失敗しない「学校IT製品」の選び方:セキュリティ編【中編】
LINEを悪者扱いする前に「情報モラル」を学ぶべき(1/2 ページ)
学習者にとって身近な存在となったSNSは、ときに“犯罪の温床”のような見方をされる。その考えは本当に正しいのか。「情報モラル教育」の重要性が高まっている。
新聞や週刊誌、テレビをはじめとするメディアの報道は、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)やその他の各種オンラインサービスに関連した事件や犯罪をセンセーショナルに扱う。高校生をはじめとする学習者が、アルバイト先や公共の場での非常識な行動を写真に撮ってSNSに投稿するといった行動が次々と発覚し、社会問題化したのも記憶に新しいところだ。
SNSがトラブルや犯罪の原因であるかのように扱われることも珍しくない。例えば、偶発的な暴行事件が起これば、双方の連絡手段としてメッセージングアプリケーションの「LINE」を使っていたことが分かっただけで“LINEトラブル”などといわれる、といった具合だ。教育委員会や教育機関で、学習者のSNS利用を禁止する動きが出始めたのも、こうした状況と決して無関係ではない。
単なるコミュニケーションツールであるにもかかわらず、SNSだけが悪者扱いされてしまうのはなぜか。こうした状況を生み出している原因を考えると、SNSをはじめ、学習者を取り巻くインターネットの現状に関する理解が十分に広がっていない現状に行き着く。前編「“目隠し型セキュリティ”は子どもをダメにする」に続く本稿では、インターネット関連のトラブルをSNSのせいにする前に、ぜひ学んで欲しい「情報モラル」の重要性について検証する。
併せて読みたいお薦め記事
「無線LAN」の選び方
「シンクライアント」の選び方
- 学校IT化の“無法地帯”を一掃する「シンクライアント」の威力
- 学校のシンクライアント導入がうまくいかない「4つの理由」
- Chromebookが救世主に? 「シンクライアントは高すぎる」という学校への代替策
教育ITの先駆者が議論、学校セキュリティ対策の課題とは
SNSは本当に怖いのか
SNSは、不特定多数か特定の人かを問わず、人同士で連絡を取り合うのに非常に優れたコミュニケーションツールである。各SNSにはそれぞれ特徴があり、「SNS」とひとくくりにすることが難しいほどだ。
ミニブログの「Twitter」は、ブロックしない限りは世界中の誰とでも双方向にやりとりができ、外部への情報発信に優れる。一方でLINEはクローズドなやりとりが中心であり、個人やグループでのコミュニケーションに適している。国内ではそれほど普及していないものの、「LinkedIn」のようなビジネスでの利用に特化したSNSまである。
SNSがここまで多様化しているのは、それほど不可解なことではない。インターネットが普及する前にも、郵便や電報、電話など、用途別にさまざまな通信手段があったのと本質的には同じ理由だ。さまざまなサービスがある故に、SNSの全体像が把握できないまま敬遠してしまい、根拠のない不安感を抱いている教育関係者もいるだろう。だがSNSは単なるコミュニケーションツールであるということさえ理解できれば、全く怖がる必要などないことが分かるはずだ。
なぜ「LINE」が“目の敵”にされるのか
数あるSNSの中でも、学習者が関連するインターネットトラブルの“諸悪の根源”であるかのように扱われているのがLINEだろう。ユーザー同士ならインスタントメッセージング(IM)機能だけでなく、音声通信なども無料でできてしまうLINE。他にもゲームや占い、ニュース、ショッピングなど多岐にわたるサービスをそろえ、国内ユーザー数が5000万人を超えるほどの人気を集める。
LINEが教育関係者の“目の敵”にされる背景に、他のSNSと比べて10代の利用率が比較的高いことが挙げられる。総務省の情報通信政策研究所が2015年5月に発表した「平成26年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、SNS利用者のうち、LINEの利用者は10代で77.9%に上り、動画共有サイト「YouTube」の83.6%に次ぐ2位となった。それ故に、教育関係者の目につきやすいのだと考えられる。
怖いのは「相手が見えない」こと
SNSの怖い点をあえて挙げるなら、コミュニケーションを取っている相手が直接見えないことだ。
対面のコミュニケーションしか情報伝達手段がなかった時代であれば、相手の顔が見えないという状況は起こり得ない。電話であれば相手の声や電話番号が分かるし、手紙は相手の住所が分かっているので、コミュニケーションの相手についてある程度の情報がある。インターネットの登場で普及したメールでさえ、メールアドレスなどで個人がどのような組織に所属しているか判断できる。
対してSNSでは、基本的には相手がプロフィール欄に記載した略歴を信じるしかない。相手の顔が見えず、記載された略歴が本当かどうかを確認する手段も、他のコミュニケーション方法よりは少ない。相手の素性が分からないことから、やりとりしている相手が実は別の人だったり、知らないうちに犯罪者や“犯罪者予備軍”と交流していたといったことも起こり得る。その点で「SNSは怖い」といえるが、怖い点といえばそれぐらいだ。
電話番号を知り得る電話でさえ、「オレオレ詐欺」のような犯罪が成立してしまう。面と向かった直接交流であっても、犯罪を起こす人かどうかを見分けることは容易ではない。これらはコミュニケーションに潜む脆弱性ともいうべきものであり、SNS自体の危険性とは別の話だということを認識しておくべきだ。SNSはコミュニケーションを媒介するツールであり、それ以上でもそれ以下でもないのである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
失敗しない「学校IT製品」の選び方
教育機関がIT製品を導入する際、どのような点に気を付けて製品選定を進めればよいのか。製品分野の基礎知識をおさらいしつつ、製品選びのポイントを伝授する。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
市場調査・トレンド
[AvePoint Japan株式会社] SCS評価制度の死角は“SaaSの中” クラウド標準機能では届かない領域とは? -
製品資料
[デジタルサーカス株式会社] 5分で分かる、「オープンソースCMS」比較ガイド -
製品資料
[デジタルサーカス株式会社] 1つのアプリを各国で運用 多言語モバイルアプリを簡単に開発・導入できる方法 -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] 複雑化するKubernetes運用、VMとコンテナの二重管理を解消する方法は? -
市場調査・トレンド
[アルプス システム インテグレーション株式会社] 急増する高度なフィッシング詐欺 先回りしてブロックするには何が必要?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHPはそもそも必要か? 脆弱性で問われる自社サイト安全性と保守負担のバランス
-
2
京王電鉄・東京メトロの被害から学ぶ境界防衛 ITの侵害はどこまで波及するか
-
3
米国防総省で300万人分の個人情報が流出 その「意外な原因」と教訓
-
4
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
5
Microsoft 365導入後も稟議は「Excelをメールで回覧」 承認が止まる理由
-
6
金融・通信で情報漏えいが続出 IPAとJPCERT/CCが情シスに求める緊急点検
-
7
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
8
PHP2Shellの「事前の情報流出」でパニックに パッチ公開を巡る“混乱劇”
-
9
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
10
現場のスマートフォンが「データの墓場」になる? 情シスが陥るモバイル活用の死角
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
3
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
4
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
5
SCS評価制度時代の「SASE選定」ガイド
-
6
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
7
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
8
「EDR」選定ガイド:比較・検討フェーズで整理すべきポイントを解説
-
9
MDMだけでは防げない? Appleデバイスに潜む5つのセキュリティギャップ
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー