フリーランスエンジニアの理想と現実
収入ゼロの恐怖と戦うフリーランス それでも「正社員に戻りたくない」理由
時間や場所に縛られない働き方として定着するフリーランス。経験豊富なITエンジニアであっても「収入が途絶える不安」から単価を妥協しているのが現状だ。不安定な状況でも、彼らがフリーランスを辞めない理由とは。
企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進が加速する中、慢性的なIT人材不足が深刻化している。こうした状況下で、高度な専門スキルを持つITエンジニアの自由な働き方として、フリーランスという選択肢が広く認知されるようになった。企業の枠組みにとらわれず、自身のライフスタイルに合わせた働き方を実現できる点が魅力だ。企業にとっても、必要な時に必要なスキルを持つ人材を迅速に確保できるという点で、フリーランスの活用は理にかなっている。その半面、独立した個人事業主として安定した収入を継続的に確保することの難しさも、業界内の共通課題として認識されている。
IT人材事業を展開するキッカケクリエイションは、フリーランスのITエンジニアとして5年以上勤務する110人を対象に、2025年12月15日から18日にかけて、案件獲得に関する実態調査を実施した。その結果からは、業界で一定以上の実績を積んだ経験豊富なエンジニアであっても、案件獲得手法が特定の人脈に依存しがちな傾向や、理想とする労働条件と現実の獲得条件の間に生じる葛藤が浮き彫りになった。
調査結果から見えてくるのは、案件選びにおいて単価やテレワークといった条件を重視する一方で、実際の契約局面では希望条件を妥協せざるを得ない厳しい現実だ。自由な働き方と安定した収入の両立を阻む構造的な問題とは何か。
ベテランITエンジニアでも単価を下げる苦渋の決断
ベテランのフリーランスエンジニアが直面する最大の壁は、案件の獲得経路の偏りと、それに伴う交渉力の低下にある。
調査によれば、現在案件を獲得している主な方法は「知人、友人からの紹介」(41.8%)が最も高い。次いで「企業との直接契約」(37.3%)や「過去の取引先からのリピート」(37.3%)が続く結果となった。こうした属人的なつながりを経由する獲得経路は、クライアントとの信頼関係を築きやすく、営業活動の手間を省けるという明確な利点がある。しかし、個人のネットワークのみに依存した案件獲得は、案件が途切れるリスクと常に隣り合わせの不安定な状態を生み出している。
案件を決める際の判断軸として「単価の高さ」を最重視する声が47.3%に上る一方で、31.8%が案件選びで「単価を下げざるを得なかった」と回答した。「興味のないプロジェクト内容を受け入れた」(21.8%)や「稼働時間の柔軟性を諦めた」(19.1%)といった条件面の譲歩も少なくない。
妥協せざるを得なかった理由を探ると、「収入を確保する必要があったから」が62.0%と突出しており、「案件が途切れることへの不安があったから」(36.6%)がそれに続く。5年以上のキャリアを持ち、本来であれば高い価値を提供できるはずのスキルや経験を備えるエンジニアでも、手持ちの案件が終了した途端に収入がゼロになるという恐怖から、自らの市場価値を下げる不本意な選択を迫られている実態がある。これは、案件獲得のための営業活動に時間を割くことが難しく、目の前の業務に追われがちなフリーランス特有の構造的な弱点であるとも言える。
収入に対する不安は、案件の契約期間に関する考え方にも影響を与えている。短期案件を好む層は、その理由として「長期的な拘束を避けたいから」(51.4%)や「単価交渉がしやすいから」(40.0%)といった、フリーランス本来の強みである機動力を挙げる。これに対して、長期案件を好む層は、「収入が安定するから」(71.1%)、「案件探しの手間が減るから」(55.6%)と回答しており、収入源の確保と営業にかかる手間の削減を優先する切実な姿勢がうかがえる。週5日以上稼働するフリーランスが約6割(58.2%)を占めるという事実からも、1つの案件に深く入り込む働き方が主流となっていることが分かる。
それでも、正社員に戻りたいと考える人は少数にとどまる。「今後もフリーランスとして働き続けたい」と回答した割合は72.7%と、7割を超えた。その理由の筆頭は「働く時間や場所を自由に選べるから」(66.2%)であり、「人間関係のストレスが少ないから」(48.8%)、「組織に縛られずに働けるから」(47.5%)と続く。企業に属さないことによるライフスタイルの質的向上は、収入面の不安を補って余りある価値をもたらしていることが分かる。一方で、少数派である正社員志望者がその理由を「福利厚生を受けたいから」(60.0%)、「社会保険や年金面での不安があるから」(50.0%)と回答していることからも、フリーランスという働き方が抱える制度的なセーフティーネットの脆弱(ぜいじゃく)性は無視できない課題だ。
こうした理想の働き方を維持しつつ、収入の安定とキャリアの発展を図るためには、特定の獲得経路に依存しない個人のリスク管理が不可欠だ。特定の人脈を通じた継続的な案件確保には限界があり、市場の需要を客観的に把握して自身の市場価値を適正に保つ努力が求められる。時間や場所に縛られないフリーランスエンジニアは、デジタル化を推進する企業にとっても重要な人材だ。フリーランスという選択肢を持続可能なものにするためには、個人が適正な評価を得られる自立したキャリア形成と、外部人材に対する企業の適切な受け入れ体制の構築が、今後さらに重要になると考えられる。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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