地域医療連携ソリューション紹介:NTT東日本
長期にわたる患者の経過を一覧可能な「光タイムライン」診療情報連携システム
NTT東日本が提供する地域医療連携システムは、長野県松本市における1年間のトライアルを踏まえ、院内外の情報連携を支援する機能を搭載している。
NTT東日本は7月12日、医療機関間の情報連携基盤となる「光タイムライン」診療情報システムの提供を開始した。このシステムは、NTT東日本と長野県松本市の社会医療法人財団慈泉会相澤病院(以下、相澤病院)が共同で開発したもので、松本市周辺の診療所と1年間にわたるトライアルを実施した結果を踏まえて商用化した(関連記事:相澤病院とNTT東日本、地域医療連携トライアルを開始)。
NTT東日本 取締役 ビジネス&オフィス事業推進本部 副部長の山本康裕氏は「医療機関や看護、介護施設が必要な情報を共有する循環型の連携を支援する」と語る。
医療と介護の連携強化は、政府・与党が2012年2月に閣議決定した「社会保障・税一体改革大綱」の主要な社会保障改革方針の1つだ。今後は急性期をはじめとする医療機能の強化、病院や病床機能の役割分担が進み、在宅医療の拡充と訪問看護、介護施設と連携したサービス提供体制が求められる。
地域医療連携サービスには、NECの電子カルテ/地域医療連携ソリューションで採用されている「ID-Link」、富士通の「HumanBridge EHR ソリューション」などがある。今後の地域医療連携システムは、医療機関からさらに多職種連携を可能にするネットワークを構築する必要がある。
異なる施設が持つ患者情報を同じ時間軸で一覧表示
「光タイムライン」診療情報システムでは病院や診療所、介護施設などをNTT東日本のVPN(Virtual Private Network)サービス「フレッツVPN・ワイド」で接続して、患者の同意の下に病歴や処方歴、検査結果などの診療情報を共有する。
「光タイムライン」診療情報システムでは、病院や診療所、介護施設などの複数の施設が保有する特定患者に関する診療情報を、医療情報の標準規格「SS-MIX」形式でストレージに集約する。それを「光タイムライン」ビュワーで日、月、年単位の時間軸で一覧表示する。画面をズームイン、ズームアウトすることで時間軸を自由に変更でき、患者の経過状況を把握できる。医師や看護師などのスタッフ間で共有し、各項目の相関関係の分析や病態変化の解明、治療計画の策定などに利用できる。
また、病名や検査など特定の項目をピックアップしたり、ドラッグ&ドロップで並び替えられる。さらに、よく使用される処方や検査のセットなどを疾患別に「パレット」と呼ぶ単位で登録できる。登録したパレットは、テンプレートとして他の患者にも適用可能だ。このパレットを複数施設で共有することで、患者が移動した場合でも、連携先医療機関が情報を参照して治療を継続できる。
3つの販売モデルを用意
NTT東日本は、医療連携の範囲に合わせて3つの販売モデルを用意している。
- 院内モデル(単一施設内で利用する)
- 地域連携モデル(中核病院を中心に、近隣の複数医療機関で利用する)
- 広域連携モデル(医療圏をまたいだ、複数の医療機関で利用する)
院内モデルでは、院内にサーバを設置して院内の各部門間で情報を共有し、チーム医療の促進を支援する。導入費用は個別見積もりだが、NTT東日本は「病床数400床規模の病院では、機器の5年保守を含めて1200万円程度になる」と見込んでいる。
相澤病院でのトライアルは、地域連携モデルに相当する。このモデルでは、中核病院の電子カルテや診療所、介護施設が保有する患者情報をNTT東日本のデータセンターに設置されたストレージに格納し、連携医療機関で共有する。
広域連携モデルは、患者の広域搬送や大学病院で高度・先駆的な医療を受ける場合など、医療圏をまたがった患者情報の連携を可能にする。
チーム医療の促進を支援
相澤病院の常務理事 本部長 塚本建三氏は「病院では、何よりチームワークが大事。全ての職種、全ての診療科が連携したチーム医療を提供する必要がある。そのためには院内スタッフ間の情報連携が必須だ」と説明する。また今後は「単独の医療機関ではなく、地域の診療所や介護施設との連携により長期間にわたるケアを実施する必要がある」とし、ITによる情報連携の重要性を示唆した。
相澤病院はシステム導入前から、松本地域の107診療所、4病院、18薬局が連携する地域での医療連携体制を構築していた。トライアルではNTT-MEが提供する診療所向け電子カルテサービス「Future Clinic 21ワープ」の保有診療所との連携が中心だったが、既に他の診療所向け電子カルテとの相互接続も実証済みだという。
NTT東日本は、利用者の要望に基づいて新機能を実装した。表示項目の追加や視認性の改良、パレットの流通機能、各医療機関が保有する診療カードのID連携の効率化などを実施してきた。同社によると「化学療法や放射線治療など長期的な経過を見る際に、投薬や注射、検査結果の相関関係を確認できた」という利用者のフィードバックがあったという。
診療情報バックアップへの利用
山本氏は「医療連携では安全な患者情報の共有が重要だ。光回線はインターネットを介さないため、よりセキュアに情報を連携できる。また、データセンターに蓄積された診療情報は電子カルテのバックアップとしても活用可能」と説明する。
NTT東日本は「光タイムライン」診療情報システムの全国展開を目指して、電子カルテやPACS(医用画像管理システム)、介護や調剤薬局、検査会社などのシステムベンダーとのアライアンスを推進する予定だ。また、クラウドサービスの提供も視野に入れている。
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