気になるスマートフォンのセキュリティ
どれを選ぶ? Android端末向けセキュリティ対策ソフト比較
ウイルス対策ベンダーが提供するAndroid端末向けセキュリティ対策ソフトの中からエフセキュア、カスペルスキー、キングソフト、シマンテック、トレンドマイクロ、マカフィーの製品を紹介する。
日本でも徐々にシェアを伸ばしているAndroid端末。OSのバージョンアップに伴い、実現できる機能もさらに充実してきた。Android端末といえば、良くも悪くもそのオープン性が特徴だ。端末自体のカスタマイズだけでなく、スマートフォン人気を後押しするアプリケーションも自由に開発ができる。書店やコンビニエンスストアでは、関連する書籍や雑誌が数多く置かれている。
一方、セキュリティの観点で見たAndroid端末は、2010年に海賊版のアプリケーションを悪用したウイルスが発見されるなど、AppleのiOS端末と比較して脆弱性が多いといわれている(関連記事:Android端末はなぜ危険か)。管理の観点でも、OSのバージョンや各端末メーカーの仕様によって端末固有のセキュリティ機能にバラつきがあるなど、一元管理が困難となっている。
スマートフォンは、端末が持つ「パスワード設定」や「アプリケーションのダウンロード制限」をすることで最低限のセキュリティレベルを担保できる。しかし複数の端末を利用するような企業利用の場合、専用のウイルス対策ソフトのインストールやセキュアなリモートアクセス環境の構築など、製品導入で実現するより強固なセキュリティ対策が求められる。
スマートフォン向けのセキュリティ製品、サービスはここ数年で数多くリリースされた。今回はその中から、現在販売中(一部近日発売予定を含む)のAndroid端末向けウイルス対策ソフト(アプリケーション)を6つ紹介する(50音順)。なお、上記で挙げたようにAndroid端末はOSのバージョンごとに実現できるセキュリティ機能に違いがあるため、その点がセキュリティ製品の機能にも大きく影響する。製品購入時には、自身(自社)の端末の対応状況と、どの程度の機能まで利用できるかの確認が必須となる。
スマートフォンの企業導入時に読んでおきたい記事
主なAndroid端末向けウイルス対策ソフト一覧
| 製品名 | 提供元 | 対応OS(2011年7月現在) | 機能 | 価格 |
|---|---|---|---|---|
| エフセキュア モバイル セキュリティ ビジネス | エフセキュア | Android 2.1~2.3 | ウイルス対策、ブラウザ保護、紛失・盗難対策。オプションで端末のリモートロックや一元管理ができるポータルも利用できる。紛失・盗難対策の機能単独で構成する無償アプリも提供中 | 1~24ユーザー利用の場合で1ライセンス当たり3000円(税別) |
| カスペルスキーモバイルセキュリティ 9 for アンドロイド | カスペルスキー | Android 1.6~2.3 | ウイルス対策、プライバシー保護、紛失・盗難対策、着信・SNS拒否 | 2011年末まで利用できる試供版を無償提供(※) |
| KINGSOFT Mobile Security | キングソフト | Android 2.1~3.0 | ウイルス対策、プライベートフォルダ、通話履歴管理、パケット通信チェック、アプリ管理、タスクマネージャー | 1980円(税込み・更新料なし) |
| ノートン モバイル セキュリティ | シマンテック | Android 2.0~3.0 | 紛失・盗難対策、ウイルス対策、自動スキャン、ブラウザ保護、着信・SMS拒否、シミュレーション | 1年版2980円(税込み) |
| Trend Micro Mobile Security | トレンドマイクロ | Android 2.1以上 | ウイルス対策、ブラウザ保護、着信・SNS拒否、紛失・盗難対策、デバイス制御、集中管理、エージェントのアンインストール監視 | 250~499アカウントを利用した場合の(サービス料を含む)1年間の使用許諾料金で、1アカウント当たり3110円(スタンダード版)/6220円(アドバンス版) |
| McAfee Mobile Security | マカフィー | Android 2.1~2.3 | ウイルス対策、Web閲覧保護、紛失・盗難対策、バックアップ&復元 | 1年間の契約で1ライセンス当たり2980円(税込み)。7日間の無料トライアル版もあり |
(※)訂正:掲載当初、「2011年末までは1カ月の試供版を無償提供」と記載していましたが、正しくは「2011年末まで利用できる試供版を無償提供」です。記事は修正済みです。おわびして訂正いたします
オプションで管理機能も利用できる「エフセキュア モバイル セキュリティ ビジネス」
エフセキュア モバイル セキュリティ ビジネスは、エフセキュアが企業向けに提供するモバイル端末用のセキュリティ製品だ。Android 2.1~2.3に対応し(※検証済み端末はこちらを参照)、価格(税別)は、1~24ユーザーの利用で1ライセンス当たり3000円。25~99ユーザーで2700円、100~499ユーザーで2310円、500ユーザー以上で1890円。エフセキュアの主要販売代理店と日立情報システムズが販売している。
気になる搭載機能は、「ウイルス対策」「スパイウェア対策」「ブラウザ保護」「盗難・紛失対策」。端末にインストールするアプリケーションでウイルス感染などを防ぐ他、別の端末から保護対象の端末にSMSでコマンドを送信することで、リモートで端末のアラームON(端末に備わる最大音量でアラームを鳴らす)、位置情報取得(GPS機能を利用)、ロック、ワイプ(端末のデータ削除)が可能。これにより、端末紛失時の早期発見を実現し、端末内に保存した企業情報の漏えいなどを防ぐことができる。
また、オプションで管理者向けの専用管理ポータルも利用できる。同ポータルでは、上記で紹介したコマンド送信を数ステップのボタン操作で容易に行える。各端末のステータス確認やリポート生成なども可能だ。一般的なウイルス対策ソフトの機能に加えて、管理機能も持ち合わせている点がエフセキュア モバイル セキュリティ ビジネスの特徴といえるだろう。モバイル端末管理(MDM:Mobile Device Management)の導入を検討する企業にとっても選択対象となりそうだ。
なお同社では、紛失・盗難対策の機能を持つソフトウェアをWebサイトで無料配布している。製品購入時の参考にダウンロードしてみてはいかがだろうか。
2011年内は無料版を提供中「カスペルスキーモバイルセキュリティ 9」
カスペルスキーモバイルセキュリティ 9 for アンドロイドは、Android 1.6~2.3を搭載する端末に対応するセキュリティ対策ソフトだ。2011年末までは、1カ月利用の試供版を無償でダウンロード可能としている。対応端末など、詳細なシステム要件は同社ページを参照してほしい。
搭載機能は、「紛失・盗難対策」「ウイルス対策」「プライバシー保護」「通話/SMSのフィルタリング」。紛失・盗難対策としては、リモートロック/ワイプ、位置情報特定、SIMカード差し替え時の通知ができる。ウイルス対策では、事前に設定する保護レベルに応じてアプリケーションインストール時などにリアルタイムの保護をするほか、自動/手動のスキャン、定義ファイルの自動アップデートが可能だ。
プライバシー保護は、保護対象とした通話・メール(SMS)、アドレス帳の情報を別のユーザーが利用する際に非表示とする機能で、1台の端末を複数人で共有する場合を想定した機能といえる。通話/SMSのフィルタリング機能では、連絡を許可するユーザー情報をホワイトリスト(許可)、ブラックリスト(不許可)として管理でき、迷惑メールや不都合な電話をブロックできる。
ユーティリティ機能が充実した「KINGSOFT Mobile Security」
キングソフトのKINGSOFT Mobile Securityは、Androidマーケットに加えて同社のオンラインショップ、家電量販店、携帯電話ショップで購入可能なセキュリティ対策ソフトだ。対応OSはAndroid 2.1~3.0。価格は1980円(税込み)で、更新料は同社のPC向けウイルス対策ソフトと同様に「0円」としている。
同製品は、ウイルススキャン、電話・SMSの拒否などのセキュリティ対策機能に加えて、プライベートフォルダの設定や通話履歴管理、パケット通信料の確認といったユーティリティ機能が充実している。ユーザーインタフェースは他社のウイルス対策ソフトと同様にシンプルで分かりやすい。
上記の他にも、同製品には「アプリ管理」「タスクマネージャー」という独自機能が搭載されている。アプリ管理は、ユーザーがインストールしたアプリを高中低の3段階で評価し、一覧で確認できるという機能だ。その場でアプリを起動したり、アンインストールができる。
タスクマネージャーでは、起動中のアプリとメモリ使用量を表示する。スマートフォンで複数の動作を連続して行うためにバックグラウンドでさまざまなシステムが動き、端末の動作が遅くなる、というような場合にタスクを一括で削除できる。
PC版ノートンのノウハウを引き継ぐAndroid版「ノートン モバイル セキュリティ」
ノートン モバイル セキュリティは、シマンテックが提供するAndroid端末向けのセキュリティ製品。Android 2.0~3.0に対応し、価格は2980円(税込み・1年版)。家電量販店などの店頭とシマンテックのオンラインストアで購入できる。
主な搭載機能は、「紛失・盗難対策」「ウイルス対策」「着信・SMS遮断」「Web閲覧保護」「シミュレーション」。紛失・盗難対策では、リモートロック/ワイプ、端末の位置情報確認、SIMカードロックなど、他社製品と同様の機能を備える。ウイルス対策は、端末やSDカードに保存される全てのアプリケーションやファイル更新を自動・手動スキャンすることで、端末のウイルス感染を防止。Web閲覧保護は、標準ブラウザでのWeb閲覧時に、フィッシングサイトなどの危険なWebサイトへアクセスすることを未然に防ぐ。
ユニークな機能が、シミュレーション(紛失・盗難対策の模擬練習)だ。同社ではこのシミュレーションの利用を推奨しており、端末のリモートロック/ワイプなどを経験しておくことで、万が一本当に紛失・盗難が起きた場合でも落ち着いて対処できるとしている。
企業向けに強固なセキュリティ管理機能を提供する「Trend Micro Mobile Security」
トレンドマイクロのTrend Micro Mobile Securityは、ウイルススキャン、不正Webサイトへのアクセス制限、着信/メールフィルタリングなどのセキュリティ対策機能と、複数端末・セキュリティポリシーの一元管理などの管理機能を備える製品だ。2011年8月1日に受注開始(出荷は3日から)予定で、Windows MobileあるいはAndroid 2.1以上を搭載する端末に対応する。
紛失・盗難対策として、リモートロック/ワイプ、端末の位置情報確認も可能。端末のコンポーネントを利用したカメラ・通信機能の制限や、パスワードの強制適用など、管理者目線で便利な機能を豊富に備えている。
同社では提供方法としてスタンダード版/アドバンス版の2つをラインアップしている。スタンダード版は、セキュリティ機能と集中管理機能を搭載。アドバンス版は、スタンダード版の機能に紛失・盗難対策、端末の機能制限などの機能を加えている。
250~499アカウント利用時(サービス料を含む)の1年間の使用許諾料金は、スタンダード版が1アカウント当たり3110円(参考価格・税別)、アドバンス版が6220円(同)。アカウント数に応じて割引を適用するディスカウント制を取る。2年目以降に製品のバージョンアップやパターンファイルのダウンロードなどのサポートサービスを継続する場合は、1年当たり初年度購入価格の50%が発生する。
バックアップ&復元機能も備える「McAfee Mobile Security」
McAfee Mobile Securityは、マカフィーが個人向けに提供するスマートフォン用のセキュリティ対策ソフトだ。ウイルス対策、紛失・盗難対策、Web閲覧保護の機能に加えて、バックアップ&復元ができるなど、1製品で幅広い機能を提供する。対応OSは、Android 2.1~2.3、BlackBerry OS、Symbian OS、Windows Mobile。価格は1年間の利用で1アカウント当たり2980円(税別)。
同製品は、マカフィーのモバイル端末向けウイルス対策製品「McAfee VirusScan Mobile」、端末上のデータを保護するモバイルセキュリティサービス「McAfee WaveSecure」、Webサイトの安全性評価を評価する技術「McAfee SiteAdvisor for Android」の機能を1製品として統合したものとなる。
ユーザーは自身のWeb閲覧やアプリケーションのダウンロード時におけるセキュリティ対策を強化できる他、Webコンソール上で端末のリモートロック/ワイプ、位置情報特定、データのバックアップ&復元ができる。
なおマカフィーではNTTドコモと協業し、NTTドコモユーザー向けに無償のウイルス対策ソフト「ドコモ あんしんスキャン」もAndroidマーケットで無償提供している。主な機能は、メールや音楽、動画など各種端末内データのスキャンとウイルス定義ファイルの更新。スキャンや更新のタイミングは手動と自動から選択できる。2011年冬モデル以降に発売するNTTドコモのスマートフォンには、同ソフトが標準搭載される予定だ。
Android端末向けのセキュリティ対策ソフトは、ここ数カ月で家電量販店などでも取り扱いが始まり、より一般化してきているといえる。無償版で提供されているものも多いことから、PCと同様に端末購入時にセキュリティソフトも購入、というスタイルが確立されていくかもしれない。
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