形骸化を防ぐ運用の内製化
ISMSの“コンサル丸投げ”が招く数千万円の無駄 NTTドコモビジネスの脱出劇
ISMS認証の取得や維持を外部コンサルタントに依存し続けると、年間数千万円規模のコストが発生する上、現場の運用は形骸化しやすい。NTTドコモビジネスが直面した課題と、ツール活用による内製化事例を紹介する。
情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証の取得・維持は、企業の信頼性を保証する上で欠かせない。しかし、その実務を外部コンサルタントに全面的に依存し、「『Microsoft Excel』や『Microsoft Word』での管理」を漫然と続けていると、問題を引き起こすことがある。
NTTドコモビジネスでリアルタイム通信サービス「SkyWay」を開発・運用する部門は、2024年11月にISMS認証を取得した。しかし、初回取得時は外部コンサルタント主導で進めたため、膨大なMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordのドキュメントが共有フォルダに散在する事態となっていた。その結果、ドキュメント全体のつながりやルールの意図を現場が把握し切れず、手作業によるバージョン管理や承認フローの運用が大きな負担となっていた。
複雑な計算を伴うリスクアセスメントが実務とかみ合わず、形式的な運用に陥る懸念も生じていた。認証維持にかかるコンサルティング費用は年間数千万円規模に上っており、このまま継続すること自体が課題となっていたという。
こうした課題を根本から解決するため、SkyWayの開発・運用部門は専任者を置かずに日常業務の範囲内でISMS認証を維持できる専用ツールの導入を決断した。そこには、単なる費用削減を超えた「運用の内製化」という目的があった。
コンサル依存からの脱却で年間数千万円の費用を削減
NTTドコモビジネスは、SkyWayの開発・運用部門で、ISMS/Pマークの規格準拠自動化ツール「SecureNavi」の利用を開始した。2026年8月24日、SecureNavi社が発表した。従来発生していた外部コンサルティング費用を大幅に削減しながら、担当者の業務負担を増やすことなくISMS認証の運用・維持の内製化を達成した。
NTTドコモビジネスのSkyWay開発・運用を担う部門は、2024年11月にISMS認証を取得した。しかし、初回取得時は外部コンサルタント主導で進めたため、膨大なMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordのドキュメントが共有フォルダに散在。担当者が全体のつながりやルールの意図を把握し切れず、審査時に必要な資料を探す作業や、手作業によるバージョン管理、承認フローの運用が大きな負担となっていた。複雑な計算を伴うリスクアセスメントが実務とかみ合わず、形式的な運用に陥る懸念や、維持にかかる年間数千万円規模のコンサルティング費用の継続も課題となっていた。
こうした課題を解決するため、複数の選択肢を比較検討した結果、2025年1月にSecureNaviを採用した。選定に当たっては、従来のコンサルティング継続費用と比べて月々十数万円レベルに費用を抑制できる点や、充実した解説記事によって専任者を置かずに日常業務の範囲内で認証を維持できる点を評価した。Webアプリケーションで全ての変更履歴や承認フロー、ドキュメントのつながりを一元管理・可視化できる点も決め手となった。
SecureNaviの運用開始によって、外部コンサルティング費用を削減しながら、自社主導で認証を維持できる体制を構築した。ドキュメントや証拠データがツール上に一元管理されたことで、継続審査での書類確認が迅速化し、実務的な改善に向けた対話に時間を充てられるようになった。法令や規格の改定に関するアップデート通知機能や、定期的に更新される従業員向けセキュリティ教育のeラーニング機能を活用することで、運用管理の省力化と規格改定の見落としリスク防止も図っている。
新メンバーへの引き継ぎの際も、SecureNaviで年間のプロセスやタスクを体系的に示すことで、約1時間半のミーティング1回で運用の全体像を共有できている。
SkyWayの開発・運用部門でセールスなどを担当する加藤氏は、「自分たちである程度手を動かして取り組んだ方が内容も身に付き、組織のためにもなる。システムで審査の要求事項と提示すべき内容の関係が整理されていたため、継続審査にも落ち着いて臨め、実務的な改善の話に時間を割くことができた」と話す。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHUB.News」に掲載された「NTTドコモビジネス、ISMS運用を内製化 コンサル費用削減と審査対応の効率化を両立」(2026年8月24日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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