「全てAIに任せる」はしない
DMM Boost、LINE問い合わせの有人対応を半減 AIと人をどう切り分けた?
DMM Boostは、LINEで受け付ける問い合わせを内容に応じてAI、有人対応、フォーム誘導に振り分ける仕組みを構築した。一次対応で有人対応が必要な問い合わせ件数を導入前の約半分に減らした。具体的に何をしたのか。
問い合わせ対応をAIに任せれば、人手を減らすことができる。ただし、全てをAIに任せればいいわけではない。
リピート促進や新規集客を支援するSaaSを展開するDMM Boostは、LINEで受け付ける問い合わせを「AI」「有人」「ルールベース」の3種類に切り分ける仕組みを構築した。その結果、一次対応で有人対応が必要な問い合わせ件数を導入前の約半分に減らしたという。
同社は、どのような基準でAIと人の役割を分担したのか。
LINEとSalesforceの「情報分断」が問い合わせ対応の負担に
DMM Boostは、LINEを使った顧客コミュニケーション支援サービス「DMMチャットブースト」や、MEO(Map Engine Optimization)対策サービス「DMMジオブースト」などを提供している。
同社では顧客からの問い合わせを主にLINEで受け付け、顧客情報の管理には「Salesforce」を利用していた。しかし、従来の問い合わせ管理ツールとSalesforceは連携していなかった。そこで、問い合わせを受けるたびに、担当者がSalesforceを開いて顧客の契約情報などを検索し、問い合わせ元と照合してから対応する必要があった。
もう1つの課題が、問い合わせの内容にかかわらず人が回答していたことだ。DMM Boost経営企画室の淺川 奏氏によると、誰が回答しても内容が変わらない定型的な質問についても、テンプレートを使いながら人が対応していた。そのため、回答までに時間がかかり、顧客を待たせることがあったという。
こうした課題を解消するため、DMM Boostはイグネスが提供するSalesforce向けアプリケーション「Igness LAMP」を導入した。選定時には「ツール費用を削減できること」「Salesforceと顧客情報を一元管理できること」「蓄積した情報を分析できること」の3点を条件にしたという。
「AIにできるか」ではなく問い合わせの性質で3分類
特徴的なのは、問い合わせ対応を単純にAIへ置き換えるのではなく、内容に応じて3種類の経路を用意したことだ。DMM Boostでカスタマーサクセス領域のオペレーション改善を担当する杉崎方浩氏は、問い合わせを次のように切り分けたと説明する。
- 定型的で個別判断をあまり必要としない問い合わせはAIが回答する。
- 顧客ごとの調査や、感情面への配慮が必要な問い合わせは人が対応する。
- 必要な手続きが明確な問い合わせについてはフォームへ誘導する。
利用者が最初から有人窓口を選びやすい設計にすると、本来AIだけで解決できる問い合わせまで人に流れる可能性がある。そこで同社は、まずAIによる解決を試し、必要な場合には有人対応へ切り替える導線を設計した。
有人対応への切り替えは、あらかじめ設定したフローに沿って実行する。オペレーター側からAIの対応状況を確認し、必要に応じて途中から介入することもできるという。
有人対応は約半分、BPOからのエスカレーション率も最大50%改善
Igness LAMPの導入後は、LINEでの問い合わせ内容とSalesforceの顧客情報を同じ基盤上でひも付けられるようになった。担当者が問い合わせのたびにSalesforceを開き、契約情報を検索して照合する作業は不要になったという。
定型的な問い合わせをAIが受け持つことで、一次対応で人による対応が必要になる問い合わせ件数も、導入前と比べて約半分に減少した。
外部のBPO(Business Process Outsourcing)チームからDMM Boost社内の担当者へ問い合わせを引き継ぐ「エスカレーション」にも変化があった。
杉崎氏によると、問い合わせフローが定着してから、BPOチームからのエスカレーション率はサービスによって導入前より最大50%改善した。改善幅が小さいサービスでも約30%だったという。
AIが定型的な回答を担うことで、回答品質のばらつきを抑える効果もあったとしている。有人対応では担当者の経験やスキルによって回答内容が異なる場合があるが、AIが同じナレッジを基に回答することで、回答内容をそろえやすくなった。
AIが答えられない問い合わせから「FAQ不足」を発見
AI導入によって得られたのは、省力化だけではなかった。DMM Boostでは、既存のFAQをAIが参照するナレッジとして利用している。その運用を続ける中で、「AIが回答できなかった問い合わせ」に注目するようになった。
杉崎氏は、AIが答えられない問い合わせを分析することで、「そもそも、その質問に対応するFAQが存在していない」と気付けるようになったと説明する。
人だけで問い合わせ対応をしていた場合、担当者がその場で回答できてしまえば、FAQの不足が表面化しないことがある。一方、AIの回答可否を記録すれば、ナレッジが不足している領域を特定しやすい。
同社はこうした情報を基に、顧客向け利用ガイドの拡充も進めている。さらに、会話ログを分類し、有人対応の件数や割合、改善可能な問い合わせの比率などを確認できるダッシュボードも構築しているという。
淺川氏は、AIやツールの利用はあくまで手段であり、何を達成するために導入するのかを先に明確にする必要があると説明する。導入後も、AIがどこまで対応できているかを分析し、顧客の反応も踏まえて改善を続けることが重要だという。
本稿は、イグネスが2026年9月29日に公開した株式会社DMM BoostはIgness LAMPとSalesforceを活用してLINE問い合わせ対応のAI化とエスカレーション率の半減を実現とエスカレーション率半減!AIと人で共創したLINEカスタマーサポート変革を基に作成しました。
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