TechTargetジャパンは2011年1月、ストレージ関連企業で構成される業界団体「JDSF(Japan Data Storage Forum)」会員を対象とした座談会を開催。ストレージ分野を取り巻く現状を聞いてみた。
データ量の急激な増加が進み、企業システムにおけるストレージの重要性は増している。同時にストレージ分野では重複排除技術やクラウド型ストレージといった新しい技術や製品・サービスが次々に登場し、注目を集めている。しかし、多くの企業担当者は、変化に柔軟に対応可能なストレージ環境を構築・運用することに課題を抱えている。
そうした課題をどう解決すればよいのだろうか。そのヒントを探すため、TechTargetジャパンでは2011年1月、ストレージ関連企業で構成される業界団体「Japan Data Storage Forum」(JDSF)の会員企業を対象とした座談会を開催した。
1997年に設立されたJDSFは2011年2月現在、39社の会員企業が所属している。国内初のストレージ専門展示会「Data Storage Expo」を立ち上げたり、各部会における研究活動を通して、ストレージネットワークシステムの検証やデータバックアップの運用基準などの情報を発信している。今回の座談会には、JDSF会員企業から7人が参加。座談会のモデレータを@ITの三木 泉編集長(Server&Storageフォーラム担当)が務めた。
座談会では以下の3つのテーマについて、それぞれの話を聞いた。今回から3回にわたり、座談会の議論を紹介する。
座談会参加者 | 氏名・所属企業・業務内容 |
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中野逸子(なかの いつこ)氏 EMCジャパン プロダクト&ソリューションズ統括部 マネジャー EMCのコアストレージ製品「Symmetrix」やミッドレンジ向けの新製品「VNXシリーズ」の製品担当をしている。 |
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佐原良教(さはら よしのり)氏 伊藤忠テクノソリューションズ プラットフォーム技術部 ストレージ基盤技術課 課長 ストレージ分野における技術を担当。エンドユーザーへのSI事業を提供する各部門の営業、技術者を横断的に支援している。 |
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倉持健史(くらもち たけし)氏 サイオステクノロジー オープンシステムソリューション部 HAクラスタソフトウェア「LifeKeeper」やデータレプリケーションソフト「DataKeeper」などのプリセールスを担当している。 |
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諏訪 英一郎(すわ えいいちろう)氏 日本ヒューレット・パッカード ストレージワークス事業本部 製品マーケティング本部 担当マネージャ HP StorageWorksの製品事業において、主にエンタープライズ向けのマーケティング担当。 |
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星野隆義(ほしの たかよし)氏 シマンテック システムエンジニアリング本部 シニアマネージャー プリセールスSE部門で、ストレージ管理やクラスタ管理ソフトの製品担当をしている。 |
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柳瀬博文(やなせひろふみ)氏 ニューテック ソリューション営業部 部長 20年来技術畑の業務に就いていたが、2010年度からデータセンターや大型案件、OEM標準採用を手掛ける営業を担当している。 |
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堀本 徹(ほりもと とおる)氏 日立製作所 RAIDシステム事業部 事業企画本部 製品企画部 主管技師 ストレージ製品の企画担当。SNIA JAPANの会長も務めている。 |
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モデレータ 三木 泉(みき いずみ) アイティメディア @IT編集長(「Server&Storage」フォーラム担当) |
三木:日本における大規模なストレージ環境の現状はどうなっていると思われますか? 例えば、「ストレージ統合」はストレージ業界では以前から言われ続けていたことです。サーバ仮想化が普及し、その流れが加速した面もあります。ただ、実際には「ストレージ統合が進んでいない、そもそもストレージの統合を考えていない」という企業も多く存在します。
星野:「ストレージ統合は、道半ばである」という認識を持っています。OSから見えるボリュームやLUN(Logical Unit Number)という単位での統合は、かなり進んでいるでしょう。しかし、実際にアプリケーションがアクセスするのは、ストレージ上のファイルシステムです。ある部門のシステムはUNIX、別の部門システムではLinux、Windowなど異なるOSのファイルシステムが混在する場合、データのアクセスや管理手法などが異なり、その統合が止まることもあります。シマンテックではその1つの解として、異なるプラットフォームでも同一の管理手法が可能なファイルシステムを提供しています。また、別の解として、スケールアウト型NASを導入して、ファイルシステムを包含して管理する形式もあるでしょう。
柳瀬:大規模なシステムでは「いかに安価に構築するか」も重要なポイントの1つだと思います。ニューテックでは、容量単価のメリットが得られるストレージ製品の提供に努めています。例えば、ある筑波の研究機関には1P(ペタ)バイト以上のストレージを提供しています。また、大手クラウドサービスのプロバイダーには、シンプロビジョニングを活用して300Tバイトを超える容量のストレージを提供しています。彼らにとって、ストレージの購入価格は自身の競争力そのものだといえます。また、「データ移行」も大きな課題になるでしょう。容量が増えるほど、そのデータ移行は困難になると思われます。
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