教育機関でITによる情報の利活用が進む中、急務となっているのがセキュリティ対策だ。その手段として教育機関が注目し始めた「シンクライアント」のメリットを検証する。
教育現場の情報セキュリティといえば、無線LANをはじめとするネットワークのセキュリティ対策も重要だが、現時点での“本命”は「エンドポイント」のセキュリティ対策だ。エンドポイントとは、タブレットやクライアントPCといった、ネットワークやサーバに接続するクライアント端末のこと。エンドポイントセキュリティ対策は、そのクライアント端末と周辺機器のセキュリティ対策全般を示す。
まだまだIT導入の過渡期である教育機関は、大企業などのように共通基盤といった大型システムや巨大ストレージはなく、ほとんどがタブレットなどのクライアント端末単体だけで十分なのだ。教育機関を舞台とした情報漏えいなどのセキュリティ事件/事故の多くが、クライアント端末周辺から起きているのはそのためだ。
教育機関にとって重要なエンドポイントセキュリティ対策。その決定打の1つとして一度は検討されるのが、手元の端末にデータを残さずにデスクトップ環境を利用可能にする「シンクライアントシステム」である。既に幾つかの地方自治体での導入事例や導入検討の声が、ベンダーに勤める筆者の周辺に漏れ聞こえてくる。
シンクライアントシステムは、確かにエンドポイントセキュリティ対策の有効な手段ではある。ただし、シンクライアントシステムがあらゆるエンドポイントセキュリティの課題を解消できるわけではないのも事実だ。本稿では、教育機関がエンドポイントセキュリティ対策としてシンクライアントシステムを導入することの是非を検証する。
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