2016年07月27日 08時00分 UPDATE
特集/連載

販促策の一環であることは察しているAppleとMicrosoftのオープンソース戦略がコミュニティーに支持される理由

オープンソースコミュニティーとの協力関係を模索するAppleとMicrosoftの戦略は、好意的に受け止められている。企業利益のためであることを隠さない両社が受け入れられ、開発者が集まる理由とは?

[Cliff Saran,Computer Weekly]
Computer Weekly

 Appleに愛着を持つ開発者は多いようだ。どこの開発者向けカンファレンスに出掛けても、登壇者が持っているコンピュータにはAppleのロゴがステータスシンボルであるかのように輝いている。そして今、その愛がついに報われる時が来たのかもしれない。

Computer Weekly日本語版 7月20日号無料ダウンロード

本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 7月20日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。

なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。

ボタンボタン

 オープンソースコードのリポジトリコミュニティー「GitHub」の共同設立者兼CEO、クリス・ワンストラス氏は、アムステルダムで2016年5月に開催されたカンファレンス「GitHub Satellite」に登壇。Appleがオープンソースを正式に支持することを示す施策が近いうちに始動すると参加者たちに語った。Appleが以前からGitHubに貢献していることを同氏は特に強調し、開発者の働き方に新たな選択肢が加わったことを示す良い例だと語った。

 「オープンソースは単なるイデオロギーではない。ソフトウェアを構築するための優れた手段だ。今や企業もオープンソースの利点に注目している」と同氏は語る。

 ワンストラス氏は、Appleが新しいプログラミング言語である「Swift」をオープンソースコミュニティーで普及させたいとGitHubにアプローチしてきたことは非常に印象深いとして、次のように話す。「AppleのSwiftは新しいタイプのオープンソースプロジェクトだといえる。すばらしいコミュニティーで優れたオープンソーススタンダードを定義する、すばらしいプロジェクトだ」

 例えばAppleは、このプロジェクトへの参加を希望する人向けに「行動規範」を制定・発表した。その規範には次のような記述がある。「Swift.orgコミュニティーの目的はただ1つ、世界一の汎用(はんよう)プログラミング言語を作り上げることです。参加を希望する皆さんの力を結集して、言語を一から築いていきましょう」

 AppleはSwiftコミュニティーと提携して、この言語に新しい機能を追加するとともに、できるだけ多くのプラットフォームをサポートし、この言語を利用する開発者を増やしていきたいと公式に表明している。

 GitHubのSwiftプロジェクトのページには、Swiftについて次のような記述がある。「これは、高性能なシステムプログラミング言語である。構文は簡潔かつモダンであり、既存のC言語およびObjective-Cのコードとフレームワークにシームレスなアクセスを提供する。またデフォルトでは、メモリに常駐することはない」

 本質的に、Swiftは「macOS」「iOS」「Linux」用のプログラミング言語だ。「Windows」や「Android」に対応するバージョンは現時点では存在しない。この言語を使って作成したコードは、Appleが「ランタイムライブラリ例外」と呼ぶApache 2.0のライセンスに従って使用許可が与えられる。GitHubのサイトには、以下の記述もある。「これによって、Swiftを使って自作のバイナリをビルド、配布する際の属性の要件は除外される」。つまり、Swiftランタイムを使って構築したアプリの所有権は開発者自身に留保される。

 Swiftプロジェクトの参加者リストには、Appleの社員が多数含まれているが、PayPalやDropboxなどの企業、さらには幾つかの教育機関のメールアドレスも少なからず見受けられる。このプロジェクトが幅広い層から支持されていることがうかがえる。

 これについてワンストラス氏は、次のように説明する。「Appleという会社は事業目標を率直に公表する社風があり、ひそかに施策を進めるタイプではない。AppleがプログラミングプラットフォームとしてSwiftを成功させようとしているのは『iPhone』の販促拡大策の一環であることも皆が察している。このエコシステムに従いながら生計を立てることを望む開発者として、私はそれでも構わないと思っている」

Microsoftまでもがオープンソースに参加

 一方Microsoftも同様の施策を進めており、.NETをオープンソースコミュニティーに公開した。AppleやMicrosoftといったハイテク業界の最大手がオープンソースに貢献したいと申し出るのは、これらの企業の施策をコミュニティーに押し付けることをもくろんでいるのではないかと不安を感じる向きもあるだろう。しかし、企業がオープンソースに参入する傾向は必ずしも悪いことではないとワンストラス氏は主張する。

 同氏はその理由を次のように説明する。

この記事を読んだ人にお薦めのホワイトペーパー

この記事を読んだ人にお薦めの関連記事

Loading

注目テーマ

ITmedia マーケティング新着記事

news016.jpg

そのKPIは本当にKPIなのか? 数字に振り回されないための基本的な考え方
そもそもKPIはどのような考え方で設計すべきでしょうか。成果を出すためのツールとして使...

news126.jpg

NECが世界最高峰のB2Bマーケティング賞「Markie Awards」のファイナリストに
ラスベガスに渡ったノヤン先生と庭山特派員。「Oracle Modern Customer Experience 2017...

news133.jpg

デルがインサイドセールスを大幅増員、その組織と業務を紹介
デルは2017年4月26日、中堅企業向けのインサイドセールス(内勤営業)を大幅に増員すると...