押さえておきたいテープの基本【第3回】
実はHDDくらい現代的? 意外に知られていない「テープの使いやすさ」とは
企業は「テープ」の特性を生かすことで、データ保管に関するさまざまなメリットを享受できる可能性がある。意外に知られていない、テープの幅広い使い方を紹介する。
「磁気テープ」(以下、テープ)は、保存容量や管理機能などさまざまな点で進化している。データ保管の一部の用途においてテープは重要な役割を果たし続けてきたが、HDDやクラウドストレージに劣らず、テープの用途は幅広くなっている。テープが使いやすくなった背景には何があるのか。
HDDくらい現代的? 「テープ」が実は使いやすい理由とは
併せて読みたいお薦め記事
連載:押さえておきたいテープの基本
ストレージならこちらの話題も
複数種類のストレージを組み合わせてデータを管理する「階層型ストレージ」の仕組みにおいて、テープは1つの階層を成すストレージとして使われることがある。階層型ストレージの場合は、アクセス頻度の低いデータを自動的にテープに移動させる機能があるため、ユーザーはデータがテープにあることをほとんど意識することはない。
テープは特に以下の役割で使われる傾向にある。
- コールドデータの保管(コールドストレージ)
- コールドデータは使用頻度の低いデータ
- ウォームデータの保管(ウォームストレージ)
- ウォームデータは、ホットデータ(頻繁に使用するデータ)と、コールドデータの中間的なデータ
- アクティブアーカイブ
- データをすぐに使用できる状態で保管しておくアーカイブ(長期保管)
階層型ストレージにおけるデータ管理の役割はストレージ管理ソフトウェアが担う。ストレージ管理ソフトウェアは、具体的には以下の役割を担う。
- ストレージ階層間のデータ移動を管理する
- データがどこにあるのかを特定する
- テープのロードディング遅延(テープからデータを読み出す際にかかる時間)をできる限り短縮する
テープ規格「LTO」(リニアテープオープン)用のファイルシステムである「LTFS」(Linear Tape File System)を使えば、メタデータを参照することでテープに保存されているデータを探しやすくなる。
このような技術進歩によってテープのデータを使いやすくなっているので、テープの用途は多様化している。例えばBI(ビジネスインテリジェンス)ツールやCRM(顧客関係管理)システムからでもテープのデータを取り出せる。
テープの定番の用途であるバックアップに関しては、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)対策としてテープを活用している組織がある。本番システムが稼働する拠点からは離れたオフサイトでテープによるバックアップを保管し、ランサムウェアの攻撃者からのアクセスを防ぐといった具合だ。こうした運用は、ネットワークに接続しておくことが基本のHDDでは実現しにくい。
クラウドストレージとの併用、またはクラウドストレージの代替としてテープを活用することも可能だ。クラウドストレージはアーカイブ(長期のデータ保管)に適しており、この点はテープと共通する。クラウドストレージの注意点の一つは、クラウドストレージから外部のインフラにデータを移動する際には「エグレス料金」(外部への転送料金)が発生することだ。自社のインフラでテープを保管するのであればエグレス料金は発生しない。
バックアップの基本ルールである「3-2-1ルール」を実践する際のストレージの一種としてもテープは役立つ。3-2-1ルールは以下の通り。
- 本番データ以外に「3つ」のコピーを作成する
- データ保存に「2種類」の記録媒体を使う
- データコピーの「1つ」をオフサイトに置く
長期的に保管するデータを社内に1つは置いておきたいと考える企業にとって、テープは有用な選択肢になる。
次回は、テープを使用するに当たって知っておくべきテープの短所をまとめる。
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
7
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
10
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー