専門家2人が優劣を論じる
Hyper-VとVMwareで動的メモリ割り当て機能を比較する
MicrosoftのDynamic MemoryとVMwareのメモリオーバーコミットは、どちらも動的なメモリ割り当てを行う機能だが異なるアプローチを取っている。以下では、仮想化の専門家2人が両機能の優劣を論じたコラムを紹介する。
Hyper-VのDynamic Memory機能は、VMwareのメモリオーバーコミット機能に対するMicrosoftの回答だ。
動的なメモリ割り当てを行うDynamic Memoryと、メモリオーバーコミットは、いずれも仮想サーバインフラにおけるメモリ管理の改善を目的としており、共通の技術を使用している。しかし、両者は異なるアプローチを採用しており、非常に異なるユーザーエクスペリエンスを提供する。
これらの違いに加え、Hyper-Vでは2011年まで動的メモリ割り当ての仕組みがなかったことから、VMwareユーザーとMicrosoftユーザーの間では、それぞれの機能のメリットをめぐって活発な議論が行われてきた。以下に、仮想化の専門家であるグレッグ・シールズ氏とエリック・シーバート氏によるHyper-VのDynamic MemoryとVMwareのメモリオーバーコミットの優劣を論じたコラムを紹介する。
Hyper-VのDynamic Memory:優れたアプローチ──グレッグ・シールズ氏
ハイパーバイザーはさまざまな仮想メモリ管理技術により、メモリが逼迫しても仮想マシン(VM)の稼働を維持する。
Microsoft Hyper-V Server 2008 R2 SP1(SP1)のHyper-Vで導入されたDynamic Memory機能は、VMware vSphereと同様のメモリバルーニングプロセスを使用する。Hyper-Vの統合コンポーネントには、ゲストOSをDynamic Memoryに対応させ、VMがホストと通信し、どのメモリページが使われているか(また、使われていないか)を認識できるようにする機能が組み込まれている。これを利用して、ホストはゲストメモリを要求に応じて増減する。
MicrosoftはVMware vSphereと同様の技術を採用しているが、Hyper-VのDynamic Memoryのユーザーエクスペリエンスは、VMware vSphereとは全く違う。Hyper-VではDynamic Memoryにより、VMにメモリ量を固定的に割り当てずに済むようになった。VMが必要なメモリを要求し、それに応じてホストが刻一刻と、稼働しているVM間でメモリを動的に再分配できるのだ。そのため、ワークロードの要求に応じて常に最適な量のメモリを割り当てることが可能になる。これによってVMの集約率も大幅に向上する。
また、Hyper-VのDynamic Memoryでは、構成可能なオプションがVMwareのメモリオーバーコミットよりも豊富に用意されている。例えば、メモリを大量に使用するワークロードを実行する問題を引き起こしやすいVMについては、割り当てるメモリ量の上限を指定できる他、VMごとにメモリ競合が発生した場合のメモリ割り当ての優先度を設定することもできる。さらに、バッファとして予約するメモリの割合も指定できる。VMは、VMのメモリ領域全体に対する空きメモリ領域の割合がこの指定値になるようにメモリを要求する。
Hyper-Vでは、VMのメモリの割り当てや管理をきめ細かく設定できるが、静的なメモリ割り当てを完全に排除できるようになっているのは、VMware vSphereなどのプラットフォームのバルーニング技術よりも優れたアプローチだ。Hyper-VのDynamic Memoryでは、VMの要求に応じてメモリを割り当てることを選択でき、その場合はメモリ割り当てが推測で行われる余地がない。
VMwareのメモリオーバーコミット:メモリ割り当ての総合的な最適化──エリック・シーバート 氏
メモリオーバーコミットは、VMwareのメモリ管理機能の一部にすぎない。VMwareでは、他にもTransparent Page Sharing(TPS:透過的ページ共有)、メモリ圧縮、バルーニングなどのメモリ管理機能が用意されている。この透過的なアプローチにより、ハイパーバイザーが舞台裏で何を行うかにかかわらず、アプリケーションとOSは常に同じメモリ量を認識することになる。
VMwareのメモリ管理設定は微調整できるが、ハイパーバイザーは全てを自動的に処理する。このアプローチにより、物理メモリを最大限に活用し、VMの集約率を大幅に高めることができる。
これに対し、MicrosoftはHyper-V Server R2 SP1でようやくDynamic Memory機能を導入した。Dynamic Memoryの動的メモリ割り当てでは、VMに割り当てられる物理メモリの量だけが管理され、メモリ量の初期値、最小値、最大値だけが定義できるようになっている。これらの定義に基づき、ハイパーバイザーは必要に応じてメモリを増減する。
Hyper-VのDynamic Memoryには大きな問題がある。それは、RAMのホットアドをサポートするバージョンのWindowsにのみ対応し、Linuxなど他のOSには対応していないことだ(VMwareの技術はどのOSにも対応している)。
しかも、Hyper-VのDynamic Memoryでは、VMのRAMのホットリムーブができない。メモリ量を減らすには、VMを再起動しなければならないのである。実のところ、稼働中のサーバのメモリを増減するのは良いアイデアではない。なぜそもそも最適なメモリ量を割り当てておかないのか。メモリ量の変更は、VM上で稼働するアプリケーションのパフォーマンスを大きく損なう。メモリ量の変更に対応できるアプリケーションはほとんどない。
Microsoftのメモリ管理アプローチは非常に弱い。同社は、VMwareがやっていることをもう一度まねすべきだった。イノベーションを行うなら、適切に行わなければならない。それができないなら、せいぜい模倣するしかない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー