市場での評価が問題
LinuxカーネルがXenをフルサポートへ──「少な過ぎ、遅過ぎ」の感も
リリースから8年近くたち、XenはようやくLinuxカーネルに組み込まれることになった。理屈の上ではKVMと同じ土俵に立てたといえるが、Red HatがXenをサポートしない限り、Xenの対抗は難しい。
最初のリリースから8年近くになるXenは、ついにLinuxカーネルに組み込まれることになった。しかし「少な過ぎるし、遅過ぎた」という感がしないでもない。
米OracleでLinuxと仮想技術を担当するウィム・クーカーツ上級副社長によると、バージョン2.6.39以降のLinuxのメインラインカーネルには「Linuxが管理ドメインカーネル(Dom0)とゲスト(DomU)のどちらでも動作するために必要なコンポーネントが全て含まれている」という。
しかしこの数年、Xenベースのハイパーバイザーは、KVMをベースとしたオープンソース仮想化技術との厳しい競争にさらされている。成熟度が高く市場シェアでも優位にあるXenに対して、KVMは米Red Hatをはじめとする数社の主要Linuxディストリビューターが推進しており、米IBMなどの大手ホスティングプロバイダーでも採用されている。
カーネル統合までの長い道のり
理屈の上では、今回の動きでXenはKVMと同じ土俵に立てることになる。KVMはバージョン2.6.20(2007年9月リリース)以来、Linuxカーネルに組み込まれており、オープンソース仮想化市場における足掛かりを確保した。
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KVMの急速な普及の最大の要因は、同技術がカーネルに組み込まれたことだ。一方、XenはLinuxプラットフォームとは以前から相性が良かったものの、2007年以降、Linuxに対応させるためには、ユーザーはカーネルに大幅なパッチを適用するとともに、Linuxのコアディストリビューションに含まれていない構成を作成する必要があった。これはOSS(オープンソースソフトウェア)ベンダーおよび企業のIT担当者にとって頭痛の種であり、サポートの面でも厄介な問題だった。対照的に、KVMはLinuxカーネルに組み込まれ、Red HatやUbuntuといった主要ディストリビューションでのサポートが発表されて以来、KVM環境を立ち上げる方が容易になり、ディストリビューター各社もそれを後押しした。
残りのXenパッチをカーネルに直接組み込めば、ユーザーは開発・テスト時間を短縮できるため、互換性とユーザーエクスペリエンスという点ではKVMと対等な立場に立てることになる。
Xenコミュニティーは何年も前から、XenをLinuxに組み込むよう求めていたが、Linuxカーネルのメンテナーにとっては、複数のカーネルバイナリを維持しなければならなくなるという点が障害となっていた。Linuxの創始者、リーナス・トーバルズ氏は2009年に、次のように述べている──「XenはLinuxと甚だしく親和性が低い。他のシステムと必要以上に密接に結び付いているのだ。それは準仮想化とハイパーバイザーの動作に不可欠な要件かもしれないが、(Linuxには)関係のないことだ。はっきりしているのは、Xenを統合するのはとてつもなく難しいということだ」
それから2年後、Oracleのクーカーツ氏によると、「コードを認定パッチに変換する新たな取り組みが開始した」という。
Xenには、準仮想化(pv)、準仮想化管理ドメインカーネルと完全仮想化ゲストの組み合わせ(pv-hvm)、そして完全仮想化スタック(hvm)という3つの動作モードがある。クーカーツ氏によると、Xenのカーネル統合を促したコード変更の1つが、「pv-ops」と呼ばれる新しいモードだ。「これは起動時にカーネルがpv、hvmあるいはpv-hvmに切り替わることができるモードだ。複数のカーネルバイナリを用意するのではなく、1つのカーネルだけで済む。このカーネルは、起動時にどのプラットフォームで動作しているのかを検出し、それに応じた動作モードを展開する」と同氏は説明する。
市場での評価が問題
大手ディストリビューションベンダーからのサポートがあるものの、企業ユーザーはKVMの導入で苦労を強いられている。VMwareなどの既存のプロプライエタリ技術との相性が良くないからだ。また、既存のXen環境(Red Hat Enterprise Linuxは当初、XenとKVMの両方をサポートし、バージョン6.0以降はKVMのみをサポート)や、OracleがXenをOracle VMでサポートしたことはXenを多少なりとも支えたが、他のLinuxユーザーは、Xenがカーネルに組み込まれようとも、新規の導入に際してXenを見直すことはなくKVMを採用するつもりだとしている。
「CPUの高性能化とオンチップ仮想化技術の進歩に伴い、Xenが提供する準仮想化のメリットは低下した」と話すのは、財務クラウドサービスプロバイダーの米Ganart Technologiesでインフラアーキテクトを務めるライアン・マーレイ氏だ。「Red Hatが現行バージョンでXenをサポートしない限り、Xenは市場に大した影響を与えないだろう」
米ソフトウェア開発会社Jackpine Technologiesのパートナー兼システムエンジニアであるティム・スカリー氏は「Xenユーザーにとって、これは歓迎すべき展開であり、長い苦労が報われた」とメールに記している。「私の意見では、Xenはこの5~7年間、多くの欠陥を抱えていたためにカーネルへの統合が果たせなかったのだ。XenがLinuxカーネルに入り込むために長い戦いをしている間に、KVMは技術、機能、市場シェアで前進した。Xenがこのハンディを克服するのは容易ではない」
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