「生成AIでデータ分析」のわな
データ活用・BI推進業務326人に聞いた AI活用より先に解決すべき課題第1位は
ウイングアーク1stは、生成AIを使ったデータ活用・分析業務の内製化に関する調査結果を発表した。経験者の87.2%が業務に課題を感じており、内製化を進める前にまずやるべきことがあることが分かった。
生成AIを使えば、データ分析を現場主導で内製化できる――。そう期待して導入を進めても、AIだけでは解決できない問題があるようだ。データ活用・BI推進担当者326人への調査から、AI活用を阻む“基盤側の課題”が見えてきた。
ウイングアーク1stは2026年8月28日、生成AIを使ったデータ活用・分析業務の内製化に関する調査結果を発表した。対象は、過去2年以内にBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを利用しながら、「ChatGPT」や「Gemini」などの生成AIを使ったデータ活用・分析業務の内製化を実施した、または現在取り組んでいる担当者や責任者326人。調査は2026年6月4~5日にオンラインで実施した。
約9割が生成AIによるデータ活用に「課題あり」
まず目立つのが、生成AIを導入しただけではデータ活用が順調に進むとは限らない点だ。
調査では、「生成AIで社内のデータ活用・分析業務を行う上で現在課題を感じているか」と尋ねた。その結果、「非常にそう思う」が34.4%、「ややそう思う」が52.8%だった。合わせて87.2%が、何らかの課題を感じていることが分かった。
AI内製化に取り組んだ背景を尋ねた質問に対して、最も多かった回答は、「業務効率化を進めたかったから」の61.0%だった。「データ分析にかかるコストを削減したかったから」が48.8%、「既存のBIツールに使いにくさを感じていたから」が42.3%と続いた。
つまり、効率化やコスト削減を狙って生成AIを取り入れたものの、実際に運用してみると別の問題が表面化していることが示唆されている。
AI内製化を阻む課題第1位は「業務システムとの連携」
では、具体的に何がAI内製化の障壁になっているのか。調査では、生成AIによるデータ活用・分析に「課題を感じる」と回答した284人に、具体的な問題を尋ねた。その結果、第1位の回答は「基幹システムなど業務システムとの連携が不十分なこと」(52.1%)だった。
第2位は「全社横断でのデータ統合・整備に手間がかかること」(46.1%)、第3位は「アウトプットの精度や再現性が低くなること」(41.5%)だった。
注目すべきは、上位2項目がAIモデルそのものではなく、既存システムとの連携やデータ整備に関する課題であったことだ。
生成AIに分析を任せようとしても、必要なデータを基幹システムや各種SaaSから適切に取得できなければ分析は始まらない。部門ごとにデータ形式や管理方法が異なれば、AIに渡す前の統合や加工にも手間がかかる。
AI内製化を進める情シスにとって、生成AIツールの選定やプロンプト作成だけでなく、「AIが利用できる状態でデータを供給できるかどうか」が重要な前提条件になる。
実際に始めて分かった「想定外の手間」
この傾向は、AI内製化を始める前に抱いていた期待と、内製化を実際に進めたことで直面した課題にも表れている。
「全社的なデータ活用・分析業務のAI内製化に取り組む中で、当初の想定と『実際』とのギャップを感じた点」を尋ねた質問では、「出力結果の精度や再現性が想定より低かった」が45.7%で最多だった。
一方、「データ整備・準備に想定以上の時間がかかった」が44.5%、「業務システムとの連携で想定以上に苦労した」が43.9%となり、ほぼ同水準だった。
生成AIの回答精度を高めるだけでは、データ活用の課題は解決しない。社内に分散するデータの所在を把握し、形式をそろえた上で、基幹システムなどから継続的にデータを取得できる仕組みを整える必要がある。調査結果からは、こうしたAIを使う前段階のデータ整備やシステム連携に、想定以上の手間がかかっていることがうかがえる。
自由回答でも、「生成AIの出力を人が確認する必要がある」「個人利用の増加によるセキュリティや属人化が心配」「アップデートが激しく、全社展開に工数がかかる」といった声が寄せられた。
生成AIだけでデータ分析を完結できるのか
「生成AIだけで、経営判断や業務改善に資する高度なデータ分析・可視化を完結できるかどうか」を尋ねたところ、「全くそう思わない」が8.9%、「あまりそう思わない」が27.0%だった。合計すると35.9%が生成AIだけで完結することに否定的だった。
調査では、否定的に考える117人にその理由を尋ねた。その結果、「アウトプットの精度にばらつきが出てしまうから」が44.4%で最多。「リアルタイムでデータを反映することができないから」が40.2%、「大量データを安定して処理できないから」が32.5%だった。
生成AIは自然言語による分析支援やデータの解釈には向いていても、企業のデータを継続的かつ安定的に処理する基盤まで単独で担えるとは限らない。
AI内製化後に「BIへ任せたい」と感じた業務
回答からは、AI内製化を実際に進める中で、生成AIだけでは担いにくい業務が見えてきたことが示唆されている。調査では、生成AIとBIツールにはそれぞれ得意な領域があると考える担当者が多い結果となった。
データ分析・可視化において「生成AIが得意な領域とBIツールが得意な領域は分かれている」と答えた割合は、「非常にそう思う」の37.7%と「ややそう思う」の49.1%を合わせて86.8%に達した。
AI内製化を経験した上で「改めてBIツールに任せたい」と感じる領域の第1位は、「リアルタイム監視・異常検知」の49.1%だった。
続いて「全社横断のデータ統合と一元的な可視化」が38.0%、「業務システム(ERPなど)と連動したデータ処理」が37.1%となった。
ここでも、リアルタイム処理、データ統合、業務システム連携といった「継続的にデータをつなぎ、管理する仕組み」が上位を占めている。
「生成AIかBIか」ではなく役割分担を考える
今後のデータ活用では、生成AIがBIツールを置き換えるのではなく、それぞれの得意分野に応じて使い分ける考え方が広がっている。
「今後の全社的なデータ活用・分析業務において、生成AIとBIツールはどのような関係性になるか」と聞いた質問では、「業務や場面によって使い分けが進む」が27.0%、「役割を分担しながら共存・併用していく」が22.1%となった。両回答を合わせた49.1%が、使い分けや併用を想定していることが分かった。
本稿は、ウイングアーク1stが2026年8月28日に公開した【AI内製化の現場とデータドリブン経営基準】 AI内製化経験者の約9割が、生成AIでのデータ活用・分析に「壁」を実感を基に作成しました。
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