タイ洪水によるHDD不足はいつまで続くのか(後)
5~15%の価格引き上げも――ストレージベンダーのHDD供給不足への対応
大手ストレージベンダー各社は、2011年のタイ洪水によるHDDの供給不足や納品遅延の可能性を考慮し、5~15%の価格引き上げを今後実施する予定だ。
2012年中はHDDの供給不足が継続
前回の「タイ洪水によるSAS/SATAの品薄状態は2013年まで継続――アナリストが予測」に続き、2011年のタイ洪水の影響によるHDDの供給不足問題を取り上げる。
大手サプライヤー8社の製品に関してでさえ、既にHDDの供給不足や納品の遅れを経験している企業がある。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のInstitute for Digital Research and Education(IDRE)で主任技術者を務めるスコット・フリードマン氏によると「IDREでは最近、通常なら2、3週間済むHewlett-Packard(HP)の3TバイトSATAドライブ180Tバイト分の納品に2カ月を要した」という。
また、スイスのフリードリッヒ・ミーシャー生物医学研究所の情報科学部門を率いるディーン・フランダース氏は、2011年12月に発注した新しい「IBM DS3524」(NetAppからIBMが取得し、ブランド名を変更したディスクアレイ製品)に組み込む1Tバイトの7200rpm NL SASドライブを、900Gバイトの1万rpm SASディスクに変更する気はないかとIBMのリセラーから打診されたという。
Gartnerでは、HDD業界全体の供給量が完全に洪水前のレベルに戻るのは、第3四半期末後半か第4四半期前半になると予想している。米Gartnerのデータセンターシステム部門でリサーチ担当副社長を務めるジョン・モンロー氏の調査では、HDDの総出荷量は2011年第3四半期から第4四半期にかけて31.6%ダウンし、1億7580万台から1億2030万台になった。
一方、米IHS iSuppliでは、HDDの種類を問わず、第3四半期を過ぎると供給の問題は解消されると予想している。HISの統計では、第3四半期から第4四半期にかけてのHDD製品全体の出荷量は29.3%ダウンの5110万台となっている。内訳は、デスクトップ向けが36%、PC以外の消費者家電向けが33%、モバイル向けが28%のダウンだが、企業向けはわずか3.9%の下落とされている。
IHSのストレージシステム担当アナリスト、ファン・チャン氏は「第3四半期末までには、業界全体が回復するだろう。ただし、大半のHDDメーカーは企業向けドライブの製造割合を増やしているため、企業向けドライブ(の回復)はそれより速いだろう」と分析する。
同氏はさらに「ミッションクリティカル向けHDDの供給は、第2四半期末までに需要に追い付く。ビジネスクリティカル向けHDDの供給はやや遅れて、第3四半期末までかかるかもしれない。しかし、価格については、2012年中、数四半期にわたり下がらない可能性がある」と話す。
大手ストレージベンダーの取り組み
大手ストレージベンダーは既にHDDの供給不足や納品遅延の可能性と併せて、5~15%の価格引き上げを通達している。1月24日に開催されたEMCの財務報告電話会見において、ジョー・トゥッチCEOは、“ニアライン”HDDの供給と、“ミッションクリティカル向け”ドライブの供給が抑制される見込みであると話している。
EMCの最高財務責任者のデビッド・グールデン氏は「基本的に、HDD供給の問題は何としても対応しなければならない類のものだ。弊社は(2011年の)第4四半期は実際にこの問題に対応しており、2012年も引き続き取り組む予定だ。特定の商品については出荷までに通常予想されるよりも時間がかかるが、目標台数のドライブを供給する」と話す。
2月15日のNetAppの財務報告電話会見においてトム・ジョージャンズCEOは「1月まではHDDの生産量減少の影響はまともに受けなかった」と話している。NetAppはほとんどのHDDベンダーから当初の見込みよりも多く供給を受けているが、特定の種類のドライブは供給がなく、一部供給不足による影響が出たという。
NetAppのニコラス・ノビエロCFOは、同社では「特定の種類のドライブは、まだ数四半期は供給が制約され、供給量を予測できない状態が続く」と予想しているという。
HPは、2011年第4四半期は前年同期比で収入は44%、収益は7%下落したが、その理由の1つにドライブの供給不足を挙げている。ストレージシステムは影響をほとんど受けていないが、PCおよびサーバ事業は全受注分を調達できなかったため、影響が出たという。
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