必要なのは上司の理解
医療のデータ分析成功の鍵を握る、経営陣への3つのアドバイス
医療機関幹部の意識を高めることが、データへの投資を拡大し、医療データの分析をさらなる応用につなげることができるというのが専門家の意見だ。
医療現場にいるシニア世代の多くは「最新テクノロジーを理解するトレーニングを受けた経験がない」と話すのは、大手製薬会社Eli Lilly and Companyでバイオメトリクスと高度分析の最高分析責任者兼バイスプレジデントを務めるパンドランガ・クルカルニ博士だ。
発想の転換が必要
「テクノロジーを理解する人には意思決定の権限がない。実際には、上司がそのテクノロジーと分析を受け入れなければならない。つまり、権限のある人が発想を変える必要がある」。クルカルニ氏は「Annual SAS Health Analytics Executive Forum」のパネルディスカッションでこう発言した。
分析サービスを提供するSAS Instituteでヘルスケア分析エグゼクティブを務め、このパネルディスカッションの司会を担当したマーク・ピッツ氏も同意見だ。「医療機関のリーダーになろうとするなら、業務を理解するだけでなく、テクノロジーとそれを支える数学を問題解決に生かす方法も理解する必要がある」。
ヘルスケアサービスを提供するMercy Healthcare System付属のMercy Virtual Care Centerで仮想ケアサービスの研究、評価、高度分析のディレクターを務めるバイロン・ヨーント氏は「医療のデータ分析プロジェクトでは、業務とテクノロジーを結び付けての説明が難しい。このためスポンサー獲得がいつも課題になる」と話す。
「知識がある人」による教育
クルカルニ氏は、再び教育の重要性を強調し、次のように話した。「分析経験があり、分析を業務としている人はなぜ分析が重要なのかを第三者に理解させる必要がある。直感ではなく、データと分析に基づいて意思を決定するように変えたい。直感も必要だが、それをデータで補完しなければならない」(クルカルニ氏)
他のパネリストは医療組織がデータに投資する必要性についても強調している。
保険会社UnitedHealth Groupデータサイエンスのシニアディレクターを務めるラビ・シャンブハグ氏は、課題について次のように語った。「データのクレンジング(不要なデータを除外すること)はその価値が目に見える形になるとは限らないため、多くの企業にとっては難しい投資になる」
だが、クルカルニ氏は、それでも医療機関はデータに投資する必要があると話す。「問題を解決するには、適切なデータが必要になる」(クルカルニ氏)
ヘルスケアの現状の課題
IT部門が医療機関のリーダーの意識を変えなければ、機関の幹部が医療データ分析プロジェクトに関して投資をする可能性は低い。こうした潜在的な関心の欠如は、基調講演でアンディ・スラビット氏が示した医療問題につながる恐れがある。
スラビット氏は医療ベンダーや保険業者の幹部に次のように話した。
「この10~20年の間に医療に多額の投資がされてきた。人への投資、才能への投資、現金の出資、多くの建物、多くの合併、テクノロジーとデータ分析への投資など多岐にわたる。だが、医療体験(エクスペリエンス)は10年前とも20年前とも変わらない。ほぼ間違いなく医療は細分化され、地域によっては利用が難しくなり、転帰の点では悪化している。投資はしてきたが、その見返りは大きくなかった」(スラビット氏)
スラビット氏は、このジレンマには2つの見方があると話す。恐らく、「投資をしても、投資先が間違っている。あるいは、目標を改善しようとしてするものに投資していない」。
同氏はもう1つの可能性を次のように話した。「人々をケアする方法と場所が不足している。つまり、間違ったタイミングでケアをしているか、間違った場所でケアをしている。あるいは、過剰な治療をしていたり、治療が不十分だったりしている。こうしたことが、投資を不明瞭にしている。投資はしていても、適切な人々を適切なタイミングで医療システムに導いていない」
非営利組織United States of Careは、アメリカ市民に手頃な医療を提供することを重視している。この組織の現取締役会長を務めるスラビット氏は、優れた医療データ分析は次の3つのステップで得られると提案した。
1.データを使って「追求する問題を適切に定義する」
2.データを適切なタイミングに適切な場所で利用する
3.データを使ってシステムの変化を実現する
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