4.5万人規模のシステムをソブリンクラウドで運用
「終わらない更新」「分散した窓口」からの脱却 JA共済連のクラウド刷新
4万5000人が利用するシステムの裏で、JA共済連の情シスは頻繁なバージョンアップと分散したサポート窓口に悩まされていた。運用負荷を削減するために選ばれた「ソブリンクラウド」の真価とは。
クラウド活用で情報システム部門を悩ませるのが「運用保守の肥大化」だ。クラウドサービスやミドルウェアごとにサポート窓口が分散していると、障害発生時に複数の問い合わせ先に確認する必要があったり、頻繁なバージョンアップが発生したりして、情報システム部門の手間を増やすことになる。
全国の職員約4万5000人が日常的に利用する巨大システムを抱える全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)も、こうした課題に直面していた。JAグループの共済事業を担うJA共済連は、各地域の契約実績管理やWebマイページへの登録数計測などに情報系システムを活用している。このシステムにおける頻繁なバージョンアップとサービスごとに分散した問い合わせ窓口による煩雑な保守が、情報システム部門を悩ませていた。現場が活用するBI(ビジネスインテリジェンス)ツールはデータ分析に一定の知識や経験が必要であり、より多くの職員がデータを活用しやすい体制の整備、すなわち「データ活用の壁」の打破も求められていた。
これらの「運用保守の限界」と「データ活用の壁」を突破するため、JA共済連は新たなインフラへの移行を決断した。ここで選定されたのが、一般的なパブリッククラウドではなく、国内のデータセンターで運用され、ユーザー組織のデータ主権を国内で確保できる「ソブリンクラウド」だった。
「終わらない更新」と「データ活用の壁」にどう立ち向かうか
併せて読みたいお薦め記事
インフラ刷新による運用負担の軽減
JA共済連は、情報系システムの新たなインフラとして富士通のソブリンクラウド「Fujitsu クラウドサービス powered by Oracle Alloy」とBIツール「Oracle Analytics Cloud」を採用した。2026年8月18日、システムの構築を支援する富士通が発表した。システムの保守・運用にかかる負荷を大幅に軽減する。AI技術によって専門知識を持たない職員のデータ活用を促し、経営層や営業現場での意思決定の高度化を目指す。
JA共済連は、各地域の共済ごとの契約実績管理やWebマイページへの登録数計測などに情報系システムを活用している。全国本部や県本部、JAの職員約4万5000人が日常的に利用する規模であり、これまで情報システム部門が中心となって運用や保守を担ってきた。
しかし、頻繁に発生するシステムのバージョンアップの負担が大きな課題となっていた。加えて、利用するクラウドサービスやミドルウェアごとに問い合わせ窓口が分散しており、サポートへの連絡が煩雑になっていた。従来のBIツールはデータ分析に一定の知識や経験が必要であり、より多くの職員がデータを活用しやすい体制の整備も求められていた。
これらの課題を解決するため、新たなインフラとして富士通のソブリンクラウドへの移行を決断し、2026年8月17日にシステム構築を開始した。国内のデータセンターで運用されるため、高い機密性を備え、共済事業のデータ主権を国内で確保しながら、地政学的リスクやサイバーセキュリティ対策も強化できる点を評価した。
新たなシステムでは、富士通がインフラの設計から運用、保守、サポートまでを一貫して担う。窓口が一本化されるため、バージョンアップ作業や障害発生時の問い合わせにかかる負荷が抑えられる。専任担当者が性能評価やセキュリティ分析を実施することで、安定的な運用と保守業務の効率化を両立させる。
同時に採用したOracle Analytics Cloudによって、データ分析の知識が少ない職員でも高度なデータ活用が可能になる体制も整えた。高い操作性とAI支援機能を備え、膨大なデータから必要な情報を容易に抽出できるようになると見込む。今後は、運用時の性能低下検出や問い合わせ対応などにもAI技術を活用し、さらなる業務効率化を目指す方針だ。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHUB.News」に掲載された「JA共済連、情報系システム基盤を富士通のソブリンクラウドで刷新 AIでデータ活用促進も」(2026年8月19日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
AI時代の自律的なパートナー 「データエージェント」構築&活用ガイド -
製品資料
使用中のデータを保護して安全な共同開発へ、クラウド時代のデータセキュリティ -
製品資料
“AIによる高速な脆弱性検出”対策を行う、RHELの統合セキュリティ機能とは? -
製品資料
企業ITを支える定番Linuxの運用管理、手動の限界を乗り越える手法とは? -
製品資料
AIとクラウドネイティブの課題を解決する、シンプルで費用対効果に優れた方法
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
2
なぜ人はいるのにDXが進まない? ライオンも直面した“老害”レガシーシステム
-
3
IT人材の42%が転職予備軍 辞めさせない組織の4つの共通
-
4
イーロン・マスク氏が生成AI「Grok」をオープン化する“語られない狙い”
-
5
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
6
GitHubが指摘 AIが書いた「おそらく動くコード」が招くシステム崩壊
-
7
なぜOpenAIやAnthropicのAIは「脱走」したのか 情シスが迫られるエージェント統制
-
8
Azure Red Hat OpenShiftは脱VMware問題の救世主になるか? 技術資料で解説
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
ライオンが脱レガシーシステムのパートナーに「Google Cloud」を採用した理由
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
属人化や仕様バグはなぜ起きる? AI時代に必須のドキュメント文化の作り方
-
2
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
3
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
4
5分で分かる「AI駆動開発エージェント」 要件定義から設計・実装・テストまで
-
5
中小企業必見、Microsoft 365でゼロトラストセキュリティを実現する方法
-
6
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
7
コスト分析で見る「デバイス復旧」の代償 損失額から導きだされた投資戦略とは
-
8
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
9
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
10
オープンウェイトLLMの推論最適化事例:ローカル環境で応答速度を約15分の1へ
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー