ストレージ仮想化の実現方式は複数あり、それぞれにメリットとデメリットが存在する。また、導入を検討するに当たっては実現方式以外にも注意すべきポイントが幾つかある。
前回「ストレージを仮想化する仕組みとメリットを知る」では、ストレージを取り巻く今日の状況について触れるとともに、ストレージ仮想化の基本的な概念やその仕組み、そして主なメリットについて述べた。
今回は、ストレージ仮想化の実現方式について説明するとともに、現時点(2008年11月)において市場に存在する代表的な製品も幾つか挙げてみたいと思う。
ストレージ仮想化を実現する方式は、複数存在する。各方式の違いは、ITシステム全体の中のどの部分で仮想化処理を行うかにある。今日市場において提供されているストレージ仮想化製品は、以下の4つの方式に分類される。
注: 各方式の呼称や定義はベンダーやメディアによって異なることがあるため、注意されたい。また、以降で説明する「ネットワークベース」と「スイッチベース」を同じ方式としていたり、「ネットワークベース」という分類自体を用いない場合もある。
以下、各方式の詳細について説明する。
ホストベースは、ストレージ側ではなく、アプリケーションサーバなどいわゆるホスト側にエージェント(専用アプリケーション)を導入し、仮想化処理を行う方式である(図1)。この方式を採っている代表的な製品には、シマンテックの「Veritas Storage Foundation」がある。
ホストベース方式では、ホスト側で論理的なボリュームの統合・割り当てを行い、それを基に物理的なストレージの各ボリュームにデータを格納していく。この方式では、論理ボリュームと物理ボリュームのマッピングなどストレージ仮想化に必要な処理がホスト側で行われるため、異種混合のストレージ環境に対応している点がメリットとして挙げられる。また既存のシステム構成、特にSAN(Storage Area Network)に対する物理的な影響度が低いという点も、ほかの方式に対するアドバンテージになる。
一方この方式は、ストレージ仮想化製品がホスト側のサーバのプラットフォームをサポートしていることが絶対条件となる。そのため、既存のサーバ環境によっては導入が困難な場合がある。また、各サーバにエージェントを導入する必要があるため、サーバへの負荷が懸念されるケースでは好ましくない。さらに、各サーバ単位でボリュームのマッピング処理を行うため、大量のサーバで分散処理を行っているようなシステムでは、管理が煩雑となる点も課題として挙げられよう。
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