Web感染型マルウェア対策【第4回】
Gumblar攻撃対策を一過性のものにしないための取り組み~シマンテック~
突然の感染拡大と収束を何度も繰り返すWeb感染型マルウェア。流行病のようにも見えるこの現象には、恐ろしい裏がある。場当たり的な対策では危険と語るシマンテックに話を聞く。
闇市場の脅威は世界がターゲット
Web更新用のFTPアカウントとパスワードを盗み、不正改ざんや感染拡大で多くの企業を混乱させたGumblarも、徐々に話題の中心から外れつつある。一般のクライアントPCにセキュリティパッチで対応が進んだことも要因の1つだろう。事態は収束したと認識する企業も多い。
「改ざんはまだ続いているが、数は減っている。Gumblarを題材にしたセミナーの参加者数や、Gumblarに関する問い合わせ数も減少傾向にある」。そう話すシマンテック プロダクトマーケティング部の広瀬 努氏は、「もしかして脅威への意識が低くなってきたのかもしれない」とつぶやく。
危機意識の低下は、新たな感染発生の引き金になるのだろうか。「Gumblar攻撃の背景が正しく理解されていないように思われる。今の脅威の背後には闇市場やサイバー犯罪を行う組織があり、攻撃の手を緩めない。日夜ソフトウェアの脆弱性を研究し、すきがあれば侵入を試みる。Gumblar攻撃を一過性のものと過信して対策を怠ると、新たな被害の引き金となり得る」と広瀬氏は言う。住宅街を歩き回り、常に侵入ルートを探り続ける空き巣のようだ。
Gumblar攻撃の特徴は、“ボット”と呼ばれるPCをリモート操作できるマルウェアをインストールしようとする点にある。ボットがインストールされてしまうと、別のマルウェアのインストールやスパム送信、Webサイトの機能不全などさまざまな作業を起こす。このボットをリモートコントロールするサイバー犯罪者がボットマスターだ。
ボットマスターは、ボットのインストールに成功したPCの数と共にボットによる作業請け負いを闇市場でサイバー犯罪者たちに宣伝する。クレジットカード番号を盗み出したりスパムメールを送信したい別のサイバー犯罪者は、マルウェアを効率よく侵入させられるボットマスターに、別のマルウェアのインストールをお金を払って委託する。ボットがインストールされているPCを多く囲っているボットマスターほど依頼が多く、得られる収入も多い。従ってボットマスターは、あの手この手を使ってボットの埋め込みを試みる。クレジットカード番号を盗み出したり、スパムメールを送信するマルウェアのインストールに成功したサイバー犯罪者たちは、得られたクレジットカード番号を売買したり、スパム送信の請け負いをまた別のサイバー犯罪者に宣伝したりと、闇市場では“個人の情報”を売買したり盗み出したりするための取引が成立している。
闇市場のターゲットは、全世界の金銭的な利益につながる情報を持つすべてのPCだ。活動範囲の広さと各国のサイバー犯罪を取り締まる法律の違いなどから、闇市場は簡単には撲滅できない。こうした闇市場の存在とサイバー犯罪組織がなくならない限り、攻撃の手が緩まることはない。
IPS機能・ネットワーク検疫・パッチ管理で防御
最良の対策は、「最新のセキュリティソフトを導入することと、小まめにシステムを管理、更新すること」だと広瀬氏は言う。新しいセキュリティソフトほど、最新の脅威への防御力が高いからだ。
シマンテックでは、企業向けにエンドポイントのウイルス対策製品「Symantec Endpoint Protection」とネットワーク検疫製品「Symantec Network Access Control」、そしてパッチ管理製品「Symantec Client Management Suite」を推奨している。
Symantec Endpoint Protectionには、従来のウイルス、スパイウェア対策機能に加えて、脆弱性を狙って侵入しようとする不正な通信を検知・ブロックするネットワークIPS機能が標準で搭載されている。闇市場の成長と、脆弱性を悪用して侵入するマルウェアは今後さらに増えると予測した同社は、ウイルス、スパイウェア対策製品と、それに加えIPS機能を備えた上位製品の2つのラインアップを販売していたが、「ユーザーに選択の余地を持たせる状況ではない」(広瀬氏)と考え、2007年に標準搭載へ踏み切った。このIPS機能は、その後の、2008年の年末から2009年の年始にかけてWindowsのOSの脆弱性を悪用するDownadupの防止に成果を上げるだけでなく、Gumblar攻撃対策でも効果を発揮している。
ちなみに、一般ユーザー向けウイルス対策製品「ノートン インターネット セキュリティ」でもIPS機能は標準搭載されている。
Symantec Network Access Controlは、PCの電源をオンにするかネットワークに接続することでパッチ対応状況やウイルス定義ファイルの更新状況のステータスなどを自動チェックし、管理者があらかじめ定めたポリシーに一致していない場合、強制的にネットワークから隔離できる検疫ソリューションだ。マルウェアの拡散を抑制したり、脆弱性が残っているPCを迅速に把握することで、社内ネットワークの安全化を図る。同製品はSymantec Endpoint Protectionにビルトインされており、オプションライセンスを購入しアクティブ化することで利用が可能になる。追加のクライアントソフトが不要で、ウイルス対策ソフトと管理サーバも共通であるため、企業にとって導入のハードルが低い点が特徴だ。
Symantec Client Management Suiteは、社内ネットワーク内のIT資産の場所や構成、配備済みのソフトウェアのバージョン情報などを追跡し、積極的なITライフサイクルの管理を実施する。管理者は、リモートからパッチを適用したり、特定のバージョンに強制的に更新することも可能だ。これらの機能を利用することで、PCを効率よく最新に保つことができ、恒常的なセキュリティ対策につながる。
さらにSymantec Client Management Suiteには、電源管理機能が搭載されている。これを利用すると、業務時間外に従業員が直接操作しなくてもPCの電源を入れ、ウイルスのスキャンやウイルス定義ファイルの更新、パッチ適用などメンテナンスタスクを実行できる。「業務時間内にタスクが走ると、作業効率は低下し、業務時間を延ばしてしまう。電気代も無駄に掛かる。しかも、場合によってはシステムの再起動が求められることもあり、それを嫌がる従業員がタスクを切ってしまう恐れもある」(広瀬氏)。生産性向上や電気代の節約としても有効な製品である。
このほか、Webサーバへの不正侵入や改ざん対策には「Symantec Critical System Protection」も用意している。同製品は、Webサーバへの不正な侵入を防止する、ホスト上で動作するIPS製品だ。ゼロデイ攻撃にもプロアクティブに対応し、外部デバイスの接続制御も行う。
以上の製品を組み合わせることで、一過性ではないセキュリティ対策を実現できる。「闇市場に対抗するには、小まめにきちんと継続してPCやサーバを管理徹底することが重要。それをサポートしていくのが、セキュリティベンダーの使命」と広瀬氏は断言する。
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