従来スキルの価値が暴落?
AIツールの台頭を9割のエンジニアが歓迎 激変する開発現場の“生存戦略”
開発現場でAIツールの導入が進む中、エンジニアの約9割が現在の業務変化を前向きに捉えている。単純作業が激減する中、AI時代において真に求められる「新たな必須スキル」とは何か。
ソフトウェア開発の現場において、慢性的な人材不足と開発サイクルの短期化は積年の課題だった。そこに課題解決のツールとして急速に普及しているのが、生成AIを用いたコーディングツールだ。「GitHub Copilot」「ChatGPT」などのAIツールを活用することで、コーディングにかかる時間は飛躍的に短縮された。一方で、AIツールが自律的にコードを生成するようになれば、「従来のエンジニアの仕事は奪われるのではないか」という懸念が広がっている。実際の開発現場では、どのような変化が起きているのか。
エンジニア向け人材サービスを手掛けるTWOSTONE&Sonsは、2026年5月7日から8日にかけて、直近6カ月以内に開発業務で生成AIを使用している開発エンジニア108人を対象に、業務変容に関する実態調査を実施した。
調査結果からは、AIツールの導入によってテストの実行や定型的なコーディングといった作業負担が確実に軽減されている実態が見えてきた。注目すべき点は、調査対象の約9割に上るエンジニアが、こうした業務内容の変化を前向きに受け止めているという事実だ。AIツールの普及は、単なる作業時間の短縮にとどまらず、開発エンジニアに求められる役割を根本から変えようとしている。
これからのエンジニアにはどのようなスキルが求められ、開発プロジェクトの現場はどう変わるのか。AIツールによって削減される業務がある一方で、7割以上のエンジニアが直面している「新たに発生した業務」の実態とは。
定型作業の縮小と「新たな業務」の誕生
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AI時代を生き抜くエンジニアになるには
AI導入後、開発業務の中で時間が減少したタスクとして、「テスト実行、結果確認」(38.9%)が最多となった。次いで「テストコードの作成」および「定型的なコーディング」が各38.0%で上位に並んでいる。これらは従来、システム開発において不可欠ではあるものの、相応の工数と反復作業を必要としていた部分だ。
しかし、単に作業が減って暇になったわけではない。AIツールを活用するエンジニアの72.2%が「新たに発生、増加した業務がある」と回答している。具体的に増加した業務のトップは「プロンプトの設計、最適化」(52.6%)だった。以降、「AI生成コードの統合、リファクタリング」(41.0%)、「AI出力物(コード、ドキュメントなど)のレビュー、品質確保」(38.5%)と続く。エンジニアの仕事は、一から自力でコードを書く作業から、AIツールに対して適切な指示を与え、生成された成果物をシステム全体に組み込むための評価や修正をする作業へと比重が移っているのだ。
「見極める力」へのスキルのシフト
こうした業務内容の変化は、エンジニアにパラダイムシフトをもたらしている。新たに発生した業務による影響として、53.8%が「求められるスキルの幅が広がった」と実感している。
AI時代において開発エンジニアに求められる必須スキルを問う設問では、60.2%が「AI出力の正確性を評価、検証するスキル」を挙げた。次いで「上流工程の設計力(要件定義、アーキテクチャ設計など)」が43.5%、「AIツールやAIエージェントを使いこなすスキル」が39.8%となっている。従来の「コードを正しく記述する力」以上に、「AIツールの出力内容を見極め、品質を確保する力」や、システム全体のアーキテクチャを描く高い設計力が重視される時代になったといえる。
この大きな役割転換を、エンジニアの87.1%は「非常にポジティブ」または「ややポジティブ」に捉えている。その理由として、「単純作業や繰り返し作業から解放されたから」(59.6%)、「開発のスピードが上がり、生産性が向上したから」(54.3%)といった時間短縮や生産性向上の恩恵を実感する声が多く挙がった。
一方で、約1割のネガティブに捉える層からは、「新しいスキルの習得が追い付かない」「自身の従来スキルの価値が下がるのではないかと不安」といった回答が寄せられている(各50.0%)。技術の進化スピードが加速する中、スキルの再構築を迫られるエンジニアの焦りも浮き彫りになった。
開発スピードの加速と今後の展望
AIツールの導入は、プロジェクトの進行方法にも直接的な影響を与えている。プロジェクトの変化として、「短期プロジェクトが増加した」(38.0%)、「プロジェクトの開発スピードが向上した」(36.1%)、「同時に複数プロジェクトを進めるケースが増加した」(34.3%)といった回答が上位に挙がった。AIツールによって開発サイクル全体が高速化したことで、エンジニアは複数のタスクを並行して処理する能力も求められるようになりつつある。
このような状況下で、82.5%のエンジニアが3年後の自身の職種や役割について「変化していると思う」と予測している。単なるコーダーから、AIツールを駆使して品質を管理し、ビジネス要求を迅速にシステムに実装するエンジニアへと、その姿は進化を続けていく。
企業にとっても、この変化への順応は急務だ。AIツールが生成したコードを安全かつ確実にシステムへ取り入れるためのレビュー体制の構築や、新しい品質基準の明確化が必要になると考えられる。同時に、上流工程やAIツールの生成物を評価できる人材に投資することが、今後のシステム開発において競争力を確保するための重要な鍵になる。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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