再考:流通業のBCP【第4回】
社会インフラである小売業が進むべき道
東日本大震災を契機に企業にはBCPの見直しが求められている。では具体的に誰がどうやってBCPを進めていけばよいのか。そして、流通業企業が今後生き残るために進むべき道とは。
BCP対策は経営トップが主導すべき
プラネット 代表取締役 玉生弘昌氏は、第3回「震災を契機に流通業における『レガシーの解決』が進む?」で示したさまざまな要因を踏まえて判断を下すためにも、事業継続計画(BCP)活動は経営者が主導すべきと強調する。トップの後押しなしには、コスト負担を伴う決断を下すことは現実的には難しいからだ。加えて、社員教育の重要性を次のように説く。
「やるべきことが分かっていれば、社員はきちんと行動する。だからこそ、万一の際の役割分担をきちんと決めておくとともに、会社の目的と、目的を遂行するために必要なことについて日頃から社員に周知する活動が重要になる」(玉生氏)
社会インフラである小売業が進むべき道
“買い物難民”という言葉が最近よく取り上げられる。これは、郊外型の大規模店との競争による経営難などから、従来型の商店街や駅前スーパーなどの店舗が閉店したり、大規模店そのものが撤退することで、日常の買い物をしたり、生活に必要なサービスを受けたりするのに困窮する地域住民のことを指す。経済産業省が対策に乗り出したことからも、この現象の根深さがうかがえる。
そもそも小売流通大手は、これまで出店と撤退を繰り返して店舗網を広げてきた。そのため、今回の震災によって、客足が伸び悩んだり、店舗を維持することが困難になった東日本大震災の被災地域では、郊外型大規模店が撤退する可能性もある。だが、玉生氏はこうした小売業の在り方について、次のように苦言を呈す。
「流通業界は社会性のあるインフラに位置付けられる。地域の生活者のことを考えれば、本来は容易に撤退には踏み切れないはずだ」
このことを踏まえ、玉生氏が今、注目しているのがITを駆使した新たなビジネスモデルである。インターネットで商品を受注し配送する、いわゆるネットスーパーもその1つだ。もちろん、その普及に当たっては、卸などの中間流通で商品を個別配送しやすくするための、梱包材のデザインの見直しなど、メーカーなども巻き込んださまざまな改革も求められる。
一方で、BCP活動の観点からは、流通各社が商品の調達先を広げることも重要だ。幾つもの卸から仕入れていれば、万一、ある卸から仕入れることができなくても、他の卸から商品を回してもらうことで対応できる。その実現のためにも、「複数の卸に発注可能なEDIプラットフォームを整備しておくことが肝要」(玉生氏)なわけだ。
同一製品を販売すれば、値引き合戦に陥りやすい。だが、地場の卸であればその地ならではのものを扱うことも少なくなく、それらによって商品展開、ひいては店舗の差別化につなげられる。
「消費者が求めるものをそろえつつ、いかに独自路線を歩めるか。そのために知恵を絞ることが各社に求められている」
以上、4回にわたって今回の震災の流通業への被害と、流通業各社に求められるBCPの見直しをまとめた。玉生氏の主張については氏の連載コラム「EDIは流通業全体のインフラを目指せ」も併せて読んでいただきたい。
次回では、卸売業に今回の震災の被害状況とBCP活動状況を聞く。
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プラネットの協力の下、本連載で度々引用している「消費財メーカー・卸売業における災害対策アンケート(2010年7月実施) 第2回調査報告書」の抜粋版をTechTargetジャパンのホワイトペーパーダウンロードセンターに掲載している。ぜひ本連載と併せて読んでいただきたい。
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