「要組み立て」に注意
クリスマスをデータセンターで過ごしたくなければ
クリスマスパーティー当日、データセンター管理者のわたしはホリデー気分で32台のブレードサーバ導入を開始した。作業は順調に進んだ──「その箱」に行き当たるまでは。
子どものころ、クリスマスプレゼントを開けて「要組み立て」の文字を目にするとがっかりしたものだ。もう何カ月も待ったのに、今度は誰かがおもちゃを組み立ててくれるまで、もっと待たなければならないのだ。
今は、真新しい最先端の機器の箱を開けるとき、子ども時代のクリスマスのような気分になる。プラスティックの感触、電子機器のにおい、ピカピカの金属部分。データセンター管理者にとってはホリデー気分だ。そういうわけで、2006年12月、わたしが会社の新しい施設で32台のブレードサーバ導入に着手したときは、クリスマスの朝が再び巡ってきたようなものだった。
設置のためHewlett-Packard(HP)の技術者に来てもらうことになっていたので、わたしは400kg以上ある機器を保管場所からケージに移すため、数時間前に出社した。ケージ内には大きなスペースがあるだけだったので、わたしは巨大な箱を開け、台車で機器を一抱えずつ運ばなければならなかった。
「その箱」に行き当たるまでは順調だった。それは、中に技術者を何人か閉じこめておけそうなほど巨大な箱の1つだった。大型ブレードの筐体か、ブレードサーバが何台か入っているのだろうと思って開けると、中には形も大きさもまちまちな小型の梱包が何百個も入っていた。箱の大きさとのあまりのギャップに最初は笑ってしまったが、この梱包がすべてブレードサーバ内部の部品だと分かり、長い1日になることを覚悟した。小さな梱包の山を台車に積んで何度も往復すると、やがてケージの中は小さな段ボールでいっぱいになった。
いつもはベンダーの組み立てサービスを利用していた。カスタマイズのオプションが付いたサーバを買う場合はCPUやメモリなどのインストールを必ずベンダーにやってもらい、自分たちが開けるときには導入準備が整っている状態になっていた。ところがこのときは、何かの手違いで組み立てを頼んでいなかったのだ。つまり、各ブレードで注文した追加のCPU、メモリの拡張、ファイバチャネルHBA、追加のNIC、バッテリー式の書き込みキャッシュ、HDDの取り付けは、すべて自分たちが手作業でやらなければならないということだった。
技術者が到着し、とにかく手を付けるしかないということで意見が一致したため、箱を開けて筐体をラックに収めてファンと電源を取り付けた。すべてしかるべき場所に収まった。しかし最初のブレードに着手する段階で、設置作業の進行は鈍った。オプション部品をすべて手作業で取り付けなければならなかったので、スピードアップのため流れ作業的な手順で組み立てることにしていた。技術者がブレードを開け、わたしがそれぞれの部品を手渡して1つずつ取り付けてもらうという手順だ。技術者がブレードを完成させて筐体にはめ込む間、わたしは空いた段ボールなどを集めてゴミ捨て場に運んだ。このプロセスを何度も何度も繰り返し、その日のうちに32台中20台のブレードサーバを組み立ててラックに収めた。
ありがたいことに、技術者はスケジュールを調整してその週のうちに再度来てくれた。たまたまその日は年に一度の会社のクリスマスパーティーの日だった。わたしたちは前回の続きからスタートし、午前中のうちにすべてのブレードのオプション取り付けを完了した。これで導入は終わったような気がしていたが、実際は始まったばかりだった。まだ64台のHDDを取り付けて、統合ネットワークパススルーとファイバチャネルスイッチを追加する必要があった。しかも、すべてのファームウェアをアップグレードしなければならなかった。1つずつ仕事を片付け、ついに全ブレードのスイッチを入れる準備が整った。
普通なら、新しい機器のスイッチを初めて入れるときはワクワクするものだが、このときは、また思わぬ障害にぶつかるのではないかと不安だった。まず最初の16台のスイッチを入れると、ホッとしたことに問題が起きたのは1台のHDDだけだった。少し気持ちが軽くなって身の回りを片付け始め、第2陣のブレードのスイッチを入れたときは、まだクリスマスパーティーに間に合いそうだと思っていた。しかしここで、あの恐ろしい赤いランプが、1台だけでなく3台にともるのを目にした。
馬鹿な。技術者とわたしはできることをしようと、各ブレードのトラブルシューティングを始めた。2台は再度スイッチを入れるだけで回復した。あまりに多くのブレードのスイッチを同時に入れたせいだったようだ。しかし3台目のブレードは赤ランプがともったまま動かない。取り替えるべき部品を探すためブレードを分解し、わずか数時間前に取り付けたばかりのオプション部品をすべて取り外して、1つずつ取り付け直していった結果、DIMMスロットの1つに問題があることが分かった。技術者とわたしはついにやり遂げた。
ラッシュアワーの渋滞に巻き込まれながら、今回の苦難について考える時間はたっぷりあった。振り返ってみれば、すべてを箱から直接ラックに収めることができていたら、導入はもっと円滑にできていたはずだ。しかも、ハードウェアを組み立てた時点で問題があれば事前に見つかっていたはずだった。教訓:「要組み立て」の玩具、いや、サーバは、特に大規模導入の場合は避けること。そうすれば時間が節約でき、イライラすることもなく、わたしの場合はちょっとしたクリスマス気分も味わえたはずだ。
本稿筆者のカイル・ランキン氏は米サンフランシスコ、ベイエリアのシステム管理者で、「Knoppix Hacks」「Ubuntu Hacks」(O'Reilly Media刊)など著書多数。
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