【連載コラム】医療ITの現場から
普及期に差し掛かった電子カルテ 選定基準も変化
電子カルテの普及が進んでいる現在、各製品の操作性や機能の差が縮小している。そのため、診療所が電子カルテを選定する際に重要視する条件にも変化が見えてきた。
「導入期」は機能・操作性を重視
診療所の電子カルテの普及率が20%を超える時代となりました。電子カルテ市場は「導入期」から本格的な「普及期」に差し掛かろうとしています(関連記事:診療所向け電子カルテ市場、2016年には139億円規模まで拡大)。
電子カルテの導入期には「診療現場で本当に使えるのか」と考える半信半疑のドクターも多くいました。そのため、選定ポイントとして「機能」や「操作性」が多く挙げられていました。しかし、普及期に差し掛かった現在は各社の機能の差が著しく縮まり、ドクターが要求するレベルに近づいています。
最近では「各社の電子カルテの画面が似てきた」という声をよく聞きます。メーカー同士が互いに良い製品を作ろうと切磋琢磨していくうちに、全体的にインタフェースが類似する傾向にあるようです。電子カルテの操作性や機能にそれほど差がなくなりインタフェースも標準化されることで「誰もが電子カルテを使える時代が近づく」ことになり、ユーザーにとっては良いことだといえます。
「普及期」はサポート・実績を重視
インタフェースの差が減少する普及期に入ると、選定ポイントとして「サポート」や「実績」を重視する傾向があります。サポートと実績は密接な関係にあり、さまざまな対応を経験することで実績が増えれば、その分サポートの質が良くなる傾向にあります。
「導入時」と「導入後」のサポート
サポートといえば導入後の対応を連想しがちですが、電子カルテには「導入時」と「導入後」の2つのサポートがあります。前者は、医療機関のワークフローに合わせて電子カルテを設定することを指し、後者はトラブル時の対応や診療報酬改定時の対応などを指しています。
導入後のサポート、3つの評価ポイント
導入後のサポート評価は、主に以下の3つがポイントとなってきます。
- システムトラブル時のサポート(対応スピード)
- 診療報酬改定時のサポート(更新方法やフォローアップ)
- 平時のサポート(定期訪問)
システムトラブル時のサポートは、利用者からの問い合わせを電話やメールなどで受け付ける「1次サポート」と、リモートメンテナンスや駆け付けサポートなどの「2次サポート」の2つに分けられます。電子カルテに不具合が生じた場合、診療自体に大きな影響を及ぼします。そのため、電子カルテを選定する上では、万が一トラブルが発生した場合に迅速に対応してもらえるかどうかは非常に重要な要素です。
また、2年に一度対応する必要がある診療報酬の対応方法は、メーカーによって異なります。例えば、「改定に伴うシステム変更をCDやDVDなどで送付し、診療所自らがアップデートを実施する」「インターネットや専用回線を通じてネットワーク経由でリモートアップデートを実施する」などシステム変更の方法に違いがあります。さらにサポートの一環として、医療スタッフに向けて診療報酬の改定に関する説明会を開催したり、改定ポイントをまとめた冊子などで情報を提供したりするところもあります。
導入後のサポートは、実際にそのサービスを受けてみなければ分からない部分もあります。その評価に際しては、導入した医療機関の声などを参考にしたり、自院のITスキルを考慮して最適なサポートを提供してくれるベンダーの電子カルテを選ぶ必要があります。
関連記事
導入時は「システム提案力」を重視
電子カルテの導入時には、運用フローの作成や各種マスターの整備、トレーニングなどを含めて、メーカーの担当者が電子カルテシステムの構築をサポートします。最近、メーカー担当者の提案力も電子カルテの選定ポイントとして考えられるようになりました。診療所のワークフローを理解し、それに合致した運用ができる電子カルテを構築できれば、その後の円滑な運用につながります。
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