見えないところでスモールスタート
SDN導入を成功させる「小さなことからコツコツと」
ネットワークの中断を避けるためには、企業は管理可能な部分にSDNを導入する戦略を採用するのが望ましいだろう。
多くの専門家はSDNを前途有望だと考えている。だが、急進的なネットワーク運用テクノロジーであるSDNは、段階的に導入するのがよいだろう。
米ラスベガスで2015年4月末に開催された「Interop」に参加していた専門家は、SDNが手動で行っているネットワーク関連タスクを大幅に削減し、いずれは企業にとってなくてはならないものになるという考えに賛同した。
残る問題は、どうやってSDNの導入に着手するかだ。
その答えは「小さく始める」ことだ。
現在、ネットワークの機能をハードウェアからソフトウェアに移行するソフトウェアが提供されている。例えば、そのようなソフトウェアを使用すると、帯域幅を分配して、ユニファイドコミュニケーションをはじめとする待ち時間の影響を受けやすいアプリケーションで十分なパフォーマンスを確保できる。他には、トラフィックのフィルターや負荷分散などを行うことも可能だ。
小さく始めるべき理由
特定のニーズに特化したSDN戦略であれば、SDNが導入しやすくなると専門家は口をそろえる。ネットワークの担当者やアプリケーションの開発者が経験を積むにつれて、SDNテクノロジーの使用範囲は拡大することができる。
多くのSDN支持者はここ数年、この次世代のアーキテクチャを、高額な保全体制が必要なものとして位置付けてきた。
米Foskett Servicesでアナリストを務めるトム・ホリングスワース氏は、Interopのセッションで次のように語った。「SDNは従来のネットワークを過去のものにし、理想郷をもたらすものだと誰もが考えているようだが、それが真実ではないことは周知の通りだ。実世界にSDNを適用すると、書類上で見たものとは全くの別物になるだろう」
米Forrester Researchのアナリスト、アンドレ・カインドネス氏は、あるインタビューで次のように語った。「2015年のInteropに出展したベンダーは、前年よりもSDN製品のユースケースを多く提供していた。2014年のInteropでは理論的な話が多かったが、2015年は顧客に実演して見せていた」
人口4万4000人の米コネチカット州エンフィールドの事例を紹介したい。エンフィールドでは、学校、行政機関、公共サービス機関が使用する600個の教育用アプリケーションと4000台のデバイスが利用する帯域幅の管理に米Extreme Networksのテクノロジーを使用している。既存のネットワークハードウェアは据え置いたまま、SDNを導入した。
キャンパスのネットワークを使用
キャンパスのネットワークはSDNの性能をテストする場所として適切だとホリングスワース氏はいう。同氏は、小さな規模で分からないようにSDNを実装するシャドーITのアプローチを推奨している。
「何も破壊することなくネットワークでSDNを実装できることを実証できれば、複数の実装を並行して導入することが可能だ」(ホリングスワース氏)
SDNについて理解を深めるもう1つの方法は、ソフトウェア定義のWAN(SD-WAN)を実装することだと専門家はいう。SD-WANは、MPLSやインターネットのようにネットワークリンクのトラフィックの負荷を分散する。幾つかのスタートアップベンダーが既存のネットワークに統合できるSD-WANテクノロジーを提供している。例えば、米VeloCloud Network、米CloudGenix、米Viptelaなどだ。
米Hewlett-Packard(HP)も、非常に小規模なサイズのSDNを提供している。そのため、企業は特定の目的にSDNを使用することができる。HPはSDNアプリストアを2014年に公開した。このアプリストアは、同社の「Virtual Applications Networks」のOpenFlowコントローラーで既製のソフトウェアを実行することを目的としている。
HPのSDNには、ネットワークアクセスを制御するアプリケーション「Network Protector」、米Microsoftの「Skype for Business」のサービス品質エンジン「Network Optimizer」、診断や修理のボトルネックを特定するためのネットワーク監視ツール「Network Visualizer」が同梱されている。Network VisualizerはInteropで発表されたばかりだ。
今後数年の間に、全世界の企業とクラウドサービスプロバイダーでSDNが数多く導入されるだろう。米IDCによると、2014年以降SDN市場は89%の複合年間成長率を記録しており、2018年までには80億ドル規模の市場に成長することが予想されている。
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