導入企業はわずか14%という調査結果も
エンタープライズSSD、出荷増大も普及は進まず
エンタープライズSSDの出荷は増大しているが、急速な普及には至っていない。
ソリッドステートドライブ(以下、SSD)は、ストレージおよびサーバベンダー向け製品の出荷は2010年に200%以上増えたが、エンドユーザーによるSSDの採用パターンは、それほど明らかな上昇曲線を描いていない。
さまざまな規模の企業のIT専門家354人を対象に米SearchStorage.comと米Storage誌が2010年秋に実施したStorage Purchasing Intentions調査では、SSDを利用していたのは14%にとどまり、そのほとんどがストレージアレイだった。導入の計画があるのは9%、検討中は33%だったが、44%はSSD採用の計画はないと回答した。
この数字は同年春に実施した同じ調査と比べても微増にとどまっている。春の調査に回答したIT専門家472人のうちSSDを利用していたのは10%、導入の計画があるのは6%、検討中は35%、SSDの計画なしは49%だった。
SSDを導入しない理由についての回答は、いずれの調査も同じだった。約3分の2がSSDは価格が高過ぎると答え、約3分の1はHDDの性能で十分、またはSSDストレージのことをよく知らないと答えている。
「確かに急速に普及しているとはいえない」と話すのは、米調査会社The InfoProのストレージ担当マネージングディレクター、マルコ・クルター氏。「スイートスポットがどこにあるのかまだはっきり分からないという不安があり、誰かがそれを見つけてくれるまで模様眺めの姿勢を取っている」と指摘する。
The InfoProはFortune 1000企業のみを対象に、ストレージアレイへのSSD採用について調べている。2009年第4四半期の調査では、回答を寄せたIT専門家182人のうち53%がSSDの計画はないとしていた。Fortune 1000の148社を対象とした2010年第2四半期の調査では、この割合は57%に増えている。
The InfoProの調査では以下のことも判明した。
- ストレージアレイへのSSD利用は2010年第2四半期(Q2)調査で16%、2009年第4四半期(Q4)調査で19%
- 試験中/検討中はQ2が6%、Q4が3%
- 短期計画でSSDを予定しているのはQ2が12%、Q4が7%
- 長期計画にSSDがあるのはQ2が8%、Q4が19%
この結果から長期的な傾向を読み取るのは難しいが、普及が進む段階の技術に一般的に見られるパターンには沿っていないという。
「(SSDを)試している人たちは、徐々にだが一般的な形で採用している。だがわれわれの調査ではそうしなかった人が増えており、懐疑的な見方を強めている」とクルター氏。
同氏によると、オンライントランザクション処理(OLTP)の作業用にSSDを試験導入したあるFortune 1000企業では、SSDへの書き込みでパフォーマンスが上がるどころか低下したという。守秘義務契約を理由にこの会社の社名や業種は明かしてもらえなかった。
ほとんどの企業は、その方がシンプルだという理由で、パフォーマンスプロファイルよりもアプリケーションによってSSDに何を保存するかを決める傾向があることが、現在実施されている調査で分かったという。いったんSSDに作業をシフトすると、そのアプリケーションがSSDに適しているかどうかチェックすることなく、そのまま続ける傾向がある。
業界アナリストは、最も動きの多いデータをSSDに移すことができる自動ティアリングソフトがSSDの採用を加速させる一助になるとみる。しかしThe InfoProの調査では、この技術はまだ普及に至っていない。クルター氏によると、試験段階にあるのはわずか数社にすぎず、実際の環境で自動ティアリングに移行した企業は1つもない。
クルター氏は「ベンダーはこの分野で必ずしも、『このアプリケーションならこう、そのアプリケーションならこう』といったデフォルトの設定を提示して顧客を支援していない」と付け加えた。
一方、ストレージとサーバベンダー向けのエンタープライズSSDの出荷は堅調なパターンで伸びている。米IDCのストレージ部門リサーチディレクター、ジェフ・ジャヌコウィッチ氏によると、出荷台数は2009年上半期の8万8000台から2010年上半期の30万4000台へと、1年の間に215%増加した。
「2008年暮れから2009年の1年間は極めて堅調な上昇が見られ、出荷台数は四半期を追うごとに伸び続けた。1年前にSSDの採用を口にしていたアレイベンダーの大部分が、今では実際にSSDを取り入れ、エンドユーザーに提供している」(ジャヌコウィッチ氏)
ただし2010年上半期に1480万台が出荷されたエンタープライズクラスHDDに比べると、SSDの出荷の伸び率は高くてもまだ微々たるものだ。ジャヌコウィッチ氏は「まだ桁違い」と話している。
ソリッドステートアプライアンスが市場に占める割合はさらに小さい。ジャヌコウィッチ氏によると、2010年上半期の出荷台数は合計466台だった。売り上げは2009年上半期が1800万ドル、2010年上半期が3500万ドルとなっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品レビュー
[デル・テクノロジーズ株式会社] これからのデータインフラに必要な要素とは? 将来を見据えたインフラの在り方 -
製品資料
[NTTPCコミュニケーションズ株式会社] 中堅・中小企業が標的に ランサムウェアやサプライチェーン攻撃にどう備える? -
事例
[アルプス システム インテグレーション株式会社] 手ごろな価格で高品質 中小企業向け「SOCサービス」に対する導入企業の声は? -
市場調査・トレンド
[アルプス システム インテグレーション株式会社] 急増する高度なフィッシング詐欺 先回りしてブロックするには何が必要? -
製品資料
[NTTドコモビジネス株式会社] Windows 11への移行で運用費が増加? 3つの視点で防ぐ「隠れコスト」
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「恥を知るべきだ」 AIデータセンター反対運動を招いた事業者の秘密主義
-
2
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
3
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
4
Copilot導入で陥る“目的化”の落とし穴 定着の鍵は「作り込まない」こと
-
5
「アップグレードできないJava」をどう守る IBMとRed HatがAIで400件超修正
-
6
BMWも導入 78兆円市場に化ける「フィジカルAI」の衝撃
-
7
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
8
AmazonがMetaのAIエージェントの購入を拒否 情シスが問われる「AIの権限設計」
-
9
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
10
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
4
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
8
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
9
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
10
マンガで学ぶXDR/MDRのメリット、中小企業のセキュリティ強化になぜ有効か?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー