Oracle Databaseからの移行例も
「NoSQLにACIDトランザクションは無理」という“常識”をMongoDBが変える(1/2 ページ)
NoSQLベンダーのMongoDBは、同社のドキュメント指向データベース管理システムをアップグレードし、ACIDトランザクション関連機能を強化した。この取り組みが意味することとは。
ドキュメント指向データベース管理システム(DBMS)を手掛けるMongoDBは、注目すべき複数の機能をリリースしている。これらの機能は、同社の同名DBMSを、企業向けアプリケーションとして実用的な選択肢にするよう設計されている。その中心となるのが、「MongoDB 4.0」での「ACIDトランザクション」関連の強化だ。ACIDトランザクションは、後述するACID特性を満たすトランザクション(DBMSの一連の処理)のことであり、リレーショナルDBMS(RDBMS)の大きな特徴として知られる。
米国ニューヨークで開催したユーザーカンファレンス「MongoDB World」でMongoDBは、MongoDB 4.0に加えて、サーバレスのイベント駆動型コード実行サービス「MongoDB Stitch」も発表した。MongoDB Stitchは、アプリケーション開発の効率向上に役立つ。もともとMongoDB Stitchは、MongoDBのマネージドサービス「MongoDB Atlas」で利用するために提供された。
MongoDBは、モバイルデバイス向けの「MongoDB Mobile」のβ版を利用できるようにした。加えてMongoDB Atlasのユーザー企業が、世界のさまざまな地域にデータを分散できるようにもした。パフォーマンス向上と法規制順守が目的だ。
世界で最も広く使用されているNoSQL(RDBMSではないDBMS)として、MongoDBは認識されている。「Oracle Database」「SQL Server」のようなRDBMSの巨頭と比べると、存在感はまだかなり低い。MongoDBは2017年10月に株式を公開した。2018年1月に終えた事業年度の収益は1億5450万ドルだという。DBMS市場全体からすると小さな割合だ。
併せて読みたいお薦め記事
「データベース」関連のサービス比較と技術解説
- 徹底比較:AWS、Google、AzureのDBサービス 最適な組み合わせとは
- GPUデータベースとは CPUとの比較で分かるビッグデータ並列処理
- 「NVDIMM」はなぜインメモリデータベースの“相棒”になり切れないのか?
「RDBMS」はもういらないのか
「マルチドキュメントACIDトランザクション」でNoSQLがRDBMS代替の有力候補に
MongoDB 4.0は、データ交換フォーマット「JSON」で記載された複数のドキュメント(ドキュメント指向DBMSでのデータベースの構成単位)間でのACIDトランザクションを実現できる。これにより、RDBMSの有力な代替手段になる可能性が生まれたと、ステファン・オグラディ氏は述べる。同氏は技術調査/コンサルティング会社のRedMonkで、アナリストを務める。
ACID特性、つまり原子性(Atomicity)、一貫性(Consistency)、独立性(Isolation)、耐久性(Durability)は、DBMSのトランザクションが正確かつ確実に処理されることを保証する。これまでのMongoDBでは、個別のドキュメントレベルでしかこのような保証を実現していなかった。
MongoDBは、2018年2月にβ版の提供が始まったMongoDB 4.0から、複数のドキュメントに対するACIDトランザクション(マルチドキュメントACIDトランザクション)を可能にした。オグラディ氏によると、実行すべきトランザクションを多く抱える企業にとって、これは欠くことのできない要件だという。
ERP(統合業務)システムに利用しているバックエンドのRDBMSを、MongoDBに置き換えようとする企業は多くないと、オグラディ氏は説明する。ただし一部の企業にとっては、MongoDBはより実用的な選択肢になっていると補足する。例えばNoSQLが提供するデータの柔軟性向上とコスト削減を、他の種類のトランザクション処理システムで生かそうとしている企業だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[株式会社キーエンス] PCが苦手でも自動化できる ポポラマーマなど4事例に学ぶ「ナビ搭載型RPA」活用 -
製品資料
[株式会社キーエンス] 自分ひとりでデスクワークを効率化 「AI&ナビ搭載RPA」で実践する業務自動化 -
製品資料
[デジタルサーカス株式会社] Drupalサイト監査サービスでは何をどのように確認できるのか? -
事例
[横河ソリューションサービス株式会社] フィード・ワンの事例に学ぶ、基幹システム刷新を成功させるためのポイント -
事例
[横河ソリューションサービス株式会社] AGC 化学品カンパニーに学ぶ「Dynamics 365」導入 国内関係会社全体のDXも加速
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Microsoft 365導入後も稟議は「Excelをメールで回覧」 承認が止まる理由
-
2
PHPはそもそも必要か? 脆弱性で問われる自社サイト安全性と保守負担のバランス
-
3
米国防総省で300万人分の個人情報が流出 その「意外な原因」と教訓
-
4
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
5
PHP2Shellの「事前の情報流出」でパニックに パッチ公開を巡る“混乱劇”
-
6
京王電鉄・東京メトロの被害から学ぶ境界防衛 ITの侵害はどこまで波及するか
-
7
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
8
金融・通信で情報漏えいが続出 IPAとJPCERT/CCが情シスに求める緊急点検
-
9
「GitLab」に最高深刻度の脆弱性 2014年以降の全版に影響を及ぼす恐れ
-
10
AIを使い倒すエンジニアほど「将来のキャリア」に不安 身に付けるべき能力は?
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
3
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
4
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
5
SCS評価制度時代の「SASE選定」ガイド
-
6
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
7
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
8
「EDR」選定ガイド:比較・検討フェーズで整理すべきポイントを解説
-
9
MDMだけでは防げない? Appleデバイスに潜む5つのセキュリティギャップ
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー