新技術が技術者にどれくらいストレスをもたらしているかを把握しなければ、多くの危険を冒すことになると専門家は指摘する。
常に新しいITスキルを習得するのが望ましいという点で専門家の意見は一致している。しかし、変化し続ける技術と、常にその最先端にいなければならないというプレッシャーにストレスを感じるIT技術者も多い。
ウェスタンオンタリオ大学のニコール・ハガーティ助教授によると、新技術には新しいスキルが必要なため、持続的な技術革新によってIT技術者の「能力が破壊されてしまう」ことがあるという。レガシー技術でもまだ通用するが、そうしたスキルの需要は減っていく。
ハガーティ氏のチームは10人以上のIT技術者について詳しく研究し、仕事上のストレスにどう対処しているかを調べた。
「ほかの分野の専門職は、既存の知識への積み重ねで済む。IT技術者は常に建て直しモードだ。新技術が登場すると、それまでの知識は意味がなくなる。まったく新しいスキルを1から組み直さなければならなくなる」と同氏は話す。
防衛関係業務を請け負っているBAE Systemsのカスタマーソリューション業務部門CIO、ボブ・フェクトー氏が技術の導入に際して細心の注意を払っているのも、まさにこれが理由だ。
組織に新技術を導入すれば、スタッフが最新技術を習得しなければならないだけでなく、文化の変化も強いられるとフェクトー氏は言う。
「まず最初に対処しなければなないのは文化の変化だ。率直に言ってIT要員は変化に対する適応力が高いとは言えず、特定言語でのプログラミングに慣れている。C++でプログラムを組んでいたスタッフにとっては、.NETの導入で文化が大きく変わってしまう」とフェクトー氏。
「プログラムを完全に支持してもらえず無関心な態度を取られることもあれば、古い知識が引き継がれてビジネスプロセスの向上が難しくなることもある。新しい技術を買ってただそれを使えばいいというほど事は単純ではない」
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