Ubuntuのベンダー英Canonicalが提供
5日間で導入できるOpenStackベースのプライベートクラウドに注目
5日間で完了する料金9000ドルのプライベートクラウド導入サービス「Ubuntu Cloud Jumpstart」は、AWSなどのパブリッククラウドと互換性を持ち、展開ツール「Juju」を利用することでハイブリッドクラウドを実現する。
Linuxディストリビューション「Ubuntu」の開発と普及を推進する英Canonicalは、5日間で完了する料金9000ドルのプライベートクラウドインフラ導入サービスプログラム「Ubuntu Cloud Jumpstart」(以下、Jumpstart)を提供している。同社はこのプログラムについて、パートナーによる再販も視野に入れている。
Jumpstartでは、オープンソースのクラウドインフラ構築ソフトウェア「OpenStack」をクラウドアーキテクチャとして採用し、DevOpsプログラム「Juju」と組み合わせている(DevOpsは、開発・運用の壁をなくすプラクティスを指す)。Jujuは、エンドユーザーがインフラの拡張を長期にわたって簡単に管理することを可能にする。
「Jujuの仕組みは少し複雑なので、顧客に説明する必要がある。しかし、いったん使い方を理解すれば、ユーザーはJujuを利用して、大規模な導入展開を非常に簡単に行える。われわれはJujuにより、プライベートクラウドの導入プロセスを完全に標準化している」と、CanonicalのUbuntu Cloud担当プロダクトマネジャー、ニック・バーセット氏は語った。
「ユーザーはクラウド型のIaaS(Infrastructure as a Service)を使って、独自環境の構築、テスト、実運用への移行、展開を迅速に行える。このプライベートクラウドインフラは、プライベートクラウドの提供にもパブリッククラウドの提供にも利用できる」(バーセット氏)
技術と知識の移転を伴うプライベートクラウドの導入
Jumpstartでは、Canonicalのサービスエンジニアがオンサイトで、最初に顧客とともに導入目的を定義する。さらに、エンジニアは環境構築の各ステップで、顧客に実装の詳細を説明する。
「導入規模については、顧客が用意するサーバ台数を最大20台に制限している。顧客が、200台のサーバを活用するソリューションとしてクラウドインフラを導入したいと考えている場合は、まず20台の規模で導入を行い、そこから拡張していく」とバーセット氏は語った。「導入が完了したら、Jumpstartプログラムの一環として、Ubuntu Advantageサービスを30日間、追加料金なしで提供する。このサービスは、顧客に長期サポートを有料で提供するものだ」
顧客のニーズは、クラウドで何を実現したいかによってさまざまだ。「コンピュート部分を重視する顧客もあれば、ストレージ部分を重視する顧客もある。われわれは、顧客が何を重視するかによって、標準的なプログラムを微調整し、個別ニーズに対応している」とバーセット氏は語った。
実装においては、セキュリティも考慮する必要がある。「OpenStack環境は、マルチテナント要件を満たしているという点で、セキュリティが配慮されている。インフラ上で各仮想マシン(VM)と、各顧客間のネットワークトラフィックは、相互にしっかり隔離されている」と同氏は語った。
プライベートクラウドベースのIaaS提供を目指す企業が注目
Canonicalには、このプライベートクラウドインフラを使ってパブリッククラウドサービスを提供しようとしている通信会社およびISPや、Fortune 500企業から関心が寄せられている。
また、Jumpstartで導入したプライベートクラウドインフラは、パブリッククラウドと組み合わせ、ハイブリッドクラウドとして利用することも可能だ。Jumpstartのアーキテクチャは、Amazon Web Services(AWS)やAT&Tなどのパブリッククラウドと互換性があるからだ。「この互換性のおかげで、一部のワークロードをローカルおよびパブリッククラウドで実行できる。この互換性に加え、パブリッククラウドとプライベートクラウドの両方に対応する展開ツールのJujuを利用することで、ハイブリッドクラウドが非常に活用しやすくなる」(バーセット氏)
パートナーを慎重に選ぶCanonical
CanonicalがJumpstartプログラムで契約しているパートナーはまだない。だが同社は、必要な準備を整えたパートナーにJumpstartの再販を委託することを規定したパートナープログラムを立ち上げている。
「Jumpstartプログラムを提供するための条件を完全に満たし、われわれの協業相手となるパートナーの数は非常に限られている。この数が急に増えることはないだろう。われわれは、われわれと同様にJumpstartに精通しているパートナーと組みたいと考えているからだ」とバーセット氏は語った。
例えば、Jumpstartプログラムを販売するには、パートナーはOpenStackの活動に専任で携わるエンジニアを少なくとも2人雇用している必要がある。「OpenStackプロジェクトで何が起こっているかを熟知していなければ、パートナーがわれわれの期待するリーダーシップを発揮するのは非常に難しいだろう」(バーセット氏)
Canonicalは、パートナーとのビジネスモデルに関しては、「Canonicalが下請け契約者であるパートナーからリソースを購入する」という枠組みで考えているという。
「Jumpstartは、提供するのにパートナーの力を借りるかどうかにかかわらず、常にCanonicalが主導するプログラムだ。われわれはプロジェクトのかじ取りを通じて、その品質を確保しなければならない。パートナーが販売した場合、われわれはその売り上げの一部を得る」とバーセット氏は付け加えた。
Jumpstartの提供を目指すパートナー
UbuntuおよびOpenCloud環境のリセラーである仏eNovanceのマーケティング&事業開発責任者、マヤ・ハダティ氏は、Jumpstartの再販は同社の業務拡大につながると考えている。
「われわれはOpenStackプロジェクトに参加し、顧客が独自のクラウドを構築、展開できるように支援に取り組んできた。Jumpstartは、この目的にうってつけであり、企業がオープンソースクラウドのメリットを検証する優れた方法でもある。われわれにとっても、オープンソース技術を広める新たな方法になる。われわれはCanonicalと同じ価値を共有している。このため、フランス向けのJumpstart開発に協力したのは、われわれにとって自然で理にかなっていた」(ハダティ氏)
Jumpstartプログラムが他の追随を許さないのは、CanonicalがOpenStackに精通しており、顧客の疑問や不安に対応できるからだという。
「ほとんどの企業は、クラウドについて考えると不安になる。『自社のアプリケーションをクラウド化するのは、どのくらい大変なのか』『どれだけコストが掛かるのか』『技術チームはどれだけの専門ノウハウを身に付けなければならないのか』といった具合だ」とハダティ氏。「Jumpstartはたった5日間でこうした疑問のほとんどに答え、企業は近い将来に直面する可能性がある全ての課題を踏まえながらプロジェクトを進められる。そして5日後にはOpenStackベースのプライベートクラウドを手に入れ、Ubuntuプロジェクトのリーダー企業からサポートを30日間受けられる」
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