ファイバーチャネル対イーサネット
ファイバーチャネルをお勧めできない4つの理由
近年、ストレージネットワーク分野では、帯域幅を拡大し各種プロトコルにも対応するイーサネットが優勢だ。これまでファイバーチャネルに対して投資をしてきた企業にぜひ聞いてほしいことがある。
最近、新しく仮想データセンターインフラを選ぶITアーキテクトは、共有ストレージ接続にファイバーチャネル(FC)とイーサネットのどちらを使うかで悩むようになった。既にFCのインフラを構築済みであっても、将来の投資のためにはイーサネットを選ばざるを得ない理由が幾つかあるからだ。
確かに、FCも黙って引き下がるわけではない。多くの企業はまだ、これまでのFCへの莫大な投資を無駄にするようなことはしたくないはずだ。だがイーサネットは帯域幅を年々拡大し、ストレージやネットワーキングの各種プロトコルにも対応しており、今日優勢なのはイーサネットだ。
まだ方針を決めかねている担当者に、FCをお勧めしない理由として以下の4点を紹介する。
1. 世代ごとの高速化のペース
FCよりもイーサネットの方が優勢である理由の1つには、純粋に数学的なものがある。FCの速度は通常、世代ごとに倍増している。例えば、2GbpsのFC接続は4Gbpsとなり、その後、8Gbpsとなった。
速度の進化に加えて、FCにはロスレス(無損失)という特性──光ファイバーケーブルはデータが破損していないかを確認する──があり、ストレージネットワークの初期の時代にはFCによって見事な性能が提供されていた。
だがイーサネットの世代ごとのスループット向上のペースはFCのペースをはるかに上回っている。例えば、わずか100Mbpsだったイーサネットの接続速度はすぐに1Gbpsに強化された。現在は10Gbpsの機器が提供されており、40Gbpsおよび100Gbpsのイーサネットも実現のときが近づいている(関連記事:仮想インフラに10ギガビットネットワークは必要か?)。
2. TCP/IPのシンプルさ
FCを適切に構成するためには高度な知識が必要だ。なぜなら、FCベンダーの間ではコアとなる標準についての合意が形成されていないからだ。その結果、各社の製品は設定や管理の方法がそれぞれ微妙に異なり、それが底知れぬ複雑さをもたらしている。
ストレージ技術の上級学位を持つITプロフェッショナルであれば、FCを使い続けるのも1つの選択肢だ。だがそれ以外の人たちには、イーサネットのおなじみのTCP/IPがある。
さらにイーサネットに味方する要因としては、FCはFibre Channel over Ethernet(FCoE)という技術を用いてTCP/IPネットワーク上で実行できるという点が挙げられる。しかも、FCoEとiSCSI(イーサネットで使用するストレージプロトコル)の設計に関する高度な決定は似通っている。例えば、イーサネットネットワークにとって有用なアーキテクチャやセキュリティ対策などの設計の多くは大概FCoEにも有用なはずだ。
3. イーサネットの配線の方が柔軟性と耐久性に優れている
FCの配線の一部をうっかりちぎってしまい、思わず罵り言葉を発してしまうことはないだろうか。
その罵り言葉はデータセンターの床下を通るそのケーブルと同じくらいに長いものだろうか。あるいは、また慎重な交換作業を行わなければならないことを思って短気を起こすのと同じくらいに一瞬のものだろうか。
イーサネットにストレージを統合すれば、ストレージトラフィックはユーザーフレンドリーなイーサネットの銅線ケーブルに移ることになる。銅線ケーブルはデータセンターの床下、あるいはデータセンターラック上のトレイにきちんと配置されており、グルグル巻きにできるので収納もずっと楽だ。
つまりストレージとネットワークの両方にイーサネットを使えば、FCの配線が不要となり、全般的な配線コストも最適化できるというわけだ。
4. イーサネットの方が必要なポート数が少ない
つい最近まで、仮想ホストにはイーサネットストレージ用にネットワークインタフェースカード(NIC)が最低6枚必要とされていた(ただし、1台のサーバにNICを8枚装着するというのは聞いたことがない)。1GbpsのNICの時代には、トラフィックを分離して性能を維持するためには多くのNICが必要だったのだ。
今日、NICが最低6枚必要というのはこっけいなくらいに古くさい話だ。今では、仮想サーバは高速な10GbpsのNICを1組搭載し、ストレージトラフィックやネットワーキングトラフィック、管理や移行のトラフィックなど、全ての仮想化I/Oを処理するのが一般的だ。ケーブルとポートの数が減るということは、手間が軽減され、ミスの可能性も減るということだ。そしてデータセンターもはるかにすっきり整理される。
FCは今日のデータセンターの奥深くに固定されており、欠点を補う長所も多い。だが、ネットワークの収束のときは確実に近づいている。近い将来、イーサネットは支配的な力を持ち、共有ストレージ接続の分野でFCに取って代わることになるだろう。
全てのイーサネットネットワークがファイバーチャネル対応ではない
重要な補足事項が1つある。現行のTCP/IPネットワークでFCoEを実行するには拡張機能が必要だ。
以下の4つのイーサネットプロトコル拡張機能を使えば、ネットワーク機器をFCoEに対応させられる。
- 優先度ベースフロー制御(PFC:Priority-based Flow Control、802.1Qbb):マルチプロトコルリンクで混乱が生じた際にトラフィックを管理する
- 拡張伝送選択(ETS:Enhanced Transmission Selection、802.1Qaz):トラフィックの種類に応じて帯域を管理する
- ふくそう通知(CN:Congestion Notification、802.1Qau):継続的なネットワーク混雑の問題を解消する
- DCB交換プロトコル(DCBX:Data Center Bridging Exchange Protocol):スイッチとエンドポイントの間でイーサネットパラメータを自動交換する
手持ちの既存のネットワーク機器の中には、こうした拡張機能をサポートするものもあれば、しないものもあるだろう(関連記事:仮想ネットワークを拡張するVRF技術)。だがこの先は恐らく、こうした拡張機能のサポートが進むはずだ。これらの拡張機能によって、「FCをサポートし、なおかつプロトコルにとらわれないイーサネットネットワーク」の構築が可能となる。そうなれば設定は差し込むだけで終了、実に簡単になる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
AIで人を減らした企業がもう心変わり 「AIブーメラン現象」の実態
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー