、なぜ役立つのかなど基本を解説する。
演算処理をCPU(中央処理装置)が担い、SSDなどのストレージからCPUにデータを転送するのが一般的だ。だが「コンピュテーショナルストレージ」の場合は違う。例えばSamsung Electronicsは、演算処理が重くなりがちな用途向けのSSDとして「SmartSSD」を提供している。これはコンピュテーショナルストレージの一つだ。
なぜ「SSDのコンピュテーショナルストレージ」が生まれたのか
CPUが演算処理を担うことを前提にしている通常のSSDと、コンピュテーショナルストレージの違いは比較的単純だ。まず、コンピュテーショナルストレージは大きく2つに分けることができる。
1つ目は、プログラム可能型だ。ユーザーが望む機能を実行するようにプログラムでき、その機能を実行するためにストレージ自体に演算機能が組み込んである。演算機能があることは、どのコンピュテーショナルストレージにも共通する。
2つ目は、プログラム不可能な機能固定型だ。一見すると標準的なストレージに似ているが、ストレージ自体に演算機能があるかどうかに違いがある。データ圧縮や暗号化といった単純なタスクを実行可能であるため、一般的な用途よりもデータ量が多くなる用途に向いている。ストレージでそうしたタスクを実行することで、CPUの負荷を軽減できる。
SSDに演算機能を組み込むコンピュテーショナルストレージが登場した当初は、プログラム可能であることに期待が集まっていた。だが市場の現状を見ると、プログラム可能型よりも機能固定型への注目度の方が高まっていると考えられる。
機能固定型は、特定用途の演算処理をストレージに担わせるというコンピュテーショナルストレージの基本構造をうまく生かしており、市場ではプログラム可能型よりも安定的に引き合いを得ている。プログラム可能型を手掛けたベンダーの一部は、既にその事業から撤退した。
コンピュテーショナルストレージの基本
コンピュテーショナルストレージは、比較的単純なコンセプトに基づいている。SSDは通常、SSD内部の操作を管理するためのコントローラーを搭載している。コントローラーの演算能力の一部を、SSD内部の操作以外にも活用したら何ができるのか――。これがコンピュテーショナルストレージの発想の基だ。
SSDからCPUへのデータ転送は、SSDの帯域幅(通信路容量)を消費する。一部の用途についてはSSD内部で演算処理ができるようにすれば、帯域幅を膨大な帯域幅を必要とする他の用途に割り当て、その処理を高速化できるというわけだ。
SSDはIOPS(1秒当たりの入出力数)などの性能において進化を続けてきた。だがシステム内のネットワークの帯域幅やコンピューティングリソースが不十分だと、そうした最新SSDの利点を生かし切ることはできない。コンピュテーショナルストレージを導入することで、CPUの負荷軽減や、システム内のトラフィック(ネットワークを流れるデータ)の低減が見込めるのだ。
第2回は、機能固定型のコンピュテーショナルストレージについて、より具体的に解説しよう。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
10
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー