できれば不快にさせずに
“情報弱者”上司にセキュリティの重要性を説明するスマートな方法
企業における情報セキュリティの重要性がさまざまな場面で強調されている。しかし、セキュリティへの取り組みを決めるはずの経営者や幹部が投資に対して首を縦に振らない――担当者どうすればいいのか?
米セキュリティベンダーのTripwireが実施した最新の調査では、さまざまな興味深いデータが結果として出ている。その中で特に印象に残ったものを紹介したい。それは「61%の回答者が、専門知識を持たない企業幹部に専門性の高い重要なセキュリティ情報を伝えることができなかった」と回答していることだ。このような問題を抱えるセキュリティチームは、専門知識を持たない企業幹部にも自分たちの発言の重要性を理解してもらえるように説明する必要がある。情報セキュリティの概念はどのように説明すればよいだろうか。
情報セキュリティは技術的な情報だ。この分野では見ることも触れることもできない実体のない存在を扱う。また、話をするときには専門用語を使用する。技術に明るくない人にとって専門用語を理解するのは容易ではない。だが、技術に明るくない人にも技術的な問題がもたらすリスクを伝える必要はある。
CISO(最高情報セキュリティ責任者)が取り得る対策の中で、最も効果的にリスクを軽減する手段はコミュニケーションだろう。だが、コミュニケーションは習得が最も難しいスキルでもある。熟練者でも必ず成功するとは限らない。
英Analogies Projectは、複雑な技術概念を説明するという困難な課題に一般的な例えを使用する方法で取り組んでいる。これは筆者もよく使用する手法だ。専門知識を持たない相手とやりとりをする場合に効果的である。Analogies Projectは、情報セキュリティの概念を簡単に表す絵を使用することで、言葉による例え話をさらに有効な手段にしている。例えば、データリークが水漏れと似ていることを伝えるとしよう。この場合、水が漏れているバケツの絵を使用すると、驚くほど簡単かつ効果的に相手に情報を伝えることができる。
例え話を使用して情報セキュリティの概念を説明するときには、幾つかの考慮事項について検討することをお勧めする。まず、相手のことを理解する必要がある。これには説明する概念の理解度も含まれる。自分よりも相手の理解度が高い場合、例え話は見下しているような言い方として受け取られる可能性がある。また、相手が例え話自体を理解できるかどうかも検討する必要がある。水が漏れているバケツの例であれば、ほとんどの人が理解できるだろう。だが、「群盲象を評す」という例は全ての人が理解できるとは限らない。例え話は、状況や話をする相手のことを理解している場合に限り効果を発揮する。
情報セキュリティの専門家は、医師からコミュニケーションスキルを学ぶこともできる。医師は分かりやすい言葉を使用して患者やその家族に専門性の高い医療処置について説明する。初めて見聞きした場合でも、簡単に理解できる言葉を使うことが重視されている。分かりやすい言葉を使用して情報を単純化しているが、重要なポイントは伝わるようにしている。患者が処置について理解するのに役立たない細かい医学用語は使用しない。
情報セキュリティに関する問題を企業幹部に説明するときにも、同じ手法を使用することができる。例えば、「データベースからWebサーバに接続する方法に問題がある。この問題が原因で、攻撃者によって当社のデータが危険にさらされる恐れがある」と説明すると、SQLインジェクション攻撃を回避する上で入力検証が重要であることを説明するよりも、はるかに簡単に理解を得られる。また、相手に対する敬意も感じられる。見下すような言い方として受け取られることはない。相手が理解を示し、詳細な説明を求めているように感じられたら、さらに詳しい説明を提示することもできる。
CISOは他にもさまざまな方法を使用して、他の企業幹部に情報セキュリティのリスクを説明することが可能だ。さまざまな方法を試して、最適な方法を見つけることをお勧めする。例え話、分かりやすい言葉、簡単な表現を用いた説明などの方法を活用するにはどれも練習が必要だ。だが、時間をかけて練習する価値はある。企業の情報セキュリティリスクを軽減する上で、コミュニケーションは手持ちの対策の中でも簡単かつ最強の武器となり得る。
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