企業の生産性を高めるモバイルUC
モバイルユニファイドコミュニケーション入門 PART1
ユニファイドコミュニケーションを利用すれば、企業は効率、俊敏性、そして生産性を高める新たな業務手法をサポートするインフラを提供できる。モバイルUCの具体的な導入効果を紹介する。
ユニファイドコミュニケーション(UC)の主要なメリットの1つに、高度なコミュニケーション機能をモバイルユーザーに提供できることがある。しかし、この「モバイルUC」を実現するには2つの複雑な要求、すなわちモビリティーとUCを同時に満足させる必要がある。
本連載では、3回にわたってモバイルUCのアプリケーション、技術、メリットについて解説する。
モバイルUCの定義
従来の「ユニファイドメッセージング」の定義とUCを混同しているITプロフェッショナルはまだ多いが、UCの可能性はユニファイドメッセージングをはるかに超えて広がっている。現在UCには、すべてのエンタープライズコミュニケーションを共通のダッシュボードに統合し、ユーザーがすべての連絡先を見て彼らのプレゼンス状態を確認できるようにするというアイデアも含まれる。このプレゼンス状態を示す情報としては、社内/社外、会議中、現場業務、休暇中などがあり、対応可能なコミュニケーション形式(音声、ビデオ会議、電子メール、テキストメッセージ)も併せて示すというものだ。
ユーザーのプレゼンスは予定表を基に自動的に更新され、ルールベースのエンジンによって異なる連絡相手(上司、同僚、顧客、家族など)に応じて異なるレベルの“対応可能性”を設定できるようにするといったアイデアも提唱されている。つまり、“ユニファイド”というコンセプトには、すべてのメディアでの着信と発信に加え、アプリケーションとそのインタフェースを単一のプラットフォームに統合することも含まれるようになったのだ。
ユーザー向けの機能の改善とともに、コミュニケーション機能を活用したビジネスプロセスというアイデアもUCに含まれる。これは、豊富なコミュニケーション機能をビジネスプロセスに連携させることによって、定型業務を効率化するというものだ。今日UCでは、企業のすべての人的リソースとITリソースを単一のプラットフォームに統合してビジネスゴールを達成することに主眼が置かれているのだ。
モバイルUCのメリット
UCを利用すれば、企業は効率、俊敏性、そして生産性を高める新たな業務手法をサポートするインフラを提供できる。モバイルUCの主要なメリットを以下に示す。
プレゼンス
どんなタイプのコミュニケーションに対して、どのリソースが利用できるかをリアルタイムで確認する機能とともに、各ユーザーが自身の応対可能性を管理・コントロールする機能を提供する。
アクセス性
UCとモバイル機能が結合することより、相手が席を外していようがいまいが、あるいは外国に出張中であっても、社内のすべての人的リソースと情報リソースを適切な連絡先に提供することが可能になる。
生産性
個々のユーザーにとって、モバイルUCは時間の管理とコミュニケーションの改善を可能にする。マクロレベルでは、統合性と機能性に優れたコミュニケーションは組織の柔軟性、俊敏性、即応性を高める。
セキュリティと統制
モバイルUCを正しく導入すれば、企業はすべての着信電話を業務番号経由で転送できるようにすることによって、自社へのコミュニケーションアクセスをコントロールできる。また、こういった高度なコミュニケーション機能をリモートユーザーにまで拡張しても、企業の機密情報のセキュリティが損なわれる心配がない。
やや抽象的な話になってしまったので、具体例を示そう。あなたが外回りの営業担当者で、優良見込み客の1社から電子メールを携帯端末で受け取ったとする。そのメールから判断して、商談を成立させるには、2つの部門の技術者の協力を得るとともに、上司から技術に関連した特別な承認を得る必要があることが分かった。プレゼンス機能に対応したディレクトリがあれば、各部門のどの技術者が対応可能であるかを確認し、彼らを会議通話に参加させ、会議での音声通話を使って顧客の電子メールに返答できる。技術者が見込み客と問題解決について話し合う一方で、あなたは承認を求める電子メールあるいはテキストメッセージを上司に送ればいいのだ。
モバイルコミュニケーションに対応したビジネスプロセスを導入すれば、生産性改善アプリケーションの利用範囲が飛躍的に拡大する。手始めとしては、例えばサービスディスパッチ、すなわちGPSベースのジオロケーション(地理位置情報)によってサービス担当者の場所を特定し、サービス要請個所から最も近い場所にいるサービス車両を派遣する機能などを導入するのもいいだろう。API(Application Programming Interface)を利用すれば、車両の現在位置から目標地点までの道順を指示したり、さらには最も混雑の少ないルートを選ぶといったことも可能になるだろう。また、在庫システムと連携すれば、各車両に積み込まれた部品や技術者が保有している製品認定証を把握し、必要な部品を積載した車両と必要なトレーニングを受けている技術者だけを現場に派遣することができるかもしれない。
今日、UCはそのメリットが最も顕著な分野を中心に企業に定着しつつある。これらの分野としては、医療、金融サービス、コールセンターなどのコミュニケーション主体型業界が含まれる。UCをモバイル分野に進出させる背景には、多数の機能と連携したコミュニケーションが、顧客と接する業務やプロセス主導型の業務の担当者にとって重要であるという認識がある。ビジネス組織の流動化とモバイル化が進むのに伴い、こういった業務の担当者がどこにいようとも、プレゼンス機能を備えたUCインフラを利用できるようにする必要があるのだ。
次回は、固定・携帯融合(FMC:Fixed Mobile Convergence)の導入およびモバイルUCソリューションを取り上げる。
本稿筆者のマイケル・フィネラン氏は独立系コンサルタント兼業界アナリストで、ワイヤレス技術、モバイルUC、固定・携帯融合を専門とする。ネットワーキング分野で30年以上にわたる幅広い経験を持つ同氏は、同分野のエキスパートとして広く認知されている。ワイヤレス関連では、Wi-Fi、3G/4G携帯、WiMAX、RFIDなど広範な専門領域をカバーする。最初の著作となる『Voice Over Wireless LANs -- The Complete Guide』(Elsevier刊)を最近刊行した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
AIで人を減らした企業がもう心変わり 「AIブーメラン現象」の実態
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー