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IEEE 802.11n:導入前に知っておくべきこと【後編】
<a href="http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/0704/10/news01.html">前編</a>では802.11nワイヤレス標準の概要を解説した。この後編では、この新技術を導入する前に検討すべき問題について説明する。
IEEE 802.11n標準が最終的に承認されるのは1年以上先の見込みだが、ワイヤレスネットワークベンダーやノートPCベンダー各社は既に、ドラフト仕様をベースとした製品を発表(そして出荷を開始)している。またWi-Fiアライアンスでは2007年上半期中に、ドラフト仕様をベースとした製品間の相互運用性の認定を行う予定だ。現在のドラフトと最終的な標準との違いにソフトウェアで対処できるようにすることで、ハードウェアの変更を必要としないようにするのが狙いだ。
標準化前の機器を慌てて導入する前に、それに付随するリスクを理解しておく必要がある。ハードウェアの変更が必要とされない可能性は十分あるが、もし変更が必要となれば、購入した製品をすべてリプレースする羽目になるかもしれないのだ。あなたの会社の既存のネットワークをリプレースするか、新しいネットワークを構築する必要があり、もうすぐ時代遅れになる802.11g機器に投資したくないのであれば、Wi-Fiアライアンスが相互運用性テストを完了するまで待つべきだろう。その時点では、(最終規格に準拠しない可能性はあるが)少なくとも相互運用性のあるメーカー各社の製品の中から選択することができる。
IEEE 802.11nの優れたスループットは、ワイヤレスの部分だけではなく、ネットワーク全体に影響する。802.11gのアクセスポイント(AP)のトラフィックを転送するのには100Mbpsイーサネットで十分だったが、802.11nではギガビットコネクションが必要とされる。802.11nの高速な通信能力に対応するために、企業のネットワークの隅々までアップグレードが必要になるだろう。
最新のワイヤレスネットワークは「シンAP」で構成され、ほとんどのインテリジェンス機能がスイッチに集約されている。こういったネットワークでは、各APからのトラフィックはすべて中央のワイヤレススイッチに転送される。スイッチはAPに代わってユーザーの認証、データの暗号化と復号化、AP間でのローミングの調整などに必要な処理を行う。
しかしトラピーズネットワークスとコルブリスネットワークスでは、802.11nネットワークのアーキテクチャには、インテリジェンスと処理パワーがAPに必要だと考えている。このため両社は、802.11nが提供する通信速度に対応した製品の計画を発表した。
コルブリスのマーケティングディレクター、カール・ブルーム氏は、「1Gbpsインタフェースを備えた第1世代のインタフェースが802.11nの世界では使い物にならないというのは、簡単な計算をすれば分かることだ。現在、20Mbpsのスループットのアクセスポイントを50台サポートしているスイッチであれば、802.11nが提供する100Mbps以上のスループットを持つアクセスポイントは10台しかサポートできない」と話す。
コルブリスのアーキテクチャでは、ワイヤレス機能の管理をコントローラに集約しているが、APからのデータはコントローラやワイヤレススイッチを経由せずに、ネットワークインフラに入る。各APはRADIUSサーバに直接接続して、認証のネゴシエーションを行う。暗号化と復号化もAP内で処理され、APは各ユーザーの認証/QoSパラメータおよび暗号化キーをコントローラに送信する。コントローラはこれらのパラメータを物理的に隣接するAPに渡すことにより、隣接するAPの領域にユーザーが移動したときの再認証を不要にする。
802.11nと既存のワイヤレスネットワークを共存させる場合には慎重な分析が必要となる。ほとんどの802.11n製品は、802.11gのレベルまで速度を下げることにより、同一チャネルで動作する802.11g機器との互換性を実現する。この速度低下は802.11g機器のみならず、ワイヤレスネットワーク全体に影響を与える。
現時点で2.4GHzの3つのチャネルを使用しているのであれば、5GHzで動作する802.11n製品を選ぶこと。2.4GHzで2つのチャネルを使用している場合には、802.11nで40MHzのチャネルを使う機能を利用することができない。
802.11n対応APには2個の無線装置が内蔵される可能性がある。2.4GHzで動作する既存の801.11gネットワークをサポートする無線装置と、5GHzで動作し802.11nの最高速度をサポートする無線装置である。802.11nベンダーの選定に当たっては、既存の機器がどのようにサポートされるのかを必ず確認すること。
IEEE 802.11nが広範に普及するのは確実だ。この技術は、これまで有線ネットワークでしか利用できなかった高帯域アプリケーションのワイヤレスへの移行を可能にする。また、ワイヤレスVoIPの受信品質も改善するだろう。
しかし十分に調査しないまま性急に導入すると、将来、トラブルを招きかねない。できれば、最終的な標準が承認され、それをベースとする製品がリリース、検証されるまで待った方がいい。802.11nが自社のネットワーク全体に及ぼす影響を把握すること。そして、ネットワークで必要となる再設計およびアップグレードしなければならない機器をすべて把握した上で、導入計画を策定することが肝要だ。
本稿筆者のデビッド・B・ジェイコブズ氏はザ・ジェイコブズグループに勤務し、ネットワーキング業界で20年以上の経験を持つ。フォーチュン500企業ならびにソフトウェア分野の新興企業を顧客として、最先端のソフトウェア開発プロジェクトの管理やコンサルティングを手掛けてきた。
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