「AIセキュリティツール」の基礎知識【前編】
「AI」(人工知能)はなぜセキュリティツールに必要なのか?
セキュリティ担当者の間で、AI技術を組み込んだセキュリティツールを利用する動きが広がっている。攻撃者に対して先手を取り、攻撃者が悪用する前に脆弱(ぜいじゃく)性が危険にさらされるのを防ぐためだ。
数十億台のデバイスがインターネットに接続するようになり、サイバー空間における脅威の状況がさらに複雑化している。スマートフォンやPC、サーバ、IoT(モノのインターネット)デバイス、クラウドアプリケーションなど、攻撃者が危害を加えようとする標的はかつてないほど多様化している。
調査会社Enterprise Strategy Group(ESG)によると、毎日39万~100万種の新たなマルウェアの変種が出現しているという。平均的な企業では、毎日20万件以上のセキュリティイベントに対処している。「2021年までに世界で350万人ものサイバーセキュリティ人材が不足する」とセキュリティ調査会社Cybersecurity Venturesは予測する。脅威の状況が複雑化しているだけでなく、その脅威を管理するのが難しくなっているといえる。
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「脅威インテリジェンス」をもたらすAI
ESGのレポートによると、企業の間でAI(人工知能)技術を組み込んだセキュリティツール(以下、AIセキュリティツール)の採用を検討する動きが広がっている。同社が2017年に実施した調査では、AI技術をセキュリティ分析に導入済みの企業は12%、導入を予定している企業は55%だった。
機械学習をはじめとするAI技術は、脅威情報を集約したデータセット「脅威インテリジェンス」(スレットインテリジェンス、セキュリティインテリジェンスとも)をもたらす。脅威インテリジェンスは先を見越したサイバー攻撃の可視化や制御、軽減に利用できる。
「ゼロデイ攻撃」の予測
パターン検出においてAIエンジンは有効だ。機械学習を用いたAIエンジンは、マルウェアの情報を記録したデータベースで学習し、マルウェアの特性と特徴をモデル化する。パターンの学習を終えたAIエンジンは、ネットワークトラフィックやデータ交換、システムの動作を観察して、詳しく調査すべき悪意のあるパターンを特定する。
AIセキュリティツールを利用すれば、攻撃を受ける前に対策を講じることができる。システムやソフトウェアで見つかった脆弱(ぜいじゃく)性に対し、ベンダーが対策をする前に攻撃者が悪用する「ゼロデイ攻撃」は、被害を受けるシステム側で事前に防御したり、認識したりできない。ただし社内システムや、同じネットワークにある別のシステムへの攻撃に関する情報を利用して学習するセキュリティツールがあれば、ゼロデイ攻撃でも事前に阻止できる。
学習結果を使って攻撃パターンを特定することも、AIセキュリティツールでは可能だ。こうしたツールは、脅威レベルに基づいて攻撃を分類し、回数を重ねるごとにAIエンジンを最適化させる。攻撃が特定の場所から仕掛けられているのか、特定のシステムを標的としているのか、どのカテゴリーに当てはまるのかも判断する。このようにして、セキュリティ研究者やセキュリティ担当者は、環境を強化して将来起こり得る攻撃を防ぎ、特定の場所からのトラフィックや特定のシステムに宛てたトラフィックを検出したときに、先を見越した対処が可能となる。
後編では、AIセキュリティツールがもたらす他の利点を紹介する。
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「AIセキュリティツール」の基礎知識
AI技術を組み込んだセキュリティツールは、なぜ必要なのか。企業にどのようなメリットをもたらすのか。簡潔に紹介しよう。
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