Column
Wi-Fiファイアウォール――「空襲」を防ぐために
ワイヤレス環境のセキュリティを強化するためには、従来型のファイアウォールではなく、Wi-Fiファイアウォールが有効だ。Wi-Fiファイアウォールの選定のポイントを紹介する。
企業でのWi-Fiの利用が拡大するのに伴い、ワイヤレス侵入者から社内ネットワークを防御し、ワイヤレスセキュリティを強化する必要性が高まっている。従来型のファイアウォールは、有線LANを構成するサブネット同士の間に信頼境界を設けるが、Wi-Fiではこういった既存の境界を迂回(うかい)するという悪弊が慣習化している。多くのネットワーク運用担当者は、毎日社内を歩き回り、こういったルール違反のアクセスポイント(AP)を取り締まっており、ITスタッフたちもWi-Fiアクセスをめぐる混乱を収拾するのに苦労している。こうした問題の対処に役立つのがWi-Fiファイアウォールだ。
Wi-Fiファイアウォールアプライアンスの必要性
「Wi-Fiファイアウォール」というラベルは、さまざまなアプライアンスで使用されている。ワイヤレス対応のSOHO向けファイアウォール(SonicWALL、WatchGuardなど)もあれば、ワイヤレスネットワークゲートウェイ(BlueSocket、Vernier、Craniteなど)もある。ここでは、Wi-Fiトラフィックを監視/フィルタリングし、ワイヤレスLANの不正使用やワイヤレス経由の攻撃を防止するサーバを「Wi-Fiファイアウォール」と呼ぶことにする。
一般に、こういったアプライアンスは無線侵入防止システム(WIPS)と呼ばれ、ワイヤレスLAN(WLAN)全体にわたってセキュリティポリシーを常時適用する。ルール違反のAPがないか調べるために、担当者がすべてのビルのすべてのフロアを定期的にチェックしなくても、Wi-Fiファイアウォールが不正なトラフィックを常に監視し、新たに設置されたAPの接続を自動的に切断してくれるのだ。Wi-Fiの安全な利用を従業員任せにしなくても、Wi-Fiファイアウォールを利用すれば、ポリシー違反のセッションを停止させ、機密データの漏えいを防止することができるのだ。
Wi-Fiファイアウォールの導入
Wi-Fiファイアウォールを配備するには、ネットワークオペレーションセンター(NOC)にセントラルサーバを設置し、監視対象となるすべてのオフィス(「空域」)にリモートセンサーを配置する必要がある。侵入者が誰にも気付かれずに潜む可能性がある階段などの場所が監視の死角になることのないよう、センサーネットワークのプランニングには十分な注意が必要だ。
ほとんどのアプライアンスは、専用のセンサーで構成されるオーバーレイネットワークを採用している。標準的なAPを利用し、その空き時間に不正トラフィックを監視するアプライアンスも存在する。専用センサーを使用する方式は監視/防止機能に優れるが、製品購入、設置、電源、配線などに大きな初期投資が必要となる。PoE(Power over Ethernet)やデイジーチェーン接続をサポートするセンサーであれば、このコストを削減できる可能性がある。リモートセンサーとセントラルサーバ間の通信には通常、それほど高速な回線は必要ではないが、大規模なリモートオフィスでWANアクセスが制限されているような場合には、専用のサーバを別途用意する必要があるかもしれない。
Wi-Fiファイアウォールの選定
どんなセキュリティアプライアンスについても言えることだが、あなたの会社のセキュリティポリシーを適用することが可能なWi-Fiファイアウォールを選ぶことが肝要だ。Wi-Fiを禁止している企業であれば、複雑な設定なしで不正トラフィックを効果的に阻止することに主眼を置いたアプライアンスを選ぶといいだろう。大規模なWLANを運用している企業であれば、十分な粒度と拡張性をもってWi-Fiセキュリティルールを定義・適用することができるアプライアンスを選ぶべきである。製品の選定に当たっては、社内で試験運用を行うのが一番だが、製品のレビュー記事なども参考になるだろう。
また、管理のしやすさもチェックする必要がある。これは特に、処理しきれないほどの膨大な数のイベントが発生する大規模なWLAN環境で考慮すべきポイントである。これについては、ズームインやドリルダウンといった手法によって、大きな問題を分析可能な要素に切り分ける機能の有無をチェックするといいだろう。テンプレートや階層型ルール、自己構成機能なども役立つ。
有線ファイアウォールであれば不正パケットを廃棄することができるが、ワイヤレスファイアウォールの場合、不正パケットを拒絶するには802.11フレームを送信するという形で能動的な干渉を行う必要がある。各種のWi-Fiセッション規制手法は、その有効性も正規ユーザーへの影響も、さまざまに異なる。
Wi-Fiファイアウォール選定のチェックポイント
本記事で紹介した機能は、ソフトウェアとハードウェアの両方のパッケージ形態で提供されている。自社のサーバプラットフォームにソフトウェアをインストールする方式を採用しているベンダー(エアマグネットエンタープライズなど)もあれば、迅速で簡単な配備を実現するためにターンキー型アプライアンスを提供しているベンダーもある。
製品を選ぶには、次のポイントをチェックしよう。
セキュリティイベントの検出
自社の業務にとって重大な攻撃や異常、ポリシー違反などを正確に検出できるか?
パフォーマンスイベントの検出
Wi-Fiパフォーマンスに影響を及ぼす頻繁なエラーや干渉といった問題を検出できるか?
侵入防止
侵入を阻止するために、侵入者を有線/無線ネットワークから遮断するというアクションを(手動あるいは自動で)実行できるか?
位置の検出
物理的な除去を容易にするために、不正なAPおよびクライアントのおおよその位置を特定できるか?
リアルタイムステータス
全般的なセキュリティのステータスを容易に把握できるか? 調査に役立つ詳細情報が即座に提供されるか?
履歴リポート
本当に必要とされるデータが含まれる既製(あるいはカスタムの)リポートを作成できるか?
本稿筆者のライザ・ファイファー氏は、ネットワークセキュリティ/管理技術を専門とするコンサルティング会社、コアコンピタンスの経営者である。ファイファー氏は20年余りにわたり、データ通信/インターネットワーキング/セキュリティ/ネットワーク管理製品の設計、導入、評価に携わってきた。コアコンピタンスでは、中小/大手企業顧客向けに、セキュリティニーズ、製品評価、新技術の利用、ベストプラクティスなどに関してアドバイスを行っている。同氏は各種の業界カンファレンスやWebセミナーで、無線LAN、モバイルセキュリティ、VPN(Virtual Private Network)などのテーマについて講演や発表を行っている。
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