統合ストレージシステム対決:NetApp FAS vs. EMC VNX(後)
アナリストが解説 EMCとNetAppそれぞれの優位点
統合ストレージ製品を提供するEMCとNetAppの共通点や技術的な違いをアナリストが解説。軍配が上がったのは一体どちらなのか?
「EMCとNetAppが比較されやすい理由」に続き、EMCとNetAppが提供する統合ストレージシステムを比較する。今回は両社製品の共通点や技術的な違いなどを見ていく(関連記事:ベンダー各社が考える、ストレージ統合への障壁とは?)。
共通点は一元的管理機能
EMCとNetAppは、それぞれの統合ソリューションに対して一元的なストレージ管理機能を提供している。アナリストらによると、統合システムの基本要件の1つが一元的な管理インタフェースだという。
「ユーザーがマルチプロトコルと聞いて最初に思い浮かぶのは、管理オーバーヘッドや異なるプロトコルでの利用形態の整合性といったことだ」と指摘するのは、米Taneja Groupの上席アナリスト兼コンサルタントのアシッシ・ナドカーニ氏だ。「同じシステム内で異なる物理コンポーネントを利用する数種類のインタフェースと格闘することになるのだろうか、という不安があるのだ」
EMCのUnisphereは「VNXe」と「VNX」製品シリーズに加え、同社のClariionとCelerra製品およびレプリケーション製品の「RecoverPoint/SE」に対応する。Unisphereのシングルサインオン型Webインタフェースは、物理環境と仮想環境の両方で動作し、修正なしで既存環境に組み込める(関連記事:高性能とシンプルを追求したSMB向けストレージ「EMC VNXe」)。
NetAppの管理ソフトウェア「OnCommand」には、単一ストレージシステム用の「System Manager」および複数のNetAppシステム用の「Operations Manager」が含まれる。OnCommandはストレージインフラを制御、自動化、分析する機能を提供する。NetAppは、VMwareの管理プラットフォームであるvCenter内でFASシステムを管理するためのプラグイン「Virtual Storage Console(VSC)」も提供している。
「われわれは、当社のコンソールを管理者に使ってもらうことにそれほど固執してはいない」とNetAppの製品/ソリューションマーケティング担当副社長クリス・カミングス氏は語る。
EMCがVNXシリーズを発表したとき、NetAppの幹部たちは「これは真の統合ストレージプラットフォームではない。米Intelのクアッドコアプロセッサ「Xeon」上でCelerraおよびClariionソフトウェアスタックを別個に動作させるからだ」と批判した。しかしTaneja Groupのナドカーニ氏によると、ユーザーにとっては、それは大した問題ではないという。「NetAppは単一のコードベースからスタートして、他の分野に枝分かれした」と同氏は指摘する。「EMCはその反対側からスタートし、統合ソリューションにたどり着こうしようとしている。ユーザーの視点から見れば、そういったことは、もはやそれほど重要なことではない」
ストレージ階層化に対する考え方の違い
EMCとNetAppは、それぞれの製品ライン全体を通じてストレージ階層化に対して異なるアプローチを採用している(関連記事:情報ライフサイクル管理(ILM)を支える階層型ストレージ)。
EMCはSSD(ソリッドステートドライブ)と「Fully Automated Storage Tiering(FAST)」ソフトウェアを利用して自動階層化を実現しているのに対し、NetAppは「仮想ストレージレイヤー」を作成するという手法を採用している(関連記事:SSD利用形態の2つの選択肢──キャッシングかプライマリストレージか)。
FASTはポリシーベースのアプリケーション認知型ソフトウェアで、SSD、FCドライブ、SATAドライブ間でデータを移動する。ユーザーが定義するポリシーに基づき、頻繁に使用されるデータはSSDやFCドライブなどの高速ドライブに移される。FASTの動作モードには自動モードとユーザー許可モードがあり、複数のディスク間でボリュームを移動するサブLUNレベルでの動作が可能だ。
「自動階層化は、パフォーマンスのニーズに動的に対応できるだけでなく、費用効果に優れた方法でそれを可能にする重要な機能だ」とEMCの統合ストレージ部門の製品マーケティングディレクター、ジョン・シーガル氏は話す。
階層化に対するEMCのアプローチは、ストレージベンダー各社が伝統的に用いてきた方式であるのに対し、NetAppは異なるアプローチを採用している。NetAppの仮想ストレージ階層化は、EMCなどのストレージベンダーの方式とは異なり、階層化ソフトウェアを使用しない。同社のアプローチは「Flash Cache」と呼ばれるPCIeベースのSSDストレージデバイスを利用して、データウェアハウスなどの特定のアプリケーションのパフォーマンスを高めるというものだ。他のストレージベンダーと同様、SSDをアレイに組み込む構成もサポートするが、同社では、この構成は特定のアプリケーションのピークパフォーマンスだけではなく、あらゆる読み書き処理を高速化する必要があるユーザーにしか勧められないとしている。
NetAppのカミングス氏によると、Flash Cacheはリアルタイムでホットデータ(頻繁にアクセスされるデータ)をブロックレベルで特定し、仮想ストレージ階層を用いて追加リソースを移動することにより、そのデータをサポートする。この方式により、バックアップやファイル削除に関連した問題を引き起こす可能性があるデータの移動を回避できるという。
「仮想ストレージ階層を用いたこの方式はシンプルかつ安価であるのに加え、そういった問題が起きる心配がない」とカミングス氏は話す(関連記事:ストレージ仮想化のメリットって何ですか?)。
統合ストレージのクラスタリング
統合ストレージシステムのクラスタリング機能と高可用性機能は、これまであまり注目されてこなかった。NetAppの場合は、実装時にグローバル名前空間を使ってマルチプロトコルシステムをペアにしてクラスタリングすることにより、事業継続、パフォーマンス改善、負荷分散といったニーズに対応できる。一方、EMCのVNXシリーズは、2ノードモードの動作が可能だ。
NetAppのクラスタは、企業のネットワーキング機能に応じて地理的に分離できる。クラスタを利用してシステムをスケールアップするか、それともスケールアウトするかを実装時に指定する。次にクラスタの定義を行う。「スケールアップとスケールアウトのどちらも可能だ」とカミングス氏は話す。「特に統合システムでのスケールアウトはユーザーに大きな付加価値を与えるだろう」
VNXシリーズは2ノードによるミラーリングが可能だ。同社のシーガル氏によると、VNXシリーズは今のところ、スケールアップアーキテクチャとして設計されており、スケールアウト方式を望む顧客には、同社が最近買収した米Isilon Systemsの製品を紹介しているという。
EMCとNetAppのコードベースと自動階層化技術は大きく異なるが、軍配はまだどちらにも上がっていない。
「そういったささいなことにこだわらなくてもいい。マルチプロトコルシステムを選択するに当たっては、自社のニーズに目を向けることが大切だ。パフォーマンスはどうか、管理機能はどうか、可用性はどうか、といった基準で判断すればいいのだ」と米StorageIO Groupの創業者で上席アナリストのグレッグ・シュルツ氏は話す。システムを選定中のユーザーに対して、「技術的な違いを比較する際には、自社のニーズに照らし合わせてどちらを選ぶかを決めるといい」と同氏はアドバイスする。
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