製造現場を変える8つの変化
AI、クラウド、5G――産業界でもう始まっている「自動化革命」に乗り遅れるな
産業界ではAI技術による自動化、クラウドサービス、5Gなど高速通信の融合が進んでおり、有識者は「新たな変革が迫っている」と分析する。産業界で今起こっている8つの変化を紹介する。
産業界は完全自動化に向けて競争を加速させており、2025年は変革の転換点になるとの見方がある。その主役を担うのは、人工知能(AI)技術を活用したシステム、クラウドサービスを活用した分析技術、5G(第5世代移動通信システム)をはじめとする高速通信だ。コンサルティング企業Frost & Sullivan(以下、F&S)の分析によれば、同業界では、それらの技術を連携させて工場のオペレーションを再構築する、サプライチェーンを最適化するといった動きが進んでいる。
F&Sは、産業界における自動化の進展を「革命」と位置付け、AI技術による自動化が産業変革における戦略的原動力となると予測している。本稿はAI技術をはじめとする技術が産業界に与える影響と、今後の展望を解説する。
産業界で起きている8つの進化とは
F&Sによると産業界における8つの進化は以下の通りだ。
- 業種を超えた連携を可能にするグローバルな自動化拠点の構築
- AI技術を活用したマシンビジョン(画像処理技術)による品質管理の高度化
- AI技術主導の予知保全による、ダウンタイム(停止時間)ゼロの実現
- クラウドサービスを活用した業務プロセスの自動化と、高度なデータ分析の連携
- 適応性に優れた多目的産業用ロボットの開発
- リアルタイムのデータ分析によるサプライチェーンの最適化
- 5Gによる通信の強化
- デジタルツインと自律型生産ラインによる製造プロセスの進化
- デジタルツインは、現実世界の物体やプロセスをデジタル空間で再現したもの
これらの要素が組み合わさることで、次世代のスマートファクトリーが形成されつつあるという。
F&Sの分析をさらに詳しく見ると、工場ではAI技術による予知保全を活用することで、コストのかかる突発的な稼働停止を排除する動きが進んでいる。スマートセンサーとアルゴリズムを組み合わせ、設備の稼働状況をリアルタイムで分析し、故障を事前に予測する仕組みが普及しつつある。F&Sは、この変化によって、機器の寿命が延び、修理コストの削減が可能となり、生産の中断を最小限に抑えることができるようになると分析する。
F&Sは、クラウドサービスを中心とした自動化が産業全体の効率を根本から変える可能性を持つとみている。クラウドサービスで、ロボティクス(ロボットとAI技術を組み合わせた自律制御技術)、AI技術、モノのインターネット(IoT)に関するデータを一元管理することで、現在の状況をリアルタイムで把握できるようになる。そうなれば製造業者は業務の最適化や遠隔でのパフォーマンス監視、必要に応じて自動化の規模を迅速に拡大させることが可能になる。
今後の注目点としてF&Sが挙げるのが、エッジ(データの発生源であるデバイスの近く)でのデータ処理とクラウドサービスの連携、AI技術による高度なデータ分析、産業用サイバーセキュリティの強化だ。これによって、よりスマートで高速かつ安全な産業自動化が可能になると同社は予測する。
F&Sのコンテンツイノベーションマネジャーであるプリヤジート・スラナ氏は次のように語る。「産業自動化の革命は、加速し続けている。AI技術による精密制御、クラウドサービスを用いた自動化、5Gによる接続性を積極的に取り入れている企業こそが、次世代の産業界をリードする存在になる」
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