移行のポイントを説明
IPv6への移行は、なぜ厄介なのか
企業のネットワークの管理者にとってIPv6への移行は優先課題である。IPv6への移行を適切に行うためのステップを解説する。
IPv6への移行方法を学ぶことは、全ての企業の優先課題となっている。それは当然のことだとARIN(American Registry for Internet Numbers)のジョン・カラン代表兼CEOは語る。「無線ネットワークや大規模アクセスネットワークを拡張している場合や、クラウドコンピューティングに取り組んでいる場合、IPv4アドレスの枯渇に注意する必要があるからだ」。ARINは、北米におけるIPアドレスの割り当てを行う地域インターネットレジストリだ。
インターネットの各種リソースを全世界的に調整するICANNのIANA(Internet Assigned Numbers Authority)におけるIPv4アドレス在庫が2011年2月に枯渇したことで、5月に開催されたInterop Las Vegas 2011の「How do we finally get to IPv6?」(待ったなしのIPv6への移行、どう進めるか)というセッションは、多くのITエンジニアを集めて盛況だった。パネリスト兼モデレーターを務めたカラン氏は聴衆に、この次世代インターネットプロトコルへの移行準備の方法をアドバイスした。
なぜ今なのか
「IPv6への移行は、通常の技術移行とは違う」とカラン氏は語った。企業は、いつIPv6に移行するかを決定できるが、自社の都合で自由にスケジュールを設定することはできないと同氏は説明した。つまり、企業は今からIPv6への移行準備を行わなければならない。数年後には、ブロードバンドユーザーはIPv6接続のみを利用するようになる。IPv4にしか対応していない企業のWebサイトには、ユーザーはアクセスできなくなるからだ。IPv6は、IPv4との下位互換性がない。企業が今後も新規顧客を獲得したければ、あるいは自社のネットワークを拡張したければ、IPv6に移行する必要がある。
「あなたの会社が必要なアドレスをIPv4で既に確保していても、今はインターネットが変わろうとしている。これからもインターネットを使っていくのであれば、あなたの会社も対応しなければならない。何もしないでは済まない。現在のようなインターネット活用を続けたければ、積極的な取り組みを行う必要がある。だが、このことを理解していない企業が多い」(カラン氏)
Interop 2011の同セッションで、ある政府機関の匿名希望のネットワークシステムエンジニアは、IPv6をサポートしない古いルータを持っており、IPv6対応機でリプレースすべき時が来ていると話した。
なぜ厄介なのか
IPv6への移行は、他の技術の更新とは異なる。企業は単にOSのアップデートやハードウェアの交換を行うのではなく、新しいインターネットプロトコルを実装しなければならないからだ。
また、IPv6への移行は複雑だ。2000年問題対策のように期限が決まっているわけではなく、そのためにインターネットサービスプロバイダー(ISP)、機器ベンダー、ユーザー企業がそれぞれ、ばらばらなタイミングで移行を行っているからだ。地域インターネットレジストリやISP各社が、IPv4アドレスを使い果たす時期はまちまちだ。個々の企業の要件は、企業規模や事業規模によって異なっている。メーカー各社がIPv6対応機器を提供するペースにもばらつきがある。
「少なくとも2つの組織がIPv6機器の認証プログラムを実施している。USGv6とIPv6 Ready Logo Programだ。一部の企業では、このいずれかの認証を取得済みの機器を使う必要があるかもしれない」とカラン氏は語った。
踏むべきステップ
IPv6への移行を適切に行う上で重要なのは、古いハードウェアとOSの更新だが、カラン氏は、以下のステップを踏むことを勧めている。
1.外部のインターネットと接続している機器を把握する
「最初のステップはインベントリの作成だ。社内の機器が外部のパブリックインターネットとどこでつながっているかを知らなくてはならない。パブリックインターネットはIPv6ベースになるからだ」とカラン氏は語った。
具体的には、このステップでは、外部とやりとりするサーバ、メールサーバ、Webサイト、VPN機器の他、自社がパブリックインターネットにつなぐ可能性のある全ての機器をチェックすることになる。
2.ITスタッフをIPv6に精通させる
カラン氏は、ラボでの作業と学習によってITスタッフをIPv6に精通させることを勧めている。さらに、IPv6について無料で学べる信頼できるオンラインサイトとして、ARINのwikiや、TechTargetのIPv6チュートリアルサイトなどを挙げている。
3.ISPの協力を得て移行作業に入る
「スタッフをIPv6に精通させたら、ISPと連絡を取らなければならない。企業がIPv6に対応するには、ISPの協力が必要だからだ」とカラン氏は語った。
自社が利用しているISPが、自社のIPv6への移行ニーズを満たせるかどうかを判断する最も簡単な方法は、ISPに電話をかけることだ。
「ISPに電話して、『既存のインターネット接続をIPv6に移行する必要がある。われわれのITスタッフは、そちらと協力してこちらの機器を構成する作業に対応できる』と切り出せばよい。ISP側の機器も自社サイトの機器も、構成しなければならないからだ」(カラン氏)
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