昨今、ストレージ仮想化の導入メリットがさかんに喧伝(けんでん)されているが、実際のところ導入は進んでいるのだろうか? そして、導入メリットを享受するためには何に注意しなくてはいけないのだろうか?
本連載では過去2回にわたって、ストレージ全般の動向やストレージ仮想化の概念と仕組み、またストレージ仮想化の実現方式について述べてきた。最終回となる今回は、ストレージ仮想化に関するアンケート調査の結果を基に、ストレージ仮想化を取り巻く現在の状況を分析し、その導入に当たっての判断基準などについて述べたいと思う。
徐々に注目を集めつつあるストレージ仮想化技術であるが、果たして企業における導入は進んでいるのだろうか。
アイ・ティ・アールでは、ITのさまざまな分野について専門誌の読者コミュニティーを利用したユーザー調査を定期的に実施している。対象となる回答者は、いずれも企業においてIT製品導入の意思決定にかかわっており、所属する企業は多様な業種から構成されている。本稿で取り上げているストレージ仮想化についても、2008年7月から8月にかけて行ったシステム統合に関する調査の中で項目を設けている。
まず、ストレージ仮想化の実施状況についての質問項目では、「実施している」と回答した企業は全体の中でわずか2割にも満たないことが明らかとなった(図1)。
仮想化技術の中で取り上げられる機会が多い「サーバ仮想化」の実施状況と比較すると、ストレージ仮想化の実施率(「既に実施している」という回答の割合)は、サーバ仮想化の実施率を10ポイント程度下回る結果となった。また将来的な見込みとしては、1年以内に何らかの予定があるとする割合は3.9%と、サーバ仮想化の半分程度にとどまっている。
しかし一方、2、3年以内に何らかの着手の予定があるとしている企業の割合は、ストレージ仮想化がサーバ仮想化を上回っている。このことから、ストレージ仮想化に関してはサーバ仮想化と比べ、より長期的な視点での導入計画を検討している企業が多いことがうかがえる。
また、従業員数を基にした企業規模別にストレージ仮想化の実施率を見てみると、規模が大きい企業ほどストレージ仮想化を実施している割合が高い。例えば、従業員数が「5000人以上」のいわゆる大企業では実施率24.1%となっており、続く「1000〜4999人」の中堅企業では21.1%と、全体での実施率15.3%を上回っている。一方、従業員数が1000人未満の企業(中小企業)では実施率が1割に満たず、大企業・中堅企業と中小企業の間でストレージ仮想化の実施率に大きな差が生じていることが分かる。
将来的な実施見込みについて目を向けると、1年以内に予定があると回答した企業の割合は、従業員数1000〜4999人の中堅企業において比較的高いものの、それでも5%前後にとどまっている。一方、2、3年以内に何らかの予定があるとした回答の割合は、同じく中堅企業を中心に全体で10%弱存在している。
これらの結果からは、ストレージ仮想化は調査実施時点(2008年7〜8月)では大企業や中堅企業を中心に一部の企業でのみ実施されているにとどまっており、将来的に実施を予定しているという企業も中堅企業を中心に全体の1割程度しか存在していないことが明らかとなった。
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