ChatOpsで進化するIT部門のコミュニケーション【第1回】
メールからチャットへ――「Slack」「LINE」が変える情報共有と開発手法(2/2 ページ)
チャット利用の背景にあるDevOps
チャットの利用が進む背景には、IT企業における開発内製化の流れや、DevOps(※)の浸透が影響している。
※ DevOpsとは、開発者と運用者が協力しながらサービスを開発・運用していく手法である。
多くの企業は、近年の激しい技術変化や競争の中で、ユーザーに一早くサービスを提供するためにさまざまな工夫を凝らしている。その1つが開発の内製化だ。内製化には高い技術力と開発・運用スピードが求められるため、手法としてDevOpsを採用する企業も増えているのだ。
DevOpsを実践するためには、さまざまなサービスやツールを利用する必要がある。GitHubやCI(Continuous Integration:継続的インテグレーション)ツール「Jenkins」などが代表的だ。ここで、DevOpsでよくあるチャットの利用シーンを考えてみる。
最初に、開発者がソースコードを更新し、GitHubにPush(アップロード)する。すると、GitHubと連係したCIサービス上で自動的にテストが始まる。このとき、ソースコードの更新やテスト結果などの情報がチャットに通知される。問題がなければチャットから本番環境へデプロイを指示し、サービスを提供し始めることができる。
他にも、サービスが停止するような問題が発生した際に、監視ツールからチャットに通知することもできる。チャットを運用担当者だけでなく、ビジネスサイドの人や開発者も利用していれば、瞬時に情報を共有できる。それによって、ビジネスサイドはユーザー対応、開発者はバグフィックス、運用者は障害対応といった各自の役割にすぐに着手できるだろう。
このように、チャットはDevOpsを支えるコミュニケーション手段として有用だ。
ChatOpsという考え方
チャットを情報共有のハブとして使うだけでなく、チャット上で作業(Ops)をしようというのが「ChatOps」の考え方である。チャットを一種のコマンドラインと見立てることで、作業のログを残しつつ、内容を共有することができる。
ChatOpsを実現するために必要なのがボットや自動化、クラウド技術である。ボットとはユーザーの発言をトリガーにして、何らかの処理を実行するためのプログラムである。サーバやクラウド環境で動作し、ユーザーが発した特定のキーワードに反応して指示を出す。先ほどのケースのように「チャットから本番環境へのデプロイ」を指示するためにはボットが必要になる。
ボットは、例えば「bot deploy サービス名」といったコマンドに反応し、本番環境にそのサービスをデプロイする。ボット自身がデプロイするわけではなく、「Chef」や「Ansible」「Puppet」などの自動化ツール、あるいはPaaS(Platform as a Service)を利用する。自動化ツールであればコマンドを実行、PaaSであればソースコードをアップロードするといった処理を実行する。そのため、ChatOpsには自動化やクラウドの技術が必要なのだ。
この他にもChatOpsは、「現在サービスを利用しているユーザーの人数」といったビジネスに必要な情報も得ることができる。これまで統計情報が欲しい場合は開発者に依頼して用意してもらう必要があったが、チャットとボットを使うことでそうしたプロセスを簡単に自動化できるようになる。次回はChatOpsを使うことでビジネスサイドが得られるメリットについて解説する。
堀内晨彦(ほりうち あきひこ)
生まれも育ちも香川県。香川大学大学院 情報科出身。学生時代は研究の傍ら、勉強会やコミュニティー活動に積極的に参加し、「Hubot×ChatOps勉強会」などを主催。2016年4月からは上京し、ICT企業でクラウドエンジニアの見習い中。趣味は料理とカメラ。
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ChatOpsで進化するIT部門のコミュニケーション
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